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合同会社の作り方(東大阪編)


1.商号調査
最初に行うのが類似商号の調査になります。

■類似商号の調査
同じ会社名が同一住所(ビルなど)にないか調査するのが類似商号調査です。義務ではないのですが、やっておいた方がよいでしょう。今の時代、事業を行う上でホームページが必須ですが、同じ商号の会社がどれぐらいあるか、つまり検索エンジンで競合となりそうな会社がどれぐらいあるか調べましょう。競合が多い場合は、会社名を変更した方が無難です。また大手企業と誤認しそうな名前は避けましょう。ディズニー・コンサルティングなんて会社名をつけたら絶対にディズニーから変更しないと訴えるよという通知が届きます。

また自分が考えている商号でドメインが空いているかどうかも重要です。ドメインの取得料金は安いので、商号を考えたらおさえておきましょう。商号の検索ですがオンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査ができますが、法人番号公表サイトができましたので、こちらで類似商号の調査が簡単にできます。

■印鑑を発注
会社名が決まったら印鑑を発注しましょう!印鑑は3点セットで角印には会社名が入ります。丸印が二つあり、一つが実印で合同会社の場合は真ん中に「代表社員」となります。もう一つが銀行印になります。材料に柘を指定し注文して15,900円でした。注文すると3日ほどで届きます。

2.定款をつくる
■印鑑登録証明書をとっておく
定款には代表社員の実印を押しますが、別途、印鑑登録証明書を添付しないといけません。また印鑑登録証明書に記載されている住所通りに記載しないと定款の修正になったりしますので、何はともあれ印鑑登録証書を取りに行きましょう。実印登録していない場合は役所へ行って登録から手続きしないと行けないので、相当の日数がかかります。印鑑登録証明書ですがマイナンバーカードを作っておけば、全国のコンビニで印鑑登録証明書を手に入れられますので便利ですねえ。(手数料300円)

■定款をつくる
以前はネットで定款を検索して書き換えたりしていましたがクラウド会計各社から便利なツールが無料で提供されています。私はfreeeが提供している会社設立freeeを使いましたが、他にもMFクラウド創業支援サービスや弥生のかんたん会社設立などがあります。

合同会社で決めないといけないのが
・商号
・会社の住所
・代表社員
・事業内容
・出資金
・決算期
・公告 官報にするのか電子公告にするのか 電子公告ならURL
だけで、これを会社設立freeeに入力すると定款が出来上がります。定款のチェックをしてほしいとネットで探すと東大阪公証役場で行っているということで連絡してFAXで送ったら、合同会社の場合はチェック不要だと返事が返ってきました。

会社設立freeeでは定款の電子認証を司法書士に依頼(5,000円)するか、もしくは紙で東大阪公証役場に出すか(印紙代4万円)の選択画面になります。電子認証すれば印紙代4万円は必要ありません。自分で電子認証する手もあるのですが面倒そうなので司法書士に依頼しました。連絡して振り込むと司法書士が電子認証をしたPDFを送ってきますので、これをCDに焼きます。

【ここまでかかった費用】
印鑑 15,900円
印鑑登録証明書 300円
電子認証 5,000円
   合計 21,200円

3.登記
■出資金を振り込む
会社設立前なので法人口座がまだありません。そこで個人口座に出資金を振込ます。自分の名前で自分の口座に振込します。振込をしたらすぐに通帳の記帳をします。でないと後の取引明細が下に並びますので、なるべく早い方がよいでしょう。コピーするのは通帳の表紙、裏表紙、出資金の明細が書かれた3枚になります。

■法務局に出す書類を用意する
会社設立freeeでは提出書類の一式が出てきますので、これを印刷します。どう書類をセットするか、どこに印鑑を押すかは説明がありますので、その通りにします。

合同会社設立登記申請書
登録免許税納付用台紙
代表社員、本店所在地及び資本金決定書
就任承諾書
払込があったことを証する書面(通帳のコピー)
印鑑届出証明書
別紙(OCR)
CD-R(電子定款)

■法務局へ行く
郵送もできますが、河内永和駅近くにある東大阪法務局へ提出に行ってきました。登記するには登録免許税が必要で、「6万円または資本金の額の0.7%のうち高い方」となっています。 0.7%を超えるのは資本金860万円ぐらいですので、これ以下の資本金なら6万円になります。東大阪法務局の2階で印紙を売っていますので、6万円を買って、登録免許税納付用台紙に貼ります。提出先は1階の商業・法人登記の窓口になります。

窓口で書類一式とCD-Rを渡したら印鑑カード交付申請書をもらいました。登記が終わったら印鑑カード交付申請書を出せるそうで、提出書類に不備があれば電話するそうです。大体、4営業日後ぐらいまでには終わるそうです。

