見出し画像

めんどくさいから、過去作の再掲で済ませたい


(承前)


はいどうもー。モンハンもそれなりにやったんで、そろそろ再始動します。前回は忍殺のテキストについて理屈っぽい話に終始しちゃったんで、今回は実践編。どうやって書くかのその先、どういうプラクティスしたら書けるようになるのかについて私見ですけど色々話していきたいと思います。

ところで先日行われた「ニンジャスレイヤー222」コン、以前よりも小説作品が増えてて喜ばしい限りです。だけどね、正直、全然足りねえ! もっと増えろ! 

そもそも俺はニンジャヘッズのことを、忍殺を追っかけて読んでる時点で全員分かってるやつだと思ってるんで完全に信頼してます。そういうヘッズのやつらが二次創作でもオリジナルでもなんでもいいからこぞって書き始めたら、ぜったい世界は変わる。そう思って以前からめんどくさいけど色々と長々と恥ずかしいけど語ってるんですよ。だから俺は、書きたいなと思ってるけどどこから手を付けたら書けるようになるのか分かんなくて引っ込み思案になっちゃってるそこのあなたを絶対書けるようにしてやる! って決意と信念で話していきます。

俺の話を聞くと何で書けるようになるの? ってあなたは思うでしょうから、最初にその理由を説明しときます。その理由はこうです。俺はあなたが書けない理由とその解決方法が多分ですけど分かってます。人間の悩みなんてみんな大体共通だし。

あなたはこう思い込んでるんじゃないですか? 二次創作かオリジナルかを問わず、小説のプラクティスをしようとするとまず書く前に「お話」を考えないといけなくて、書く対象、書く内容としての「お話」が思い浮かばないんなら、そもそも書き始めることができない。だから書くプラクティスも始められないって。

どうですか? だいたい当たってるでしょ。だけど、この書き始める最初のハードルを越えるのは簡単です。というより、ハードルがあって困ってるんなら、律義にハードルを自力で越えようとせずにハードル無視して迂回すりゃいいだけなんです。


既存の映像コンテンツ観て書けばいい


何で誰もこのことを指摘しないのか不思議なくらいです。世の中映画やらアニメやらのコンテンツが溢れかえってるんだから、忍殺みたいな映像的な、まるで観てきたかのような小説テキストを書く訓練を、純粋にテキストを書く訓練をやるんなら、「お話」を考える部分はすっとばして、すでにある映画やアニメの中からお気に入りのやつを観て、それをそのままテキスト化してみりゃいいんですよ。実際俺はそれを実践して、まあ素人なりに小説的なテキスト書くのに抵抗がなくなるくらいにはなりました。書くのがめんどくさいのは変わりないですけど。

ここで気を付けてほしいのは、いわゆる「ノベライズ」をする訳じゃないってことです。なるべく映像で観たまんまを、映像で描写される順番なるべくそのままでテキストに落とし込んでくプラクティスをやるってことです(ただし、すぐ後で説明するけど、それだけじゃ小説にならない部分について言葉をどう補うかを悩む必要も出てきます)。ほかの奴が書いたものだけど、一例として、「ブレードランナー2049」の最初のほうの一場面を書いたのがこんな感じです。


「アンタら『最新型』は……」
 モートン氏は苦労して立ち上がりながら、背後のKに呟いた。
「……オレらをただ見下してはしゃいでるだけだ」
 ブラスターを手にしたKが無言で見守る前で、モートン氏は首を巡らせ、そして振り返り、Kに向かって静かに怒りの言葉を続けた。
「何故って、アンタらは奇跡の一つも見たことが無えからだよ」
 モートン氏はKを見つめた。巨魁の目に悪戯を楽しむかのような不可解な表情が浮かんだが、次の瞬間、それは悲しみを湛えた決意に変わった。そしてモートン氏はKに向かって無謀な突進の第一歩を踏み出した。Kはモートン氏にブラスターを向け、仕方なくタップ撃ちした。
 轟音が室内を揺るがした。ド派手な銃声に比べるとまるで冗談のように小さな銃創とともにモートン氏の胸を貫いた二つの銃弾はしかし、瞬時に彼の体内を破壊した。モートン氏はその場に崩れ落ちた。
 Kは床に倒れた「解任」直後のモートン氏をしばし見おろした……


