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必要十分条件を知らないと騙される

おはようございます。毎日投稿57日目になりました。今日も頑張っていきましょう!

必要十分条件とは?

   高校数学までやった人なら、おそらく必要十分条件というのは勉強してきたと思います。
  
   例えば、「aとbが偶数」なら「a+bも偶数」だけど「a+bが偶数」でも「aとbは偶数とは限らない」から、「aとbが偶数である」というのは「a+bが偶数である」の十分条件であって必要条件では無い、といったやつです。
 
   高校数学だとこの程度にとどまってしまいますが、「論理」というのを構築する上では「因果」を説明するために必要十分条件というのは欠かせません。僕が専攻している数学というのは「論理」が命なので、数学をやる以上この必要十分条件は絶対必要不可欠なものです。そのため必要十分条件には人より分かっているつもりです。
 
   そこで、日常生活に潜む必要十分条件で説明が出来るワナを今日は紹介したいと思います。

必要十分条件と相関の違い、分かりますか?

   まず、必要十分条件と似た概念として、「相関」というものがあります。相関というのは、2つの指標の関係性を表していて、例えば「学力の高さ」と「IQ」はどちらかが高ければもう一方も高い“傾向”があるので正の相関があるといえます。一方、「体重」と「足の速さ」は負の相関があります。

   この相関と必要十分条件というのは確かに似ているのですが、明確な違いがあります。それは、相関というのは“因果の方向性を示していない”ということです。
 
   例えば、「頭の良さ」と「赤門(東京大学本郷キャンパスの有名な門)を通る頻度」というのは相関があります。なぜなら東大生が毎日行き来しているからです。でも、頭が良くないとしても、赤門を(物理的に)通ることは可能です。そこで、「頭がいい東大生が赤門を通っているから」という理由でひたすら赤門を行ったり来たりしている受験生がいたら、きっと皆さんは制止して「頭が良くなりたければ勉強しなさい」とアドバイスするはずでしょう。なぜならこの2つは相関はあっても因果はないからです。

   このくらいの例だと分かりやすくてバカバカしいと思われるかもしれませんが、同じようなことが世間には溢れています。
 
   例えば、新聞をとってほしい新聞社はよく「新聞をよく読む子供はテストの点数が高い」という文句を用います。これは確かに相関があり、新聞社も「ちゃんとデータがありますよ」と煽ってきます。しかし、因果というのは全くもって別の話です。この文句を聞いて新聞を読み始めたからといって成績が上がるとは限りません。実はこれも先程の赤門の例と同様です。別の調査によると、頭のいい子供はテレビニュースも見る頻度が高いということが分かっているそうです。つまり、「新聞を読むから頭が良くなる」のでは無く、「時事に関心のある子供は頭がいい傾向にあって、同時に新聞もよく読む」ということです。そもそも時事に関心がない子供が新聞を読み始めても学力は良くならないし、それならその時間勉強した方が遥かにいいと結論せざるを得ません。

因果を突き止めるのはめっちゃ難しい

   因果を突き止めるのは、相関を突き止めるより遥かに難しいです。大学の経済学や心理学などの研究も難しいのはそこなんです。データからは相関は分かっても因果は分からないことが多いです。
 
   しかし、この因果を含めた必要十分条件と相関の違いを分かっていない人が多いので、企業はよくその企業にとって都合がいい相関を持ち出して宣伝します。
 
   また、医学的な見解がよくひっくり返されるのも因果を正しく評価できていないからだと思われます。
 
   是非、必要十分条件を正しく理解して、賢く生きていきましょう!

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