提出が終わったら近くにある東大阪税務署と年金事務所をまわって会社設立で出さないといけない書類一式をもらってきました。

【ここまでかかった費用】
印鑑 15,900円
印鑑登録証明書 300円
電子認証 5,000円
登録免許税 60,000円
   合計 81,200円

4.履歴事項全部証明書
■法人番号指定通知書が届く
東大阪法務局へ定款などの設立書類を出し、4営業日の間に電話もなかったので無事に設立されたようです。と思っていたら1週間ほどすると法人番号指定通知書が郵送で届きました。法人には法人番号がつくようになりました。これで無事に設立されたことが確認できました。

■東大阪法務局へ法人の印鑑登録にいく
東大阪法務局1階で前回、もらった印鑑カード交付申請書に法人の実印を押して提出すると5分ほどで印鑑カードがもらえます。印鑑カードは印鑑証明書を発行する時に必要となります。2階窓口で履歴事項全部証明書の申込書を書いて4枚発行してもらいましたが、実際に必要だったのは2枚でした。税務署のホームページなどを見ると登記簿謄本がいると書いてあり、窓口で聞くと登記簿謄本は昔の言い方で今は履歴事項全部証明書に統一されているそうです。まぎらわしいですねえ。

2階の奥に印鑑証明書の発行機があったので、さっきもらった印鑑カードを差し込んで発行しました。と言っても機械から証明書は出てこず、窓口でもらいます。(笑)

【ここまでかかった費用】
印鑑 15,900円
印鑑登録証明書 300円
電子認証 5,000円
登録免許税 60,000円
証明書発行手数料 2,850円(600円×4通+450円×1通)
   合計 84,050円

5.税務署へ行く
■会社設立日とは
法人番号指定通知書に法人番号指定年月日とあるので、これが会社設立日かなと思ったら、履歴事項全部証明書を見ると東大阪法務局に書類を出した日が会社設立日になっていました。設立年月日にこだわる人は、持ち込み日や郵送日でコントロールできそうです。東大阪法務局で受け取った履歴事項全部証明書をコンビニで3枚コピーしました。

■東大阪市税務署
前回、もらった下記の書類を提出します。提出用と控用の2種類があり、ひたすら同じ内容を手書きするのが、けっこうハードですね。法人設立届出書に法人設立の形態があり、いわゆる法人成の場合は「個人企業を法人組織とした法人である場合」に丸をします。個人事業をそのまま残す場合は空白でかまいません。
・法人設立届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
・青色申告の承認申請書
・棚卸資産の評価方法の届出書
・電子申告・納税等開始届出書

あとネットを調べていると源泉所得税の納付を毎月ではなく年2回に集約する場合は下記の書類を出しておかないとダメというのを見つけてこちらも提出します。
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

これに定款のコピー、履歴事項全部証明書(原本)、合同会社の社員(出資者)名簿、設立時の貸借対照表を添えて提出します。控用の書類に受付印を押して返却してくれます。

6.年金事務所へ
■東大阪年金事務所
法人では経営者も給与をもらう立場となり、自分で自分に給与を払うことになります。ただ最初に月給を決めて期の途中で変更はできませんので、けっこう思案しないといけません。売上があがらない間は自分の給与で資本金を食いつぶすことになります。ですので資本金はある程度、積んでおかないとすぐに債務超過になってしまいます。

自分の月給を決めたら東大阪年金事務所へ。受付で会社設立の手続きですと言うと2階に案内されました。ここで出すのは下記です。
・新規適用届
・給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書
・被保険者資格取得届(月給はこっちに書く)

一緒に定款のコピー、履歴事項全部証明書のコピーを提出します。

■大阪府中河内税務署
府の税務署にも設立の届出がいります。東大阪の場合は小阪にある大阪商業大学のすぐ北側に大阪府中河内税務署があり、ここに提出します。15年前、開業届を出しに行って以来です。ここで出すのは法人設立等申告書で、定款のコピーと履歴事項全部証明書のコピーを提出します。提出すると申告書のコピーをとって受付印を押して返してくれました。

■東大阪市役所
次に荒本の東大阪市役所へ、法人設立は3階の税務部へ。法人等設立(開設)申告書を定款のコピーと履歴事項全部証明書のコピーと一緒に提出します。ここでもコピーをとって受付印を押して返してくれました。というわけでこれで手続きは全て終了!

