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1 はじめに

◉1-1  研究動機

大学スポーツの世界は人材の流動が激しい。
基本的に1年で組織内の最年長の4年生が引退し、右も左も分からない新1年生が入部してくる。組織のトップが変わり、新メンバーが入るということは組織内の状況が一変する。
つまり毎年毎年新たなチーム作りから始まり、1年間という短い期間で結果を残さなければならないのだ。これが良くも悪くも大学スポーツの特徴であると考える。

限られた時間で成果が求められる大学スポーツの世界でどうしたら持続的に成長し、勝利を掴むことができるのかについて興味を持ったことがきっかけである。

また今年度、総勢187人の関西学院大学体育会サッカー部で主将を務めた際、組織マネジメントの方法を学ぼうと多くの経営者、リーダーの方にお会いする機会を頂いた。魅力ある彼らに共通して言えることは組織をマネジメントしてきた経験を言語化し、誰でも実践できる形式知まで落とし込めている点である。そしてスポーツの世界はこの「言語化」が苦手である。基本的に暗黙知で行われるからだ。しかしそれでは一時的に競技力の高いメンバーが集まったから強かっただけであったり、昨年度よりもライバルの競技力が下がったから勝てたなどという再現性の低い経験しかチームに残せないことになる。基本的に大学スポーツは小中高の集大成である。にもかかわらずそのような結論で終わってしまうのもどうなのかなと思った。


“MASTERY FOR SERVICE”(奉仕のための練達)をスクールモットーとして掲げる関西学院大学としても勝負の勝った負けただけでなく、社会で活躍するためにスポーツを通して成長することを望んでいるはずだ。


私自身もスポーツから多くのことを学び、成長してきた。だからこそ今までの経験を言語化し、再現性のある状態でリーダーとして頑張ろうとしている後輩たちに何か残せたらと思っている。それこそがスポーツへの、そして関学への恩返しだと考えている。

◉1-2  リサーチクエスチョン

大きく「大学スポーツにおける有効的なリーダーシップ」について研究していく。
偶然的な強さではなく、再現性のある強さについて考えていきたい。そしてその答えはリーダーの在り方にあると考える。
4年間(部活によれば2,3年間)という限られた時間の中でリーダーとしてどのように成長し、自チームが潜在的に秘めているパワーを十二分に引き出すチーム作り・マネジメントとは何なのかについて考えていきたい。

◉1-3  考察の方法


これからやることは『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」の著者、アダム・グラント(2014/01/25)の研究をもとにサッカー部あるいは他の体育会部活における有効的なgive行動の事例を述べていくこととする。
先行研究と事例研究を分けて行うのが通例だが、グラントの事例から派生して大学スポーツの事例を述べていく形が最も伝わりやすいと判断したため、この形をとる。

以上

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