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ついに来るか?!楽天版‟プライムマーク”

物流特集で「楽天スーパーロジスティクス」を取材

EC・デジタルリテールの専門紙「日本ネット経済新聞」で物流特集を組みました。当社の特集としては大規模な6ページぶち抜きの特集です。特集では物流ソリューションのカオスマップを掲載したり、注目サービスを20社以上取り上げています。

その特集の中で楽天が提供している「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」も取材し、現状のサービス提供状況や今後の展望についてお伺いしました。「送料無料ラインの統一」が来年に迫る中、「RSL」の注目度はさらに高まっています。

▼▼取材記事▼▼
https://www.bci.co.jp/netkeizai/feature/1181

配送料”について注目コメント

取材でいくつか注目すべき話を聞くことができました。1つは現在の競争力のある配送料金設定について。出店者の中には、「安い金額を提示しているが、そのうち値上げするんじゃないの」と思っている方もいると思います。しかし、担当の方は「天変地異がない限りこのままでいく」と力強く話していました。もちろん外部環境や状況が変わる可能性はありますが、基本的に料金の変更はなさそうです。

楽天版プライムマーク”に現実味

あくまでの今後の可能性として、2つの注目コメントがありました。1つは楽天市場でもアマゾンのプライムマークのようなマークの掲載を検討する可能性があるというコメントです。現段階で具体的に準備しているというわけではないようですが、あくまでも今後の可能性として「ありえる」と話していました。

周知の事実ですが、アマゾンではプライムマークが付いているのと付いていないのでは雲泥の差です。そのためにFBAに在庫を預けたり、大手事業者はマケプレプライムに登録したりするわけです。つまり楽天市場が‟プライムマーク”のような配送品質を保証するサービスを実施した場合、出店者はそのマークを掲載できないと売り上げが下がる可能性があります。

マークの基準はどうなる?!

具体的にどんなマークなのか、どんな基準になるのか、などは分かりません(実際にやるかどうかもまだ未知数ですが・・・)。仮にやるとして、どんな商品にマークを付けるのかを予測するには、楽天が目指すサービスを分析する必要があります。

楽天は‟エンド・トゥ・エンド”という言葉を使い、販売から配送まで楽天のサービスで完結させることを目指しています。具体的には、楽天市場のスマホアプリで店舗に問い合わせし、納得いったらアプリで注文し、配送状況や配送の変更もアプリでできてしまうような世界観です。

アマゾンはラストワンマイルは自前化していないですが(デリバリープロバイダーやフレックスで外部リソースは組織化していますが)、楽天は「楽天エクスプレス」で配送まで自前化しようとしているので、インフラが整えば‟エンド・トゥ・エンド”を楽天のサービスで完結できるわけです。

この楽天が目指すサービスを実現できる商品にマークを付けるのではないかと考えています。具体的には「RSL」に商品を預けてラストワンマイルも楽天に任せるような商品です。楽天以外の倉庫を活用していてもシステム連携などを行い、ラストワンマイルだけ楽天のインフラを使うな商品も対象になるかもしれません。

いつからマークを付ける?!

これも分かりませんが、もしマークを付けるとしたら2021年以降になるのではないかと予想しています。というのも、楽天は2021年中に楽天市場の物流の50%以上を「RSL」で手掛ける目標を掲げているからです。現状でマークを付けようと思っても、「対象となる商品が少なすぎて見つけるのが大変」となってしまいます。

楽天市場の50%の商品が「RSL」経由になれば、50%の商品にはマークを付けることができます。この50%がマーク施策を開始する分岐点になるのではないかと見ています。

複数店の同梱配送も実施?!

「RSL」を利用している別の店舗の商品を同梱配送する可能性についても取材では言及していました。ユーザーにとっても複数店舗で買い物した時に、商品を段ボール1箱にまとめて届けてもらった方がありがたいですよね。「RSL」にとっても1箱にまとめた方が配送効率が上がりますし、利用店舗にとっては送料負担を折半できる可能性もあります。“三方よし”のサービスだと言えます。

ただ、「RSL」も複数の倉庫を運用しているので、ただ、「RSL」で預かっている商品だから同梱できるというわけではなりません。ユーザーにとって分かりやすいサービスを設計できれば、同梱配送も実現可能になるでしょう。

複数店の購入で送料無料ライン超えもOKに?!

ここで気になるのが「送料無料ライン」です。現状の説明では「送料無料ライン」の対象商品は、同一店舗商品のみです。「RSL」で複数店舗の同梱が可能になるのであれば、「複数店で買った商品が3980円を超えれば送料を無料にする」といったサービスも実現できるかもしれないのです。

そうなるとユーザーにとっては「送料無料ライン」の条件を満たしやすくなりますし、楽天にとっても顧客の購入単価の向上が期待できます。店舗にとっては購入機会は増える可能性もありますが、自店だけでついで買いを訴求できなくなるマイナスな部分もあります。

ここは判断が難しいところですが、楽天がユーザーファーストを追求するのであれば、店舗をまたいで送料無料ラインをクリアできるサービスを実施する可能性は大きいと思います。

今回は過程や推測の部分が多かったですが、楽天への取材で感じた物流サービスの可能性を考えてみました。今後も取材活動を通じて、楽天の動向を追いかけていきたいと思います。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います