いま、チームを良くしたいと考えている大学生の皆さんへ

「体育会は今、鎖国状態にある」というブログを書いて一年がたった。

外からの学びを相対化して自分やチームと接続させることで、より自分の競技を好きになれたり、自分やチームに誇りを持てたりする。逆に自分の知らなかった無限に広がる外の世界の広さにワクワクすることもある。だから体育会という閉鎖的なコミュニティから一歩飛び出してみよう。

という内容のブログだ。

「ブログを書いてからもう一年がたったのか」と思ったと同時に、結局これからどうしていったら鎖国じゃなくなるんだろうという答えを書いていなかった。いい機会なので、大学体育会生活を振り返り、自分なりの答えを出してみようと思う。今、大学生で、「チーム」というものに向き合い続けている人が読んでくれると本当に嬉しい。

目次
⑴ 大学体育会生活を振り返ってみて
⑵鎖国体育会から出てみて気づいたこと
⑶鎖国を解くために

⑴大学での体育会生活を振り返ってみて

「体育会は今、鎖国状態にある」とはいったものの、今まで生きてきた人生の中で、大学体育会での4年間が一番楽しかったし、一番夢中になれた時間だった。笑

◎なぜ大学でサッカーをするのか。
◎勝利の先に何を望んでいるのか。
◎誰のためにこんなにも頑張っているのか。

こんな問いの壁にぶち当たりながら、とにかく自分やチームメイト、競技と向き合い、自分たちが信じるものに対して挑戦し続けた。この挑戦そのものが自分たちにとっての何よりの報酬だったし、もう一度大学生活をやり直すとしても僕は下の写真みたいな光景を作るために関西学院大学体育会サッカー部に入ると思う。

引用:©︎JFA

引用:関西学院大学体育会サッカー部

そして今、体育会という世界の外に出て、ビジネスの世界でもがき倒している最中なのだが、外の世界に出たからこその気づきもあった。この気づきを、今まさに1つの物事に一生懸命打ち込んでいる大学生のみんなに伝えたい。もしひとりでもこのブログによって少しでも今いるチームがよくなる方向へ進むきっかけになったら嬉しい。

⑵鎖国体育会から出てみての気づき

鎖国から出てみて思う体育会の特徴について考えてみようと思う。

◉体育会の強みは突き詰める「深さ」

大学4年間が楽しかったと言ったものの、スポーツを通して「最高だ」と思える瞬間をなんて、全体の1%もないと思っている。残りの時間はどちらかというと地味で、苦しくて、逃げ出したくなるような時間の連続だったりする。それでも自分たちの理想や成し遂げたいもののために、日々努力している。暗黙知的で言葉にはできていないかもしれないが、体育会に限らず、なにか1つの物事に向き合い続けている人は突き詰めることのできる強さとそれによる「深さ」を持っている。

◉「深さ」はある。しかし「広さ」に問題あり?

何かの物事に対して打ち込んだりとか前のめりに努力し続けられることは体育会として引き続き追い求めていきたいものであるのに対し、やはり広さには課題が残っているのではないのかなと思う。

例えば以下の問いを考えてほしい。

問. 理想のチームをつくるために、チームとして取り組んでいるものはなんですか?

もしいくつか出した答えのなかに例えば、「皆で掃除をする」や、「靴やカバンは並べる」などが早くから出てきた人がいれば、一旦立ち止まって考えてみて欲しい。

「掃除」や「整理整頓」に対して否定するつもりは全くない。多くの先人たちも場を清める重要性を説いているし、僕も重要だと思っている。
僕がみんなと考えたいのは、あらゆる選択肢を検討し、その上で意味を見出して実行しているものなのか、それとも今自分が見えている範囲の中で、”例年通り”実行されているかの区別はつけるべきだ、ということである。
なぜそう思うかについて次の章で述べていきたい。

⑶鎖国を解くために

最後に、今までの話を交えながら今後鎖国体育会を解くために何が必要かについて説いてみる。
結論からいうと、鎖国体育会は、本気で今の組織で成果を残すことにこだわり続けることで解かれていくのではないだろうかと思っている。