こういうプラクティスが何で忍殺みたいな文体、前回解説したような、説明的な記述を避けた巧みな描写を目指すプラクティスになるのかというと、当たり前ですけど、映画は映像で語るもんであっていちいち言葉で説明することがないから、説明抜きの映像による描写を言葉による描写に置きかえれば、映像的な描写の文体になるからです。

それに、これを実際に自分でやってみるといろんな面で鍛えられるんですよ。あなたも試しにやってみてください。映像コンテンツをじっくり観察するうちに、スクリーン上の登場人物のうっかりしてると見逃しそうになる微妙な表情の変化とか、会話の中に差し込まれる一見その会話とは無関係に思えるようなカットの挿入とか、風景のカットに重なるモノローグみたいな演出に気づくでしょう。こういう、映画として観たら言葉の説明なくても意味が観客に伝わるシーンでも、これを文章にしようと思ったら「こんなんどうやってテキストに落とし込めばええんじゃーっ!」って床をのたうち回り七転八倒して苦しみ悩む部分が続出するはずです。だけどここで諦めずに乗り越えてください。コツは「演出」です。

映像見たまんまをただ文字言語に変換しても意味が分からないテキストになっちゃうときは、その映画とかアニメを作った監督等のスタッフが、一体どういう演出意図でそのシーンを作ったのか、その場面とかカットの繋ぎで観客にどういう情報を伝えようとしたのかっていうのを考えてみてください。んで、その「演出」の部分を言葉で補うようにしてみてください。

そうこうしてるうちに、映像をテキストにするときには、読者に物語構成要素を提示する順番をスクリーンに映し出される順番とは意図的に変えないといけない部分が出てくるとか、たとえ主人公が初めて登場するっていう単純な場面でも、情報を持たない観客・読者に情報を与えるときにはしかるべき情報開示の順番とタイミングがあるってこととか、句読点の打ち方とかを通じてリズムや時間の流れをコントロールするとか、さらには、映像では説明されていないけど小説なら説明を避けることができない、映像では明確に表現されていない要素に関する説明を敢えて入れるときにはどういうタイミングでどういう説明の仕方で説明的テキストを挿入すべきかみたいなことが自分なりに分かってきて、小説のテキストでも、どういうふうに言葉を盛ったり飾ったりするか以前の、シンプルな言葉遣いであっても言葉を並べる順番や表現の仕方の選択みたいな基本構成要素を通じた「演出」っていうものがあるんだってことが実感できて身に付くはずです。諦めずにとことん考え抜いて書けば。

それともう一つアドバイス。どんな映像コンテンツをテキスト化の対象に使うかなんですけど、俺のおすすめは、70年代とか80年代のちびっこ向けアニメの第一話です。


発信のハードルが高いなら高いで良い部分もあった


2010年代に入るか入らないかみたいなころからアニメの粗製乱造問題がでっかくなってきて、同時にアニメの、SNSとかによる感想共有のためのコンテンツの側面なんかがクローズアップされてます。それで、あくまで俺の私見なんですけど、ぶっちゃけ最近のアニメのほとんどって、オタク間で共有されるコンテンツに関する暗黙の了解とかお約束みたいな要素に頼って演出をおろそかにしてるんじゃないですか? 学園ハーレムなら学園ハーレムのお約束に従った人物配置にしたり、異世界転生なら異世界もののお約束の状況設定にしたりして。そういうやつをテキスト化の題材にしちゃうと、本来は必要な描写とか演出とかをテキストでも落としちゃって、書いている自分はコンテンツに関する暗黙の了解とかお約束が分かってるから意味が通じるけど、ほかの人が読んだら話が理解できないみたいなやつになっちゃうのではないでしょうか。

