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1/24 17:18 鍋との対話

なんで私は私なんだ?と肉じゃがに話しかけた。
この肉じゃがは肉じゃがになるべくしてなったわけではない。

とりあえず野菜を切って考えようと、
じゃがいも
にんじん
たまねぎ
を切った上で、次に冷蔵庫から出したのが肉だった。

ここで私は悩んだ。
シチュー、カレー、豚汁、肉じゃが……
この素材たちは何にでもなれたのだ。
他に何か足すとしても、食材はたんまりとある。

とりあえず玉ねぎを炒め、根菜を炒め、肉を炒めた。
そこまで来たら、もう選択を余儀なくされる。
コイツをどうしようか。
大きめのじゃがいもを見ていたら、何となく、ダシを感じたい気持ちになってきた。
私が選んだのは肉じゃが。
ダシ汁を入れて、アクを取る。
白滝は肉が固くなるから入れない派。
味付けをして、最後にスナップエンドウを添えた。

だからこの肉じゃがは、肉じゃがとして望まれて出来たわけではない。
油と根菜の甘い香りで、ダシを選ばれただけ。

なぁ、肉じゃがとして幸せか?
なぁ、本当はカレーになりたかったとかある?

2日目の肉じゃがは答えず、鍋でコトコトと温められている。

あのさ、私、もっといい人間になりたいとか思う時あるよ。
なんで私は私なんだろうって考えることもある。
自分の人生の過程で、こういう人間になっちゃったんだよね。
私はさ。
別に幸せじゃないわけじゃないよ。
今日も肉じゃがが美味しいし。

つまみ食いしても、やっぱり肉じゃがは答えてくれない。
今の私じゃなきゃ、この味が美味しいだなんて思わないかもしれない。
私も美味しくなってやろう。
時々味付けを間違うけど、結果的に美味しいご飯だったと思われたい。

ちなみにメークインで作りました。

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