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7/5 18:33 ワンピースひるがえして

気付けば雨の季節が終わりかけているのでは。
部屋に満ちる湿気と雨音で目を覚ますより、じわりと暑い空気と日差しで起床する。
例年通りなら7月中旬頃に梅雨が明け、真夏が始まるはず。

ゲリラ豪雨に肌濡らす夏が好きだ。
コンクリートが息をするように雨の匂いを発する瞬間が好きだ。
雨だけじゃない。
蒸れた夏草。生き物這う土。
身体の中に溜まる熱。肌をじりりと焼く太陽。突き抜けるような青空。
逃げ場のない季節が、生命を感じさせる。

ただ、汗は辛い。体臭や化粧が気になるから。
何も気にせず風のように走り回った時代がひどく懐かしい。
人の目を気にするオトナになれたのだ。
若さを羨むことはない。
自分の中にある爽やかな風をリフレインさせているだけだ。
一陣の風になり、駆け抜けた日々。
草原では風が白く波打ち、麦わらを飛ばす。
その瞬間、私自身も風になるのだ。
攫われ、押され、飛び立つ。
ワンピースが広がるのも気にせずに、高く、高く。
未来や過去に捕らわれず、景色だけを焼き付ける眼。
極色彩の世界は、私を地球の一部としてしまう。
ーーそんな夏の風を思い出しているだけだ。

もうすぐ夏が来る。
オトナになった私が床にへばりつく。
重さに耐えきれなくなった身体。
二度と地球の一部になれない身体。
飛ぶこと叶わず、今日も扇風機のスイッチを入れた。

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