それに比べて、昔のちびっこ向けアニメは、同じアニメでもマネタイズ方針が全然違いますよね。アニメがこけたら大損するのはスポンサーのおもちゃ会社ですから、おいそれと数撃ちゃ当たる感覚で新番組始めるわけにはいきません。それに、当時もアニメ情報誌で放送開始前から情報かき集める「大きいお友達」もいたんでしょうけど、メイン顧客ターゲットはテレビの前でぼけっと口開けて番組見てるあほの小学生とかで、しかもそういうちびっこを番組に引き付けて、超合金とかプラモとか魔法のステッキとかを買わせないといけないわけです。

しかも当時のアニメといったら基本的にどれも1年4クールかけてやる番組ばっかりで、第一話は、なんの予備知識もないあほの小学生を対象に、一話を観せることで、続けて一年間毎週同じ時間に同じチャンネルでテレビの前に座らせないといけないっていう使命を負っているわけです。そして、そのために、あほの小学生でも番組の第一話を一回見ただけで完全に内容を分かるようにしないといけなくて、かつ次回以降に興味を繋ぐ謎とかもなくてはならず、しかも面白くないといけない。

だからあくまで私見ですけど、実際に昔のアニメと今のやつとを見比べると、俺だけの感想かもしれませんが、昔のやつは監督等のスタッフが脚本や演出を考え抜いて作ってるのが伝わってくるのに、最近のやつはなんかそういうのが伝わってこないんですよ。アニメに限らず邦画とかもそうですけど。

こういった理由で、映像コンテンツのテキスト化プラクティスをするんなら、オタクコンテンツの暗黙の了解とかお約束に頼ってない新規作品として作られたちびっこ向けアニメを俺はおすすめします。実際鍛えられますよ。俺が自分で実践した経験に基づいて話してるんで、俺は自信があります。


・・・すみません。今まで黙ってたけど、やっぱり話しておくことにします。


俺の話だといいことづくめの映像コンテンツのテキスト化プラクティスですけど、正直、重大な副作用があります。だから、プラクティスに過ぎないものですが、それでも覚悟が必要なんですよ。



映画観るのがめっちゃ面白くなる。あと、脳がおかしくなる


映像コンテンツのテキスト化プラクティスの弊害として、映画観るときにはとにかく演出が気になって気になって、いろいろ深読みする思考を繰り広げながら、スクリーンの些細な部分も小さな音もとにかく見逃すまい聞き逃すまいみたいな状態になっちゃって、映画に過度に没入するようになります。このことは最低限覚悟しといてください。

その結果、とりあえずきちんと映像の文法で語ってる映画ならなんでも異常に面白く感じられるようになっちゃうし、映画から受ける感情の刺激が過度に増幅されるようになります。怖い要素やバイオレンス描写にはまじで震えあがり、泣ける要素が出てきたら、もうまじでボロボロ泣くようになっちゃいます。それだけでなく、逆に、映像の文法みたいな基礎の部分がおろそかになってる映画はもうそれだけで全然つまんなくなったり、予告編がダメなだけでむやみやたらと怒りが湧いてくるみたいになっちゃって、社会や周囲の人間関係から疎外されるレベルに達する危険があります。俺がそうなりました。

まあそれだけなら、禁断症状と戦いながら意図的に映画から身を遠ざけるだけでいいんですけど、困るのは、創作意欲なんか全然ないのに妙な義務感で書き始めざるを得ない心理状態に陥ることです。

映像コンテンツのテキスト化プラクティスは、自分でもうまく説明できないんですが、多分、脳みその今まで使ってなかった部分を刺激して活性化させるんで、挙句、それまでの自分の思考様式から飛躍した思考を脳みそが勝手に始めるようになっちゃうんです。

それで何が起こるか。これは俺の実体験なんですけど、俺は別に自分で何か小説みたいなの書きたいともなんとも思ってなくて、発表するつもりもなく趣味で忍殺とかその他の小説の面白さの研究をするついでに実証研究としてためしに映像コンテンツのテキスト化をしてるだけだったのに、ある日、なぜか突然物語のアイディアが降ってきて、そのアイディアが俺の脳みそを捉えて思考を制限するようになるんですよ。

