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漫画アニメ原画展~2023夏~

今年のお盆休みも、東日本大震災の被災地をめぐる旅に出かけました。
去年は福島県のいわき市にまた訪れましたが、今回はまず仙台、そして1度行った岩手の遠野市へ再訪して遠野市博物館にて妖怪と民俗学をじっくり楽しみ、遠野の町を散策しながらカッパ淵などをめぐる予定でした。
そして、僕の1つの集大成として夢で描こうとしている「埼玉と東京を結ぶ荒川」、その中で荒川をナビゲートするキャラとして予定している「カッパくんとワラシちゃん」のデザインを固める夢も見ていました。
(去年から夢で見ているだけですが)


1日目に仙台で宿泊し、2日目で気仙沼線BRTと南三陸鉄道を乗り継ぎ釜石にて投宿し、いざ3日目の最終日に「数年ぶりに遠野に行ける!」とイキリこんでいましたが。

すると、

神様に「逃さねえぞ、狙い撃ち!」されたのはなぜでしょうか。
盛岡の南にある、雨雲真っ赤ッカのところが、僕のいる花巻です。

台風によるものか、豪雨により、遠野に唯一通じていた「釜石線」が不通となり。臨時に出た花巻までのバスで、中間地点の遠野には降りないようで(遠野は避難勧告が出ていました)。
運が悪いことに、ここ数年行きたくて憧れてて、「よし!今年こそは遠野!!」を諦めざるを得ず、花巻から新幹線で帰りました。

すると、

東京は憎たらしいくらいの快晴。釜石のホテルにて傘ももらい、これが命綱のようなものだったのに、傘を持っている人が僕しかいないという。

時間は午後17時。花巻に着いたのは14時だったが、先ほどの豪雨であるし、電車が1時間に1本ぐらいであっという間に16時(資料館や博物館が閉まり始める時刻)過ぎるため、東京に帰るのは正しい判断だったろうが(宿もお盆の繁忙期のため仙台と釜石の2泊しか取れてないない)、ものすごく「不完全燃焼」な感じなので。

前々から行きたかった、好きな漫画の原画展に行くしかないと、池袋の西武本店に向かいました。

赤坂アカ展

漫画は大好きだがラブコメなんてあまり読まなかった僕に、ラブコメの面白さを教えてくれた作品「かぐや様は告らせたい」
10巻くらいから読み始めたかな。ちょうど、数年前にいわきを旅行していた時、もはや同時に本屋を巡る旅ばかりしていた。
ヤンジャンアプリもダウンロードし、毎週木曜日の連載は本当に楽しみで。
アニメ化も不安だったが、僕の大好きな主人公「白銀御行」の声、PVで古川慎さんの演技を聞いて僕は神作品になることをなぜか確信した。あとA1Picturesが制作するのも安心し。まさか何期も続く大ヒット作品になろうとは。
(実写化はたぶんしていない。たぶん、そんな事実はなかったと信じている。第2期のファイナルで実写版は終了? 何も見てない、何も知らない…)

主人公の「白銀御行(しろがね・みゆき)」とヒロイン「四宮(しのみや)かぐや」の恋愛頭脳戦を描く作品だが、もちろんそれだけじゃなく、いろんなイベントや行事、学園生活の中、たくさんのキャラも出てくるのだが。
キャラたちの掘り下げと、1話ごとの感情爆発、伏線回収、ギャグありシリアスあり。赤坂アカって天才だなぁと感心したものです。
今期もアニメで「ファーストキッスは終わらない」がありましたが、アニメも原作の最終回まで放映されるのかな。

そして、いたるところで有名になっている【推しの子】。原作は赤坂アカ先生、作画は「クズの本懐」でも有名な横槍メンゴ先生。
【推しの子】は小学生などチビッ子の間でも有名のようで、作者が割と大人向けで描いているため2期は注意するように言ってたな。
自動販売機でも「有馬かな」こと重曹ちゃんのイラストをよく見かけますね。

某所にて、ダイドーの自販機を撮影。
この赤いクラゲは赤坂先生のイメージ自画像。

小学館漫画賞を受賞するだけでなく、発行部数が累計2200万部。歴史に残るメガヒットだと思う。
もう白銀御行がかっこよくて。日本のエリートが集まる秀知院学園の生徒会長であり学園トップの成績。実力で人々の人望を勝ち得たカリスマ。
しかし、実際は貧乏人でありポンコツであり。
その自分へのコンプレックスというか、幼稚園受験に失敗し母親が去った(と思っている)トラウマと、かぐやに一目ぼれしたことから、気合と根性による学力で「四宮かぐやに並ぶ男」になっていく。
何より、実は一歩下がって歩いているような生徒がいれば、その人に寄り添おうとする優しさ。連載中にこれらをじっくり描写していますが、追加設定過剰によるキャラのブレは全くなく、ただただ白銀御行の魅力を楽しめました。

