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聖地巡礼 Pilgrimage to Islay

アイラ島を巡る冒険

アイラ島というと日本人のウィスキー好きにはとても特別な響きがある。
そこはシングルモルトウィスキーの聖地であり、スコットランドの片隅にある小さいな島はシングルモルトウィスキーの聖地として君臨し、その場所の特異性から聖地巡礼を志すものだけを受け入れる厳しさを備えている。

ロンドンからは凡そ800キロの道のりを行き、更にグラスゴーから先は船に乗るか、小型の飛行機に乗りそこまで行くしかない。おそらく余程の物好きでないとわざわざここまで行こうとは思わないことだろう。もしあなたがそれでも迷わずアイラ島を目指すのであれば、敬虔なウィスキー教の信者で、その困難を厭わない聖地への巡礼者と呼ぶことができるだろう。

驚いたことに、イギリス人は思いの外、アイラ島のことを知らない。そもそもIslayと書いても発音すらできず、教えて上げると少し訝しげに「アイラ」と呟いている。定量的に物事を図らないと気が済まない向きには、僕が10人に質問し、一人しかアイラと正確に答えられなかったと言うと納得してもらえるだろうか。いや、一般の健全な市民はウィスキーの生産地など知る由もないではないか、と言われるかもしれないが、それは今ここで僕が伝えたいことではないので割愛しよう。

そして、発音をうまくできるようになったイギリス人はいい旅だねと言ってくれる。そして笑顔で何をしに行くのかと聞く。イギリス人は良い意味でそこまで人に関心がなく、僕の聖地巡礼に異議を唱えたりしない。ああ、行ったら良いではないですか、でも何をしに?

そこで僕は、”Pilgrimage(聖地巡礼)”だよ。と答える。多分イギリス人たちは物好きなヤツだなと思っているのだろうけれど、うんスコットランドは良いところだよ、Obanにも立ち寄ったら良いよ等とアドバイスしてくれる。Northern Light(オーロラ)が見れるかもしれないね、と言ってくれる人もいた。イギリス人は何となくおおらかでこんなところは大好きだ。日本だったら批判合戦が始まってしまうかもしれない。一つのメタファーとして。

さあ、聖地巡礼に出かけよう、僕は一人クリスマスで華やぐ街で、クルマに装備を詰め込む。冬のスコットランドだ、油断は禁物。いざ何かあったら車内でも過ごせるようにしていこう。そして、クリスマスプレゼントにもらったArdbegのWEE BEASTIEも詰め込む。

この感じ、久しぶりだ。

いざ、聖地巡礼へ。


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