いやこれ、誤解しないでほしいんですけど、実際に体験すると全然いいことじゃなくて、すげえ厄介どころか不気味ですよ。だいいち俺は小説家になんかちっともなりたくない。もともと仕事があるのに、金稼ぐためにわざわざ苦労して小説書きたいなんて普通思わないですよ。うっかり金のために締め切りに追われて書かざるを得なくなっちゃった小説家って職業は、俺から見たら相当悲惨な職業です。それなのに自分の意識の外に存在する物語が勝手に俺の脳みそを占拠して、考えたくもないのに勝手に物語のほうが膨らんで「書け! 書け!」って要求してくる。それのせいで俺の思考が制限されて、解放されようと思ったら書くしかないみたいな状態に陥る。

それで仕方なく書き始めたら、1センテンス1センテンス、あーでもないこーでもないって自分で書いたものが自分で気に入らない文章を何度も何度も書き直してっていうのをやってるのに、実は、書いている最中の物語が一体どういう物語なのか書いてる自分でも分かってないんです。もちろん、そんな苦労して書いてる話が面白いのかどうかも、何の意味がある話なのかも分からない。


これなんか、年末に公開して、忍殺の二次創作小説のわりにはそれなりの数の「良い」がもらえたやつですが(自分でも訳の分からない苦労をして書いたものなので「良い」の一つももらえないとやってられないです。だから「良い」をしてくれたかたには心から感謝してます)、自分で「平賀源内ってなんだよw 馬鹿じゃねえの?」みたいな疑問が付きまとったまま書いてるし、Bパート終わりころに登場人物の一人が勝手に予想外の行動に出て、けど確かに納得の行動なんでそれを見てようやく俺もこの話がどういう話なのか分かったみたいな体たらくなんです。んで、物語のほうが偉そうに「わかったか」みたいに威張って、俺に対してそれまで書いた部分の書き直しを要求してくる。

そしてこれが最悪なんですけど、こんなにも訳の分からない苦労をした結果出来上がったものが、めちゃくちゃ自分で読んでて面白い。他人がどう言おうと面白い。自分で書いたはずのものなのになぜか自分で書いたように感じられなくて、読みかえしたら別の誰かが書いたものにしか思えない。それがめちゃくちゃ面白いから、書きあがったあとしばらく、何度も何度も繰り返して読む。そういう自分を自覚して自分の狂気に恐怖するんです。

なんかまた脱線気味で申し訳ありません。けど、本格的な文章のプラクティスとか創作とかが狂気の入り口になることをご理解いただけたらと思います。そして、そのへんのリスクを十分ご承知いただいたかたのみ、今回紹介したプラクティスを実践してくださいますよう、お願い申し上げます。


・・・また予想外に長いテキストになっちゃいましたが、まだまだ続きます。けど俺の作業はここで実質終わりで肩の荷が下りたみたいな感じです。どうしてかというと、こっから先は過去記事からの一部抜粋・採録だからです。あなたが読んで面白いかどうかは全然保証しませんけど、実際に過去に俺がプラクティスした結果のテキストで、こんなのですら俺は読み返して面白いと思うくらい狂ってます。だから、あなたも楽しんでいただければ幸いです。それじゃ、いってみましょう。







ギルガメスとバララント、この二つの星系は原因も定かではない戦いを100年も続けていた。初めは局地戦が続いていたが、俺が志願するころには戦線が拡大し、二つの星系に属する200余りの惑星が戦火に巻き込まれていた。

俺は戦った。初めは生まれ故郷のメルキアのためと信じて戦った……だが、戦いは長引くばかりで終わりがなかった……

……俺は疲れた……誰も彼もが疲れていた……


  O P



しゅう せん

終  戦


宇宙の虚空をただ一隻航行する茶褐色の無骨な大型宇宙艦。そのブリッジは軍用通信の傍受の最中。通信機のスピーカーから流れる壮年の男の声。

……ザリザリ……ロッチナ大尉、聞こえるか?私だ、カルメーニだ……

それに答える声は、カルメーニと名乗った男の声よりも若いが、堅物であることはその口調から明らかだ。

……はい、将軍。ロッチナです。和平交渉は纏まりましたか?……

……バカ者!この戦争が簡単に終わると思うか!?……

……はっ!済みません。そんな噂が流れていたもので……

ヘッドセットを装着して通信コンソールデッキに座り通信機器のダイアルを操作している軍服のブリッジクルーは、傍受通信を聞きニヤつく。彼をとりかこむ形で通信に耳を傾ける他のクルーらも、その凶相を歪め無言でせせら笑う。

