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CORNELIUS 「夢中夢Tour2023」   FINALに寄せて

NEWアルバム「夢中夢」を冠した全国ツアーが2023年9月30日から10月31日まで全7公演が終了しました。うち3公演を観ることができましたので、雑感を残したいと思います。

アルバム「夢中夢」からの期待

活動再開後、シングルのリリースから待望のNEWアルバム「夢中夢」は2023年6月28日にリリースされました。前情報通り歌モノが増えており、小山田さん自身は歌声についてはあまり語らないですが、僕らは大好きで待っていました。
 同時に表題曲的な「霧中夢」はアンビエントな音作りとなっており、リリース時の渋谷PARCOでの展示でも会場を包む音像に触れて、このツアーの中核となるのは間違いないと考えていました。

開演迄の高まり

私の夢中夢ツアー初日は、KT(コーエーテクモ)ZEPP横浜でした。
会場に入ると、これまでのコーネリアスライブで使われていたスクリーンに投影された「輪っか」はなく、鳥が何パターンか飛び回り、小山田さんがセレクトした楽曲が静かに流れていました。(楽曲についてはプレイリストまでまとめていらっしゃる方々がありますので、お任せします。)
 時間となり、コーネリアスグループの一人一人がシルエットで登場した後、1曲目の「火花」からライブが始まりました。

パワーアップしたコーネリ棒と、箱型レーザー

コーネリアスのライブは、言うまでもなく音と映像、そしてライティングを含めた光の演出が絡み合う、総合演出の素晴しさに尽きると思います。
 これまでもステージ後方に配された光る棒(語彙・・・)が活躍し、5月の六本木ヒルズで行われたTOKYOMAPSでは、ヒルズ自体の柱がコーネリ棒となり私たちを驚かせてくれました。
 今回も、ステージ後方には同様に配されていましたが、2曲目の「変わる消える」で気が付きました「色が変化する!!」と
 また、中盤で披露された「霧中夢」では、謎に配されていた箱型のレーザー機器がその性能を発揮して、会場を縦横無尽にレーザーの光が飛び交い、スモークを着色してゆき、「どこを観たらいいかわからない」状態にさせてくれました。

蜃気楼

僕の中では、アルバムを通じてそこまで印象的ではなかった曲でしたが、映像が加わったこと、4人での演奏となったこともあって3回の公演でどんどん好きになりました。(そして今では聴こえ方が違っています)
 映像の世界観は、世田谷付近と思われる街の雑踏や、近所の公園の散歩(テクテクという効果音が最もあっていると思います)から、意を決して海を観に行くという流れで、僕は一人「海にいくつもりじゃなかった?」と思いながら楽しんでいました。
アルバムでは続いてDriftsなのですが、残念ながら本ツアーでは披露されず、次の機会を楽しみに待ちたいと思います。

cueと環境と心理

環境と心理は、もともとMETAFIVEの楽曲としてリリースされ、それを現在はコーネリアスverとして「夢中夢」にもクレジットされています。
 また、cueはYMOの楽曲をコーネリアスがカバーしているというのは、これも説明不要と思います。
 この2曲を続けて演奏することについては、想像ですが小山田さんの強い拘りを感じざるを得ないです。昨年の高橋幸宏さん50周年ライブ(ご本人は無念の直前出演キャンセル)で、細野晴臣さんとcueを演奏しましたが、その際に細野さんから、「小山田君、ずっと歌ってね」と言われたことが脳裏に浮かびます。

あなたがいるなら

MELLOW WAVES以降、コーネリアスのライブ締めと言えばこの曲であり、僕自身も思い入れの深い曲です。(だからつい「終わりかな」と思ってしまう)
 今回の演出では、特に最終日の羽田では、会場上のミラーボールから放たれた光が客席を含め会場中を優しくつつんでおり、ステージで小山田さんが歌っているのに、思わずミラーボールを見上げてしまいました。

無常の世界(イリュージョン)

ライブ本編は、アルバムの最終局でもある無常の世界がトリを務めました。
アルバムの音源では、演奏もコーラスも基本的には小山田さんと美島さんによるものとなっていますが、ライブでは大野さんのコーラスが印象的でした。
 そして、歌声に酔いしれていると、ステージ両端からスモークが炊かれ、その量がだんだん増えてゆき、「見えないじゃん」と思っていると、いつの間にか音は鳴っているのに、4人はステージを降りており、スモークがやや晴れるとそこには誰も居ない・・・
 思わず、カッコいい!!!と立ち上がり拍手したくなりました。
この演出を含め、コーネリアスのライブは前の方で個々の動きを観たいという気持ちと、ステージ全体を俯瞰で観たいという両方の気持ちにさせてくれる稀有なライブだと思います。(だから何度も観てしまう)

続きを(フィナーレ)

夢中夢ツアーのフィナーレは、アルバム収録外ですが、セルフカバーをされた「続きを」でした。この曲の最初のポイントは何といってもイントロの堀江さんによる白いピアニカだと思います。
 最終日はそこを楽しみにしていたので、未来の人へのラストで堀江さんがさっとピアニカを持ち出したのを見てひとり楽しんでいました。
 前述の通り、コーネリアスのライブは光の演出か映像がセットであることが多いのですが、この曲はシンプルなライティングだったのが印象的でした。
 そして、それは小山田さんからの「曲(歌)を聴いて欲しい」というメッセージと受け止め、これからも小山田さんの音や歌を聴きたいと強く強く思いました。

インコになりたい

2023年10月は、あの暗い日々を越えて、小山田さんのNEWアルバムを聴き、単独ツアーを観ることが出来ている喜びを嚙み締めた1か月でした。そして、完成されたステージを観て、いかに小山田さんがグループの御三方を始め、映像、ライティング等のスタッフに恵まれており、作りこむ中で恐らくボソッと「こうしたほうがいいと思う」くらいでしかない小山田さんの伝え方(勝手な想像ですww)に反応して形にしてくれているかを確認することができました。
 昨年のフジロックやソニマニで戻られた小山田さんに伝えたかった「おかえり」という気持ち(うちわ)は、今回も横浜でのみ終演時のごく短時間、伝えることが出来たと思いますので、もう役割は終えたと思います。
 そしてele-kingのインタビューで「飼っていたインコに心が弱っているときに助けられた」と仰っておられましたので、僕はこれからもタカでもハトでもなくインコとなって、ささやかに応援し続けたいと思います。


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