と思っていたら国民健康保険の窓口が2階にあったので聞くと、「国民健康保険脱退手続き」を出さないといけないということで協会けんぽから書類が届いてから郵送すればよいそうです。

■法人口座を作る
都市銀行などで口座を作ると月額手数料が2,160円いりますので、月額手数料がかからないネットバンクに法人口座を作ることにしました。口座開設依頼書以外に履歴事項全部証明書(原本)、法人の印鑑証明書、定款のコピー、個人の身分証明書(免許書)などがいります。審査が通れば法人口座開設になりますが、提出してから2週間ほどかかります。

【合同会社設立でかかった費用】
印鑑 15,900円
印鑑登録証明書 300円
電子認証 5,000円
登録免許税 60,000円
証明書発行手数料 2,850円(600円×4通+450円×1通)
合計 84,050円

【合同会社設立にかかる時間】
印鑑作成(届くまで3日ほど)→書類作成→法務局へ提出→4営業日後ぐらいに登記終了→税務署などへの届出→口座開設依頼→2週間ほどかかる
ですので印鑑作成からいくと3+4+14で3週間ほどになります。

7.合同会社設立
商号は個人の屋号「水谷IT支援事務所」を英語にすると「Mizutani IT Support Office」で、ここからOfficeを取って、合同会社エムアイティエス(MITS)にしました。法人番号公表サイトで調べると岡山に有限会社エムアイティエス(介護施設)、東京に株式会社エム・アイ・ティ・エス(ホームページなし)があるだけで、ほとんど使われていない商号です。

合同会社エムアイティエス(法人番号7122003001320)

実は有名な商号で、商号がほとんど使われていないのはラッキーでした。”エムアイティエス”という名前を聞くとIT系の方は大概、「ハハーン」と思います。1974年にアメリカのMITS(Micro Instrumentation and Telemetry Systems)社が出したのがアルテア8800。アルテア8800は世界最初の個人向けマイコンでスタートレックに由来する名前です。アルテア8800から現在に続くパソコン文化がスタートします。若きビル・ゲイツとポール・アレンがアルテア8800向けのベーシックを開発し、MITS社への売込に成功、MITS社の本社があったアルバカーキ―にマイクロソフト社を設立します。

ここらへんの裏話は『バグは本当に虫だった-なぜか勇気が湧いてくるパソコン・ネット「100年の夢」ヒストリー91話』に書いていますので、ぜひお読みください。

▼バグは本当に虫だった
https://www.amazon.co.jp/dp/4295400556

8.国民健康保険返却
協会けんぽから新しい保険所が届いたら「国民健康保険 被保険者資格異動届」&国民健康保険証&新しい保険証のコピーを郵送

■自分に給与を払う
今日は25日、給料日です。合同会社にしましたので役員報酬を自分で自分に払う日です。もっとも”売上も上がってないのに何で給与を払わないといけないんだ”という経営者の悲哀を味わえます。(笑)このままだと資本金を食いつぶしていくだけなので、がんばろうっと!

個人事業では売上から経費を引いたものが報酬になりますが、法人は役員報酬となり、毎月、同じ月給でないと損金算入が認められませんので期の途中で月給の額は変更できません。

また役員報酬からは健康保険、厚生年金の社会保険料の半分を本人負担分として差し引かないといけません。もっとも会社負担の半分も自分で出すのですが。雇用保険料は役員の場合は関係ありませんが、所得税は源泉しなければなりません。預かり金で仕訳します。

住民税(市民税・府民税)に関しては、本を読んでたら毎月、納付するのが面倒な場合は、納期の特例承認申請書を市役所に提出すると年2回(7月と1月)でよいとありました。そんな申請書を出さないといけないんだと東大阪市に問い合わせると、まず普通徴収から特別徴収へ切り替える必要があるそうです。特別徴収ってなんでっかいなあ?

■特別徴収って何
普通徴収-自分で住民税をおさめること 年4回(6月、8月、10月、1月)、1年全額でもかまわない
特別徴収-事業者が給与から差し引いて税金を納めること 毎月(特例で年2回)
なんだそうです。

■大阪府では平成30年度からすべての事業主が特別徴収義務者
特別徴収とは事業主が個人の代わりになって住民税を納める制度で事業主を特別徴収義務者といいます。大阪府では平成30年度からすべての事業主を特別徴収義務者に指定し、個人の住民税の特別徴収を徹底する取り組みを進めているです。というころで新たに事業を始めた場合や法人を新規設立した場合は「特別徴収への切替申請書」の提出が必要になります。

特別徴収は毎月の給与から住民税を差し引き、翌月10日までに納めてる形で、年12回となります。ただし小規模企業の場合は納期の特例を申請することで納期限を年2回に変更することが可能です。

一人会社の場合は、6月分の役員報酬から一年分の住民税を差し引いて、6~5月分の12カ月分の納入書を使用し、金融機関で一年分の住民税を7月10日までにまとめて納めていただくことも可能です。

これでようやく手続き関係は終わりですが、会社運営がはじまると、それぞれの月にいろいろなことを行わなければならず、けっこう面倒です。

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