◉大学のチームの寿命は短い

1年ごとに、チームの歴史を最もよく知っている、想いを持った4年生は引退し、右も左もわからない1年生が入ってくる。
次の年には全く違う色のチームになっていることもざらにある。

こういった状況の中で必要なことは、もう二度と結成されることのないチームが、1年という短い時間の中で成果を残すための、あらゆる選択肢を検討し、最も勝ち筋になりうる方法をジャッジすることだ。

この世に100%勝てる方法は存在しない中で、チームとしてできることは試合までに勝つ確率を1%でもあげることである。

そのためにリーダーが考えるべきはまず「深さ」ではなく、点を円にすること。選択肢をあらゆる方向から広く見た状態で最も勝つ可能性が上がりそう、且つチームのありたい姿に近づく道を選択し、徹底的に突き詰める。
下図のような穴掘りに似ている。深く掘るためには幅を持たせた方がいいのだ。

参考:専門性の深さと広さ ~深く掘るために、広く掘る~

一年間という短い時間だからこそ、選択肢を広げ、あらゆる状況を想定し、変化の予兆に気づくことができなければ、原因究明に時間がかかり、たとえ発見したとしても改善してチームとして盛り返す前に一年が終わってしまう。もしくはチームとして緊急事態に遭ったときに、チームとしてパニックに陥り、残り時間に焦って的外れな解決策を決行しまったりする。

以上のことを考えると、
もし、本気でチームをよくしたいのであれば、自分たちのチームがやってきていることが本当に筋のいい方法なのか不安になるはずなのである。
世の中に存在する体育会以外のチームやリーダーたちがどのようなやり方で成果を出そうとしているのか、知りたくて仕方なくなる。もしかしたら今よりもっと可能性を広げてくれるやり方が存在するのかもしれないのだから。

◉新たな選択肢

「それはわかったけど結局何したらいいんだよ。」となるかもしれないので、僕らの会社がつくっている「wevox(ウィボックス)」というサービスを、チームをよくする選択肢のひとつに並べさせて欲しい。あくまで1つの手段にしか過ぎないが、僕が現役時代使ってみたかったサービスだ。

wevoxは「チームの状態を可視化し、成長を加速させる」サービス。詳しくは下のスライド資料をまたみていただけると嬉しい。

今回、学生の皆さんには無料で有料サービスを受けられるようにすることができたので、「本気でこのメンバーと勝ちたい、チームをよくしたい」と思っている体育会やサークル、学生団体のメンバーがいればぜひ連絡してきて欲しい。現役のときに僕が多くの方からいただいた恩を、次のリーダーたちに送っていければと思っている。

◉組織が劇的に変わる、なんてことはない

さっきも言った通り、wevoxは選択肢の1つにすぎないし、導入したからといって何かが劇的に変わるわけではない。

でも、みんなのチームの今いるメンバーと共に、

◎「こいつらと過ごせて本当に良かった」と思えるチーム
◎「こいつらのために」と、あと一回多くスプリントし、体を張ってゴールを守ることのできるチーム
◎「このメンバーで勝ちたい」って本気で応援し合えるチーム

そんなチームで過ごせることほど最高なものはないと思っている。

そんなチームを実現させるために、大切なのは、
チームとして、リーダーとして、どうありたいか何を大事にするか
を明確に持っていること、そしてチームの真実に目を向けて、あらゆる選択肢を模索しながら本気でチームを勝利に導き、チームに関わる全員を幸せにする覚悟を決めること、とにかく最後の最後まで諦めずに走り続けること。

そんな理想のチームづくりに打ち込める環境が体育会に増えたなら僕は鎖国なんて二度と言わない!

長くなってしまったし、かなり棚上げしていろんなことを言ったが、今一生懸命チームと向き合っている大学生に何か1つでも気づきや、今後チームをよくするためのきっかけに繋がってくれたら嬉しいし、もし僕に力になれることがあればいつでも連絡してきて欲しい。

うまくいかないことの連続かもしれないけど、お互い頑張りましょう。
僕もこれで話したことが嘘にならないように新たな世界でチャレンジし、もがき続けます。

壁は邪魔をするために現れてきているわけじゃない。本気で目指しているかどうかを試すために出てきている。 by岡田武史


最後までありがとうございました!