見出し画像

#2. ストリップ

さて、noteを始めたはいいが何を、いや、何から書こう。考え出すと意外と色々話が浮かぶが、先ずは最近熱を上げているストリップについて。

「ストリップ」と聞くとどんなイメージだろう。多分「演者である女性が"何となく"舞台に上がり"何となく"踊ったり猥雑なことをするんじゃないの?」という連想をするのではないだろうか。多少なり自分はそう思っていた。今これを書いている自分はストリップを嗜むようになりまだ1年経っていないが、そんな自分が冒頭のイメージの話を語るなら「それは全然違う」と。まず猥雑なこと(=それを何か身体的接触や、品の無いイヤラシさとするなら)なんて全く無いし、何より"何となく"という部分がもう全然違う。踊り子(演者)さんは真摯に演目を練り、想像もつかない(であろう)鍛錬を重ね、舞台に直向であり、そしてユーモアとウィットに富んでいる。

ストリップは「芸術」や「風俗」といった言葉で評されることがある。広義でのカテゴライズはされているし、二元論に見えるそれらは縁の部分で表裏一体な気もするので、個人的にはどちらでもよい。ストリップは「ストリップ」という名の一社会活動でありそれ以上でも以下でも無いという捉え方をしている。楽しみ方や受け取り方は人それぞれだし、それで良い。というかそれが良い。

実は最初に観たのは10年以上前。
大学生だった頃、部活の先輩に池袋ミカド劇場へ連れて行ってもらった。誰が出ていたのかも、どんな様子だったのかも、先輩と何を話したかも覚えていない。次はその4~5年後くらいに浅草ロック座へ。高校の同級生と観に行ったのだが、これもなぜその流れになったのか、どんな公演だったのかも覚えていない。ただ、その日演目を2巡観たことは覚えている。

そこからは特に行くことも思い返すこともなく過ごしており、20代最後の年に海外赴任。そして昨年日本へ帰国し現在に至る。帰国して半年程経った頃、ふと昔行ったストリップのことを思い出した。なぜだろう。自分でもよく分からない。それでも、何か理由があるのかなと思った。

「昔とは感じ方が変わっているかもしれないし、そうだったら面白い。行ってみよう」

思い立ったその日、自身の変化への興味と期待を込め、前情報も無しに電車へ乗り込んだ。駅を出て左へ。大型家電量販店の脇を曲がり進んだ角。変わらぬ場所に変わらぬ雰囲気でそこに劇場は佇んでいた。

入る時は結構緊張した。システム覚えてないし。劇場の前を通り過ぎては折り返し、そしらぬ顔を装って歩くことさらにもう1往復。「ええい、ままよ!」と足を踏み入れた。受付で入場料を払い簡単な説明を受けいざ中へ。偶然にもこの週はある踊り子さんの引退週だった。そして自分の中でのストリップへの印象はこの日決まった。

"また、もっと、観たい"

この日は5人の踊り子さんが出演していた。皆キャラクターも演目も様々でバラエティに富んでいたし、何よりプライドを持ってやっていることが伝わった。場内は独特の熱気に包まれていたが居心地の悪さはなかった。この日は別用があり確か1.5巡くらい観て帰ったけど、気付けばその週(ストリップでの1週=10日間)の最終日にもう1度ミカドへ足を運んでいた。最終日、トリを務めた引退する踊り子さんのポラ列(ストリップでは踊り子さんの写真を撮る時間がある)は凄いことになっていて、ラーメンを食べ、コンビニへ寄り、ぶらぶら散歩して戻ってもまだ終わっていなかった。そのポラの時間が終わってまた最初の人から演目が始まり(1日大体3〜4巡行われる)、遂に迎えたその踊り子さんの最終演目の時間。圧倒された。自分の横にいた女性は泣いていた。演目が終わった後、その踊り子さんは最後の挨拶として、これまでの感謝と業界についてを涙ながらに話していた。

格好良かった。美しかった。気丈でさっぱりとした風にも見える人だったけど、どんな道を歩んできたのだろう。様々なものと戦い乗り越えてきた人なのだろうと胸が熱くなった。新参の自分でこれ程なのだから、常連や長く応援してる人の胸中は一入だろうとも。そんな素敵な場面に立ち会えたこともそうだし、それまで知らなかった世界に熱く感化されたことも嬉しかった。「壁一枚を隔て普通に街中にこんな場所があるのか!」とそこから興味が湧き、全国19の劇場(現存劇場は18館)を周り今はマイペースにストリップ活動を楽しんでいる。

なぜストリップを観るのか。その理由は人により様々。ストリップを観ることが生きがいの人もいれば、数ある趣味の1つという人もいるだろう。
可愛い・綺麗な女性を見て癒されたいという人もいるだろうし、シンプルに舞台が好きだからという人もきっと。抱える思いや、劇場へ行く目的、応援の仕方も皆それぞれだが、共通しているのは「ストリップが好き」という気持ち。ストリップからでしか得られない、ストリップでないと埋まらない、ストリップでないとダメな何かがきっとあるのだ。あくまで自分の感覚だが、劇場はいつだって肯定も否定もせず受け入れてくれる。そんな空気感も結構、かなり好き。

まだストリップを観たことのない人へ。最盛期には300以上もあったとされる劇場も、規制や経営状況、建物の老朽化等様々な煽りを受け、現在は18館にまでその数を減らしている。しかも、新規で劇場を建てるのは法律上困難(不可能)らしいので、閉館してしまったが最後劇場の数は減少の一途を辿ることになる。このご時勢難しい状況ではあるが、もし興味を持ったら頃合いを見て是非行ってみて。勿論、何事も好みや合う・合わないはある。感じ方は人それぞれだし「皆で守っていこう!」みたいな大層なことをここで言うつもりもない。経験の1つと思ってどうぞお気軽に。きっと良い意味で裏切られると思う。この素敵な文化をもっと多くの人に知ってもらえたら良いなというのが、ストリップに魅せられた一介のファンとしてのささやかな想いである。

読んでくれてありがとう。
自分が書きたいことをつらつらと書いたけど、
もしこの記事があなたの"何か"への一助になっていたら、それはとても嬉しい。

さて、次はどの劇場に行こうかな。

End.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?