通信が続く。カルメーニのイラつきを滲ませる声。

……バッテンタイン閣下から、お前に依頼があるそうだ。代わるぞ……

ブリッジ前方では、白髪をオールバックにした堂々たる体躯の、やはり軍服姿の男が、通信機器を囲むクルーたちに背を向け、彼方に広がる虚空を眺め無言でたたずんでいる。艦長か。通信機からは、バッテンタインと呼ばれた、カルメーニよりもさらに高官と思しき男の老成した声。

……バッテンタインだ。ロッチナ、戦艦テルタインを知っているな?……

……はい。惑星べラモスに係留されています……

……それが何者かに奪われたのだ。すぐ、追跡してほしい……

傍受通信を聞きながら、艦長らしき男は無言でパイプに火をつける。老境にさしかかったと思しきその顔は厳つい。傍受通信ではロッチナが答える。

……お言葉ですが、テルタインは既に役目を終えた退役艦です。さほど重要とは……

バッテンタインが遮る。有無を言わせぬ口調。

……重要なのは艦ではなく、その行先だ。ビーコンによれば、艦は「LX2045(にー・まる・よん・ごー)」へ向かっている……

ここで通信コンソールのクルーはスイッチを切り、ヘッドセットを外す。「へっ、ようやく気付いたか」明らかな侮蔑。

そのすぐ脇に立ちコンソールデスクに片手を突くクルーが答える。「連中が着くころには仕事は片が付いて、もぬけの殻さ」それを聞いた別のクルーが上げる同意の哄笑。彼らのやり取りが意味するところ……彼らの艦こそがまさしく問題の「テルタイン」……

その時、一人ブリッジ前方にいた艦長らしき男が声を発する。「諸君!」クルーたちは即座にその声の主に目を向けるが、くつろいだ姿勢のままだ。およそ正規軍とは思えぬ振る舞い。

彼らの視線の先にいる艦長は、クルーたちに背を向けたまま命じる。「準備にかかれ。目的地についたぞ」ブリッジから見える光景はもはや虚空ではなく、艦は小惑星帯を航行している。

テルタインは小惑星帯を進む。前方に一際大型の小惑星。テルタイン船首下部ハッチが開き、そこから逆台形の船体に4本のランディングパッドを備えた揚陸艇が発進する。

揚陸艇の二つの操縦席には赤褐色のパイロットスーツを着た2名の兵士。テルタイン艦長から通信が来る。「オリヤ! コニン! 準備はいいな?」「万事オーケーです」「突撃隊員に異常はないな?」「はい、最終確認を行います!」「特に『ミッションディスク』の確認に念を入れろ」

モニタに、揚陸艇のカーゴ内の光景が映る。全高4メートル弱のロボットが10機、2列向かい合わせで整列している。装甲車を彷彿とさせる無骨なトルソに無造作に取り付けられたような手足。シンプルなドーム状の頭部からレボルバー台座に取り付けられた三連カメラレンズが突き出る様は戯画化されたタコめいている。機体の腕部マニピュレータには制式ヘヴィマシンガン。形式番号ATMー09−ST、「スコープドッグ」のペットネームで知られる、ギルガメス軍制式ミッド級AT(アーマードトルーパー)である。

カーゴ内カメラが整列するスコープドッグの上半身を順に写して異常の有無を確認する。報告の声。「特に……ありません」「例の男は?」「キリコですか?」

カメラが静止する。整列するスコープドッグの内の一機がなぜか胴体ハッチを開放し、コクピットに座るパイロットの姿をさらしている。

その姿はテルタインのブリッジのモニタにも表示される。艦長はパイプを咥えたまま、モニタ映像でパイロットの様子を確認し、返答する。「『例の部隊』から突然に転属させられてきた男だ。怪しまれてはならんから連れてきた。何も教えていない。感付かれんようにしろ」「もし感付かれても、ちゃんと手は打ちます。ご安心ください」

