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【感想&メモ】aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界

"あなたは、冠詞についての残り半分の事実を知らない!"

気分転換に面白そうな本を見つけましたので、アマゾンでポチリ。英語を話したり、書いたりする上で、なんとなーくでやり過ごしてきた、誰もが苦手「冠詞の世界」

日常の英会話においては、冠詞に限らず、無茶苦茶な英語の用法でも意思の疎通が図れていれば事足りてしまいます。とりあえず、自分の意見や意思を発信し、何とか相手まで到達させる。個人的にこれが第1段階だと思います。

ただ、フォーマルな書類や場面となると、正確な英語は信頼や反響に繋がるので、もう1段階上の英語力が必要に思えます。この段階では、豊かな語彙力はもちろん、冠詞や前置詞、関係詞や仮定法など、文法的な正確さが求められるのではと思います。

中学校からの英語教育で、多くの日本人には、正確な英文法は結構詰め込まれていると感じます。5文型とか受動態とか、代名詞とか、なんやら。ノンネイティブの、特にヨーロッパ圏の英語と比べると、日本人がいかに文法を正しく教わっているかが分かります。(一方、スピーキングは真逆)

しかし、学校英語の授業では、「aなのかtheなのか複数形なのか」って所はさらっと流されてきた気がします。最初に出てくるとaで、二回目だとtheで、一般的な話だと無冠詞で複数形で、、、とそのレベル。

そもそも、a や the など、名詞に付随物が必要なのは日本語と英語の大きな違いです。一体なぜ、そういった言語の仕組みになっているのか?

それは、英語ネイティブが日本人とは違う物の見方をするからです。これは留学した時に僕も気づいたことですが、「言語って使われる地域の人や文化のために生まれて、改善されてきた」ということ。

本書は、そんな認識理解の弱い冠詞の、使い分けや考え方を解説してくれます。英語を日本語訳的に考えるだけでは分からない、ネイティブの感覚にスポットを当てた非常に面白い本です。もし、高校の時にこれが課題図書とかであったらきっと英語を好きになる人が増えただろうな。。

本書では、ルールや原理に基づく例を、繰り返し解説してくれるので、読み進めていく内にやっと少しづつ理解が深まっていきました。以下に印象に残ったところを抜粋・引用していきます。

① aの基本イメージ

「同じ種類のモノがいくつもある内の一つ」
「形あるものの輪郭を相手に伝える機能」

たとえば、democracyを民主主義の意味で使うと形がなく、輪郭も見えない。だけど、民主主義国家という意味合いで使うと、形を持つので、aをつける。

② theの基本イメージ

「話し手同士(読み手と書き手の了解)」
「(他でもない)その」
「あるモノと他のモノを区別する」

③ 固有名詞は「世界で一個しかないものを表す」

しかし、I want to be an Edison のような形で「同じ種類のモノがいくつもある内の一つ」として考えると、「エジソンのような人になりたい」という意味になる。

④ 後ろの表現によって限定されるthe

the door of my room のような表現では、ドアは後ろの of my room によって限定される。ただし、a door of my room となると部屋にドアがいくつかあり、その一つという意味になる。

⑤ 動詞的な意味合いで使われる単語は無冠詞

I go to school  にはa もthe もつかない。それは、school が建物としての輪郭をもった名詞から、活動の場、というような動詞的な意味合いの強い名詞に変わるからである。I learned English at shool. でも同じ。go to bed もかな。

⑥ 官職・身分・役割を表す単語は無冠詞

captain president chairman director といった単語はa /the はつかない。なぜなら、役割の側面により力点が置かれていて、輪郭が弱まるからである。

⑦ luckは可算か、不可算か?

chance は「機会」という意味では a を付けることが出来るが、luckは決してaが付いたり、複数形にはならない。これは、英英辞典で調べると明白。ロングマンによると、「good things that happen to you by chance」と定義されており、単語自体がそもそも複数の要素を含んでいることが分かる。同様のケースは、news / information などがある。

⇛ ここで一点思い出す。以前の記事でmake an effort という表現を考えたときに、effort って可算なんだ、と「?」が浮かびました。なぜなら僕は、effort という単語を「努力」という意味で、日本語の視点で捉えていたから。これも英英辞典で引いてみると、
an attempt to do something, especially when this involves a lot of hard work or determination
とのこと。an attempt なんです。思いっきり数えられるんです。。。
つまり、「努力」はeffortの概念に最大限近づけるべく、当てられた翻訳に過ぎない。それを英英辞典を使わずに盲信した私。。。
いやー、でもどーだろ。「挑戦」とかの訳の方が良くないか。。?

⑧ 形容詞をつけるとaが必要になるケース

at breakfast  /  before luch  などは⑤のケースで、動詞的側面が強くなるため、輪郭が弱くなり、aはつかない。しかし、形容詞が付くと、食べるという動作から、実際に食べるもの輪郭・イメージが強くなり、aが付く
a big breakfast  / a full moon / a half moon

⑨ possible とa possibility

possible はネイティブからすると、かなり弱い確度らしい。感覚的には1/1000ととらえるネイティブも。ただ、possible が名詞となり、a がつくと、輪郭が生まれ確率が上がる。
似たようなケースには a few/few  a little/little がある。aがつくことで否定的意味合いが交代し、肯定的意味合いが増す。

⑩ 病名によってthe がつく理由

the flu のthe は「あの(流行っている)」に相当する、共通了解のthe。一方、流行ではない病気はtheが付かない。

⑪ theはエッセンスを取り出す

Necessary is the mother invention のような場合、the moether のthe  は母親という機能や本質を引き出す役割を持つ。
The pen is mightier than the sword.(ペンは剣よりも強し)の2つのtheも同様の役割である。

⑫  症状とa

a は形あるものの宣言であるが、「始めと終わりがある状態」に関しても形あるものと捉えるらしい。病気によりもたらされる症状の中にはaが付くものがある。
a fever / an itch / a cough / a sneeze / allergy / a headache .....
などなど。上記は全て、ある意味一時的な現象で、始まりと終わり意識できるため、aをつける。
ただし、diarrhea (下痢)はつけない。一見、条件を満たしているように思えるけど、視覚的に液体チックで、輪郭が描きづらいかららしい(笑)


以上!
読んだだけでは、まだまだ冠詞の使い分けのマスターには至りませんが、今後の英語学習のポイントにしていきたいです。

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