パソコンのコラージュ機能で画像を組み合わせたのですが、順番はパソコンが決めるらしく。
画像の順番がとにかくデタラメですいません。かぐやと御行がトップで並んでほしかった。

そして、裏主役ともいうべく、後輩の石上優伊井野ミコ
教室の後ろでひっそりといて、しゃべれば毒舌、そしてオタクの石上、実は人間関係が破綻した壮絶な過去を持ち、それもあり人をよく観察していて、いざとなればすべてを自分が被る思いやりもあり。

9巻単行本カバー絵の、御行と石上のツーショット、どの単行本の中でも僕の中のお気に入りです。

この9巻の帯「よいラブコメは男どもが面白い」に、「そうそれ!」とヘドバンのような頷きをしたような。
ラブコメというと、たくさんの女の子がキャピキャピと現れ、なぜかとある男がハーレム状態になり、イケメンばかりと痴情のもつれ、そしてそういうワケのわからぬ群れでわっちゃわちゃ、ぱーりーナイトフィーバーの中でヒロインか何かが病か何かで死んで超鬱展開とか、陳腐なものを考えてましたが。
「かぐや様」は御行も石上も全キャラのポンコツぶりに苦悩に葛藤に努力にそしてなおポンコツさに、それぞれのキャラがどう過ごしてきたかをクドくなく描写し、魅力満載で。
けっしてモブキャラ(その他大勢で背景が描かれないキャラ)はいない、全キャラ愛おしくなります!

原画でしょうが、赤坂先生はデジタル作画なので、手書きのあと(たくさんの線と主線とか、ベタの塗り具合に消された線のあととか)を見ることはできません。ほぼ、単行本の絵がきれいに展示されている感じ。
けど、ところどころにある赤坂先生のコメント展示、特に以上のような単行本カバー絵のイラスト全体が見れるのも魅力でした。
(なお、単行本すべて、キャラの眼に「かぐや様は告らせたい」の「告」にハートマークが来るように描かれています)

そして原画の展示も見て改めて、いろんな名シーンを思い出しながら、ちょっと涙腺も刺激されました。

アニメ1期のクライマックス「花火の音は聞こえない」より。
かぐやの行動パターンを読んで、居場所を突き止め、「だったら俺が見せてやる」と現れた御行。
決してキザでなく、かぐやの絶望的状況の中でも、読者としてハラハラしながらも「きっと御行が来てくれる!」という期待があり、そして必死に自転車をこいで至る所を探して。

後日談で、この発言が恥ずかしくなって悶える御行と、普段は気高いがこの言葉にメロメロになって顔も見れなくなったかぐや。
そしてさらに誤解してしまう御行。
いつもの2人でまたかわいい…

まあとにかく。僕はこの作品で初めて「言葉にできないくらい、キャラの言動が好きになる」こと「尊い」や「エモい」って感覚を堪能したのでした。
「かぐや様」連載終了後も、僕は最高のラブコメ「僕の心のヤバイやつ」という作品に恵まれ、さらに尊さとエモさを楽しめております。

才色兼備、天才的頭脳と才能をもつ、四宮財閥の令嬢「四宮かぐや」。
対人スキルは溶けるほどのポンコツです。
御行に救われた石上、いろんなものを背負いながら挑んだ体育祭。
過去との決別と、これから一歩踏み出すドラマが「うるせぇ ばーか」で表現されてます。

もちろん、読者の間でも人気のキャラは多くいて。
僕もかぐやの侍女であり四宮財閥のメイドである早坂、そして御行の妹の圭ちゃんも大好きで。
けど、いろいろと何周もして、やっぱ「白銀御行と四宮かぐや」が大好きなのです。

早坂愛。アニメの声優が花守ゆみりさんで、ゆるキャン△の「各務原なでしこ」というほんわかキャピキャピ声を演じきったのに、早坂みたいな多様な人格を持つ声を演じれるのを聞いて、声優の演技力に鳥肌が立ったものです。

【推しの子】エリアへ。
原作はほとんど未読でしたが、いろいろ聞いていた評判とアニメ化を機会にかなり気になり始め。
けどある日、思いきって完走してみました。いやあ、感想はもちろん面白かった!

