プロジェクトG

特別採捕許可がおりました

去年の夏頃に、
いつもの様にエンジェルマリンの小林さんの所でダイビングをさせてもらった時に、

ふと「ガンガゼを今獲って食べてみていいっすか？」って聞いたら、

「美味しくないみたいだし、害虫だからいいと思うよ。害虫じゃない生物は獲っちゃダメだよ！」って言われ、

デッカいおじさんの拳位のガンガゼを獲ってトゲを折って、中身を割ってみました。

デッカいお寿司のウニみたいのが5つ入ってました。テンション上がってたら
そこへ近所の漁師さんが通って、「何してんの？」と僕は「ガンガゼ食べてみようと思うんす」と
そしたら漁師さんから「密漁すんな！」って怒られるのかと思ったら、「ガンガゼなんか旨くないよ！」って変顔してどっか行っちゃいました。
どんだけ美味しくないんだろ？と食べてみました。

ライトなウニでした。
北海道のウニがフルボディの赤ワインなら
ガンガゼはライトボディのハウスワインみたいな
北海道のウニがスニッカーズならガンガゼはカカオマス50位のチョコみたいな
あっさりした白ワインに凄く合いそうな味でした。

そして小林さんに「これ全然美味しいっすよ！」って言いました。
「そーなんだ？美味しいんだ？」と

そしていっぱい獲って、剥いて塩水につけて東京に持って帰りました。
行きつけの居酒屋さんがあるので、そこの大将や常連のみんなに食べてもらったら、「これ商品になるよ！いいよこれ！材料としても使えるしね！」と
絶対奥さん以外に忖度しない大将が、そー言ってくれて、常連さん達もウニ美味しい〜ってなりました。
元犬の心の池谷さんにも送ってみたら、大将と同じ感想でした。
そして家でうに丼と天ぷらを作ってみました。
全然美味しかったです。

それから、なんでみんな「美味しくない」って言うのか考えました。
そして論文も調べまくりました。

ウニのイメージで食べちゃうから「美味しくない」なのかなぁと。
何か物を食べたい時はお腹空いてるので、お腹空いてる時はなんでも美味しいって言うけど、

ガンガゼの場合、
獲る、
トゲ折る、
割る、
内蔵と砂を取る、
食べる部分を取る、
まだくっついてる内臓の膜とかを取る、
海水で洗う、
食べる

工程が多すぎて、その間に視覚から入る、ウニだ！ってのが強くどんどんハードや期待値が上がって、食べたら味薄い〜=「美味しくない」になるのかなぁと。
あとガンガゼは甘み成分より苦味成分が多い時期があるので、その時期に食べちゃった人に言いふらす人が多くて、美味しくないイメージがついたのかと思いますです。

そしてまた沼津の小林さんの所に行き、みんなの感想と自分の作って食べた感想を言い
「これ絶対商品になりますよ！」
「そんなに言うなら動いてみるよ。ガンガゼを獲れる様になったら、わざわざ駆除しなくていいし、冬場のダイバーのお仕事にもなってみんなの為にもなるし、海が綺麗になるしね」と
「ありがとうございますです！小林さんも1度食べてみてくださいよ」と言ったら
「海の幸食べれないんだよね〜…」
と、まさかでした。
いや、まさかというより、ダイバーはそうあるべきなのか？
海中が職場だから、職場の仲間を食べるなんて…
ジョッキーが馬肉食べないのと同じなのか。
たしかに僕も、チョコプラやインポッシブルを焼いたり蒸したりして食べないのと同じ。

「生臭いんだよね〜」