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”サブスク”ブームの舞台裏

仕掛け人テモナ

最近、「サブスクリプション(サブスク)」と聞く機会がぐっと増えました。以前からあるビジネスモデルですが、リピート通販向けカート最大手のテモナが「サブスク」をガンガン仕掛けているので、EC業界で聞く機会も増えているのだと思います。

私も取材させてもらいましたが、今年1月にはテモナの佐川隼人社長が立ち上げた「一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会」のキックオフイベントが開催されました。そして今日、テモナのリピート通販向けカート「たまごリピートNext」が「サブスクストア」に名称を変更すると発表しました。テモナは「リピート通販」から「サブスク」に事業ドメインを映し、「サブスクのテモナ」になろうとしています。

そもそもサブスクって何?

「サブスク」とは、Wikipediaによると・・・

サブスクリプション方式はビジネスモデルの1つ。利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式。コンピュータのソフトウェアの利用形態として採用されることも多い。

最近のサービスでは定額制の音楽配信サービスなどが代表例ですよね。たしかにクラウドシステムなどもサブスクというので、BtoBでもBtoCでも広がっているビジネスモデルだといえますね。

ストライプインターナショナルのファッションレンタルサービス「MECHAKARI(メチャカリ)」が、テレビCMで「ファッションもサブスクへ」というキャッチコピーを使ったのも印象的でした。一般の人に「サブスク」って言って分かるのかなと思いましたが、何か新しいサービスだと印象付ける狙いがあったかもしれません。

テモナがサブスクに移行したいワケ

テモナは代名詞でもある「たまごリピート」の看板を下ろしてまで(前身サービスは「たまごリピート」のままだが)、「サブスク」を打ち出したいのにはいくつか理由があると思います。

1つは「サブスク」を事業ドメインにすることでサービスの対象が無限に広がる可能性があるということです。「リピート通販(単品通販)」というとどうしても健康食品や化粧品のイメージが強い。しかし、「サブスク」ならサービス、小売り、デジタルコンテンツ、システムなども対象となります。対象が広がればおのずとマーケットが広がり、そのソリューションとして確固たる地位を気付けば、寝ててもクライアントが増えるというわけです。

もともとリピート通販会社がECというチャネルを活用しだした頃に、テモナは「たまごリピート」をいち早く打ち出し、圧倒的なシェアを握りました。リピート通販向けカートシステムで1000社以上のクライアントを抱えているのはテモナだけです。ただ、リピート通販の業界が拡大するとともに、新たなベンダーが参入し、サービス競争も少しずつ過熱してきました。徐々にレッドオーシャン化していく市場で消耗戦を続けるのではなく、テモナはもっと広い市場に出て、いち早く優位性を気付いた方が得策だと考えたかもしれません。

「サブスク」が一般ユーザーにさらに広まるのかも気になりますが、「サブスク」のソリューション市場がどう変遷していくのかも注目していきたいと思います。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います