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売文ー詩、短編、詩小説、ブコウスキー翻訳

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  • 狂った足音に引き裂かれた夜

    the night with mad footsteps Charles Bukowski

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『詩 ロクデナシの1人』

寡作だがそこそこイイ詩を書くカビ 素敵な1軒家に住むカビ 年に数回ガールフレンドに会うために南国へ出かけるカビ ロクデモナイ詩人たちの中では生活にゆとりがあるカビ 数万円はするTシャツをいつも着用し、 ピカピカの高価に見える革靴を履くカビ 髪はサーファーのようにセクシーで、 歯は天然塩を使って磨くので歯茎は乙女のピンクのカビ 「どうやってそううまくやってるんだ?」ロクデナシの詩人の1人が言う 「赤い封筒とピカピカのコインさ」カビは言う 伸びた前髪を耳にかけるカビ 鏡に映る自

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    • 『なあ、元気か?』

      hello, how are you? Charles Bukowski やつらが恐れていることは何だ:死 少なくともやつらは路上にはいない、やつらは注意深く家の中で過ごす、青白い顔をした狂ったやつらは1人テレビの前で過ごし、加工された、バラバラの笑い声に満ちた人生を生きる 小さな家の 小さな緑の芝 駐車された車 やつらの理想の近所 休暇のあいだ やつらの親族が訪ねてくるたびに 小さなドアは開閉する 扉は閉まっていく ゆっくりと死んでいく瀕死の者たちの背後で まだ生きて

      • 『やつらは何を必要としているのか』

        they need what they need Charles Bukowski サンペドロには世界中でもっともデカい航空機の1つがある その航空機はもう飛ぶことはなく 世界中でもっともデカい客船の隣に留まっている その客船ももう航海することはなく 蒸気上げるほどの夏の昼下がり人々は列をなし 動かなくなった記念物を見物するためにカネを払う やつらにセザンヌかミロのような有益で本物の何かを見せてやれ やつらはただオマエを見つめ訝ることだろう

        • 『キツネのようにズル賢い』

          crazy as a fox Charles Bukowski クリスマスシーズン オレはまだ少年で 母親と2人でデパートにいた 母親はガラスケースの前で立ち止まり オレもその前で立ち止まった ガラスケースの中はおもちゃの兵士たちで溢れていて、 ライフルや銃剣を持った兵士たちもいて、 たくましい馬に乗った兵士たちもいる、 おもちゃの大砲やマジンガンをぶら下げた兵士たちもいた 有刺鉄線を張り巡らせた本物のような塹壕や飛行機や戦車さえあった 母親が聞いた「欲しいかい、ヘンリー?

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        『詩 ロクデナシの1人』

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          『ネコとオマエとオレ』

          cats and you and me Charles Bukowski エジプト人はネコを愛し 多くの場合自分たちの子供と埋葬されるよりは ネコと埋葬されることを選び イヌと埋葬されることは決してなかった そして現在 ネコの魂を持つ素晴らしい人間は滅多にいない とはいえ今も昔も 多くの美しい品格あるネコたちが 世界中の路地をぶらついている 今夜の口論についても たとえそれがどんなことでもあったとしても そしてそれがオレたちをどんな不幸な目に合わせようとも どこかに

          『ネコとオマエとオレ』

          『コンピューターでタイプする』

          spelling it out on computer Charles Bukowski エンター、コンピュータはここだと言う ディリート、コンピュータはそこだと言う リターン、コンピュータは言う シフト、コンピューターは言う コンピュータは言う、コントロール コンピューター言う、タブ コンピューターは言う、クリア 夜中過ぎに木々が風に揺れる、 オレはかつて25歳で 今よりもっと強く、もっと勇敢で 世界中で知られていた

          『コンピューターでタイプする』

          『運のいいやつら』

          The lucky ones Charles Bukowski 午後6時15分高速道路で雨に降られて渋滞している こいつらは運のいいやつらだ、 従順できちんと雇われていて、 たいていは何も考えないよう何も思い出さないよう ラジオを大音量でかける これがオレたちの新しい文明だ:かつて人間が木や洞窟の中に住んでいたように今は車の中や高速道路で過ごす 車のギアを2速から1速へ1速から2速へと切り替えているあいだローカルニュースが何度も何度も流される 運の悪いやつが先の追い越

          『運のいいやつら』

          『終わりのない詩』

          a song with no end Charles Bukowski ホイットマンは書いた 「私は身体を駆け巡る衝撃を詩う」 オレはやつが何を意味していたかわかる オレはやつが何を欲していたかわかる: 死は避けられないからこそ 一瞬一瞬を完璧に生きる オレたちは死をごまかせないが 死がオレたちを捕らえるとき やつに一汗かかせてやることぐらいはできる 死もオレたちと同じように完璧な勝利を知ることだろう

