猫に憧れて

猫の佇まいがとても好きだ。

時々、猫同士でじゃれ合ったり、人にくっついてきたりするが、基本的に猫は群れない。

家の中ではあるが、ひとり自立した姿をみせる。

ほんとかどうかは知らないが、猫は”言葉”を「音」で識別しているらしい。

うちの猫さんたちは、名前を呼べばちゃんと反応をしめすが、それは言葉を認識しているというよりは、「音」で判断しているのだそうだ。

猫は”文字”をもたない。

人は言葉に頼りすぎて、失くしてしまったものがたくさんあるような気がする。

うちの猫は、時々スリスリすり寄ってきて、私の手や顔をペロペロなめる。

私は「ありがとう」と言って、彼の頭や背中を撫でまわす。

するとゴロゴロと喉を鳴らして喜びを表す。

これだけのことで、本当に幸せな気持ちになって、スーっと気持ちが楽になる。

そこに一切の言葉はいらない。


その昔、本当に落ち込んでいる人や心を病んでいる人に、どんな言葉をかけたらいいか、とても悩んだことがあった。

無理に励ましてもいけない、突き放してもいけない、同調したらいいのか、叱咤激励したほうがいいのか。


悩んだ挙句、私はその人にひと言も言葉をかけず、ただ抱きしめた。

心の中でだけ、「私はあなたの味方だ」と思いながら。


それがよかったのかどうかは、私にはわからないけれど、今は元気に暮らしているようなので、安心している。


言葉に埋め尽くされた世の中において、言葉をもたない猫さんたちに、なんとなく憧れる。


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