横槍先生の傑作で名高い「クズの本懐」が載ってないのは、ヤンジャンじゃなくスクエニからの出版だからです。

実は、「かぐや様」連載途中から赤坂先生が原作ということで始まった【推しの子】の原作、最初は読んでいたのですが、医者のゴロー先生と星野アイから、双子ちゃんの話になったあたりで、話が重層的になっていき。
「かぐや様」や他の作品を追うことで、ちょっと手が離れてしまったのですが、アニメを観て良かったようで、かなり愛着が増していまして。
そして、この展示を見て「やっぱ続きが気になるなあ」とアニメの続きあたりを原作を買い漁り読み始め。どうやら「かぐや様」と同じく、今年の夏も本屋を巡りコミックをひたすら求めました。

魅力はやはり、ネームです。横槍先生の作画、すごい。

推しキャラは、やはり重曹ちゃんこと「有馬かな」。
どん底の元・子役だけど必死に足掻いて活動している姿が尊い。そしてプロとしての演技力、かっこいい。
原作読んで、改めてアニメの再現を観てみる。

原作12巻まで、読みきりました!
アイドル編から、舞台編、そしてついにアイの映画編へ…
芸能界事情を深くえぐっていき、人間って何なのだろうとまで考えさせるこの作品。どうなるのだろう。重曹ちゃんこと「有馬かな」が幸せになってくれればそれでいいや、という覚悟は持って読んでいきます。

なお、重曹ちゃんが本当に「重曹」になったようです。

それと、東北から新幹線の帰り道。ひたすら、僕の心の中のヤバイアイドルと化したアニメ「ぼっちざろっく」の主人公らのバンド「結束バンド」の曲を聴いてました。
特に、「光の中へ」は何度ヘビロテしただろうか。
で、帰りにローソンかのコンビニに入ると、「光の中へ」がかかってて。
「ぼっちざろっく」、舞台化もされ、今の日本のヒット曲の中にもアニソンのはずの結束バンドの曲が大ヒットしている。もはや日本のサブカルチャーは漫画とアニメの作品が左右していると言ってもいいのでは。

で、【推しの子】の主題歌「アイドル」を、日本を代表するYouTuberのヒカキンさんが突然まんま演じた動画が発表され、よくも悪くも話題になってますね。

演じているヒカキンさんの、どうしてもポッコリと目立つ中年太りぶりに、「これは、お腹にアクアとルビーを身籠っているアイを表現している布石だったのだ!」と言ったコメントに爆笑しちゃいました。

トキワ荘ミュージアム「よつばと!展」

都営大江戸線の落合南長崎駅から徒歩5分。
手塚治虫先生や赤塚不二夫先生に藤子不二雄先生など、多くの漫画家が集ったアパート「トキワ荘」が復元されています。
11月26日まで、僕が愛してやまない漫画「よつばと!」展がありました。
(すべて事前予約制のため、前日までHPにて手続きしましょう。)

まずはトキワ荘を復元した2階へ通されます。

そして、企画展の「よつばと!」もコンニチワ。
てか、「ダンボー」て、よつばの近所のお姉さん三姉妹の、末っ子の恵那の友達「みうら」の工作で、一話くらいしか出てないのに、もはや「よつばと!」のシンボルに。

「よつばと!」は、英語で「Yotsuba、and!」て言います。各話、毎回「よつばと○○!」で、つまりは「よつばとみんな」。
「こち亀」の秋本先生が大ファンなど、とても癒される日常漫画です。
文化庁メディア芸術賞や手塚治虫文化賞などを獲得し、発行部数は累計1730万部、うち海外では300万部。

入場特典

どういう経緯か不明だが、とーちゃんが海外で養うこととなった「よつば」を育てることに。
まあ、髪の色からしてフィクションなのだが、ちょっと変わった子であるよつばとの日常生活が、リアルすぎて愛おしい作品です。
何より、天才絵師の「あずまきよひこ」先生のの画力!