          『終わりのない詩』

          『結核』

          TB Charles Bukowski オレは1年間こいつと戦っていた、 ベッドで本当に多くの時間を過ごした、 咳が出ないように枕を2つにして身体を起こして眠った、 頭からすべての血が抜かれベッドから横向きに倒れそうになって目を覚ますこともよくあった 結核の感染力が強くなってからは見舞いに来るやつらもいなくなり電話が鳴ることもなくなった これは結核にかかってよかったことだ 日中はテレビを見てメシを食って過ごしたが 満足のいく生活とは言えなかった 連続ドラマとトーク番組は日

          『結核』

          『自分自身がロクデナシだと知ることは最高だ』

          It is good to know when you are done Charles Bukowski たいていのことは最終的にはうまくいく タバコに火をつけ通り歩き、年を取り、贅肉がつき、感受性を失っていく 靴を履くこと、愛を交わすこと、思い出すこと、伝えること、かつて小説を読んでいたこと、それはただの行為に過ぎない 友人たちに天気や体調のことでさえウソをつく 今日は水曜日か?あるいは木曜日か? ピアノリサイタルに行くかあるいはフットボールの試合を観るか: 現状に満足

          『自分自身がロクデナシだと知ることは最高だ』

          『KFACクラシックラジオ』

          KFAC Charles Bukowski オレはいつものように腰を落ち着ける ラジオアナウンサーが言う、 「次の3時間私たちが聴くのは、、、」 夜の11時 オレは長年に渡ってこの男の声を聞いている この男もそれなりに歳をとっているはずだ この放送局は最高のクラシック音楽を流す このラジオを聴きながら、 いったい何人の女と暮らしてきたのか いったい何台の車を所有してきたのか いったいどれくらいの数の場所で暮らしてきたのか オレには思い出せない やつの声を聞くたびに ま

          『KFACクラシックラジオ』

          『言葉を愛する者たち』

          darlings of the word Charles Bukowski サンフランシスコから2人の詩人(1人はかなり有名だ)がロサンジェルスにやってきた 女はやつらの朗読を聞きに出かけて行った オレはその時 もう人前で朗読しなくていいと喜んでいた オレは別に朗読会場にせかせかと向かい 群衆たちに詩を読み聞かせるために書いているわけじゃない カネのために詩を読んでいたこともある 家賃を払うためにやったことだ だが有名なカネ持ちたちがいまだに朗読していることを聞いて

          『言葉を愛する者たち』

          『パスポート』

          passport Charles Bukowski パスポートの写真を撮りに行った 受付は30代後半の女で その女の胸はドレスから今にも落ちてしまいそうだった 女はオレを部屋の奥に連れて行き ライトの下に座らせた 「あなた興味深い素敵な顔をしてるのね、」女は言った オレは女にアンタの胸こそ興味深くて素敵だと言いたかったが それは言わなかった 「あなた作家なの?」女は書類に目を通しながら聞いた 「ああ」オレは認めた 女が先手を打ってきた 「今度はあなたの本を持ってきてくれる?

          『パスポート』

          『ルームサービス』

          room service Charles Bukowski オレがタイプしているときに 女は善意でやってくる タイプライターが立てる音が オレにより多くの運と成功をもたらすと 女を勇気づける 女が突然部屋に入ってきて 女の呼び声がオレの耳に飛び込んでくる オレは乱暴にイスから飛び上がり 叫ぶ: 「まったくなんてこった!」 女は軽食を載せたプレートをオレに渡す 「どうも」オレは女に言う、 「だけど死ぬほどビビったぞ、オレがタイパーに向かっているときはここには意識が

          『ルームサービス』

          『サンティアゴから来た若者』

          The kid from Santiago Charles Bukowski チリから若いやつを連れてきた 無表情で、つぶれた鼻、肩甲骨は天使の羽のようだ、 そいつを10ラウンドのメインイベントに上げる 相手はシュガーボーイマットソン 14戦連勝で7 K.O、 若者の名前はヤロ、 ヤロはマットソンを2ラウンドでノックアウトした、 おそらくラッキーパンチだっただろう、 4週間後ウェルター級4位の選手と試合をする ヤロはそいつを4ラウンドで仕留める ヤロは髪型をキメ、 新車のサ

          『サンティアゴから来た若者』

          『出馬表』

          the condition book Charles Bukowski 長年に渡る競馬通いが オレを飲み込み消費した オレは馬であり、騎手であり、1200メートルであり、1400メートルであり、1700メートルであり、ハンディキャップであり、すべてのシルクの色であり、写真判定であり、落馬であり、死であり、最下位であり、レース中断であり、電光掲示板の故障であり、鞭の落下であり、数千人の顔に浮かぶ夢が破れた鈍い痛み、オレは真っ暗闇で雨が降るなか長距離を車で走る、オレは何十年も

          『出馬表』