小物にいたるまで、リアルのものを取り寄せ、緻密に描いてます。
まるでゲゲゲの鬼太郎の水木しげる先生のように、リアルで緻密な背景に、際立つ個性的な妖怪の絵。
あずま先生も同じように、まさに非現実的な存在の「よつば」がいて、「よつばと!」私たちに思えてきそう。

よつばは幼女で、言動は幼子そのままの「意味不明のようだが実は意味がある」。
僕も最初は、「子供て意味不明でやだな」と思ってたけど、そういうよつばと一緒に遊ぶ、とーちゃんとまわりの人たちの、思いやりにやがて虜になってきます。
同時に、何でも楽しめるよつばは最強で、しかも一話完結型なのだが、毎日のことがずっと続いてるように、過去のできごとをちゃんとよつばは学習してて。
それが伏線となり、「あ、これってもしかして!」て発見にもなり、楽しい。

何より、この絵。
線や陰影、全部手書き。

みうらの髪、筆ペンで一気に。
かすれ型、艶ベタ具合、もう完璧な職人すぎる。
ニット帽の線も全部手書き。
渡辺潤先生てバイオレンス漫画家が、アニメの萌え女の子を絵の勉強のため分析しながらアップしてるのが、どれも滅茶苦茶うまくてよく見るのですが、「正月はひたすら、おっさんのシワの線を書いていた」みたいなことをツイッターでつぶやいてて。
うまい絵は、地道で果てしない線の積み重ねなんだろうなと、真似できない凄さ…
実は、バランスをとるため、見えないところの形も描くもの。
あとでよつばの顔に隠れて消えるハズの恵那の下絵が見れてとてもお得。
ずっと観てたい。

海で石を拾いに行くだけで、こんな綺麗な絵、そして楽しさ満開の子どもたち。

カラーはほとんどデジタルのようですが、今回水彩で描いてくれたようです。
ああ、もう、こんな絵、好きすぎる。神。

これはデジタルのよう。影とかホントやばい。

やっぱこの、アタリや下絵のあとが残ってると、あずま先生の痕跡が見えたようで好き。

残念ながら「よつばと!」は、あずま先生側が拒否しているためアニメ化は無理のよう。
そして、ほとんど休載ばかり。
けど、こないだ五ヶ月ぶりに載ったようで、

僕が二年前に登った高尾山の沢渡り(6号路?)を登ってて、鳥肌立ちました。
そう、ここ、めっちゃ楽しかった!
そして登山の階段嫌いなのに、この絶望的階段ね。

トキワ荘ミュージアム周辺も、町自体が昔の椎名町と共存しようとしてるようで。
この昔の池袋の資料館も新しくできており、血沸き肉踊る感じで楽しかった!

西口とやみ市。
東口、路面電車があったころ。

着せ恋展

松坂屋銀座にて、「その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする」の展示。この夏は原画展すごいなあ。
コラボカフェは妖怪チビデブハゲ中年には敷居が高い。

福田晋一先生が、実は女性だと最近知った。
道理で絵や表情表現が繊細だし、女性の姿が生々しく描けている。以下、デジタル中心だろう先生の生手書き。

話は、埼玉県岩槻市の伝統工業である雛人形の頭師を目指す五条新菜(わかな)くん、日々研鑽を磨くも友達がいない陰キャ。
ふと、クラスメイトの陽キャのギャルの喜多川海夢(まりん)が、実はオタクでコスプレイヤーを目指し、まりんの衣装作りを担当することに。

はじめてコス衣装をつくる辛さ。
まあ僕も朝早く、絶望しながら起きて、仕事の準備をするのだが、血反吐の思いも誰も評価されないものですな。

見所は、本物のコス衣装。
なんだか五条くんが作ったと思うと感慨深い。

たぶん、二期の山場かな。
文化祭にて五条くんの実力が、みんなに知れわたるシーン。大好きなところで、これも展示が充実していて良かった。

本当に五条くんはかっこいいのだ。
文化祭にて、大人気ドラマのキャラのコスをしてクラスの天下を取ろうとする、まりんの衣装だけじゃなく化粧も全部五条がするのだ。
この職人技に圧倒されるみんなの姿。

陰キャで名前すら知られてなかった五条くんがだんだん認知されてくの尊い。

なんと、現在連載近くまで展示されてます!

終章なのかなぁ…。

福田先生の作画。
デジタルでしょうか、アタリから。

下絵からペン入れまで。

色彩、ニュアンスや光や影が足されます。

かわいい!
もう僕の気持ちは、旭さんに叫んでもらいましょう!

ここを抜けると、もう戻れない出口。
しつこい僕は、ここからまた最初に戻り2周します。

手書きイラスト。また線の痕跡を探します。

トートバッグを買いました。

↓去年の原画展巡り


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