カーゴ内カメラはそのパイロット、すなわち「キリコ」と呼ばれた兵士の姿を拡大する。他の兵士と同じ赤褐色の耐Gパイロットスーツにフルフェイスヘルメット。バイザー越しに覗く無造作に刈られた短髪。HUDゴーグルを装着し、鼻から口元は酸素供給マスクで覆われ、表情は全く見えぬ。

「よし、では行け!」

艦長の命令を受け、揚陸艇は船尾バーニアを全開にして急速にテルタインから遠ざかる。急接近する「目的地」、小惑星リド。そして、揚陸艇は船体側面のミサイルハッチを開き……前方の小惑星基地に向けて4本の大型ミサイルを連続射出した。

__________

小惑星「リド」、宇宙港ドッグ。小惑星の奥深くから外部に向かって宇宙船発着レーンが長く伸びる。

突然、発着レーンの「リド」地表開口部付近に大型ミサイルが着弾! KABOOM! 大規模爆発の炎と爆風が地表から発着レーンを伝って宇宙港最奥まで到達し、管制施設をなぎ倒す! 轟く宇宙港スタッフたちの断末魔の悲鳴! 「「「グワーッ!」」」

……爆風が収まった頃合いを見て、揚陸艇が侵入する。揚陸艇は破壊の嵐が終息した発着レーンを進む。揚陸艇の周囲には破壊によって生じた残骸の破片と宇宙港スタッフたちの無残な死体が無重力状態で漂う。

そして揚陸艇は宇宙港最奥に到達し停止する。揚陸艇の船底ハッチが開き、オリーブドラブに塗装され、宇宙空間戦闘用のバーニアを備えたX字型モジュールを背中に装備したスコープドッグの群れが降下し、基地内部施設への侵入を開始する。

すぐさま、基地各所の警備AT……侵入者とは違いライトパープルに塗装されているが、侵入者と全く同型の「スコープドッグ」……が侵入者のもとへ集まり始める。そして、長い縦穴を降下する侵入者を発見した警備ATはすぐさまサブマシンガンの発砲を開始する。BATATATATA! だが侵入者らの駆るスコープドッグは警備ATの発砲をものともせず応戦し、基地施設の破壊を省みぬヘヴィマシンガンの連射で次々と警備ATを破壊する! その火力と練度の差は明白だ!

やがて、オリーブドラブのスコープドッグ部隊は縦穴の警備ATを全滅させ、次々と縦穴の底に到達する。損失は一機のみ。だが、一方的な戦闘の中、コックピット内のキリコは激しく動揺していた。

「味方だ……! 隊長! 相手は味方じゃないんですか!?」

「訳は後で話してやる! 今は黙って戦え!」

オリーブドラブの部隊は縦穴の底から水平方向に延びる通路を突撃する。ほとんど抵抗はない……突然移動銃座に乗って現れたライトパープルの機体が、単機、迎撃を試みるが、あっさりと撃墜される。部隊長であるオリヤが全機に通信で指示を送る。

「これより二手に分かれる! No.6までは俺に、あとはコニンに続け!」

キリコは隊長機に従って進む。4機分隊で待ち構えていたライトパープルの機体がほぼ一瞬で全滅する。もはや抵抗はないかと思われたその時……部隊の先頭を進む機体が、突如何もない空間で停止し……短い放電の後に爆発した! 電磁バリアトラップだ! 慌ててオリーブドラブの部隊が後退に転じた瞬間、オリーブドラブの機体数に倍する数のライトパープルの機体が、キリコと所属部隊を高所から包囲する陣形で出現した。部隊は一転して包囲殲滅の危機!

だがキリコは機体頭部カメラレンズを観測用カメラに切り替え、一瞬で高所に陣取る「敵」の陣形を読み取る。3機のグループ、5機のグループ……キリコは2機のみのグループに向け躊躇なく機体をジャンプさせ、急接近した。オリーブドラブの部隊の中でただ一機のみが後退せぬどころか無謀な突撃を敢行し、突如眼前に出現したことは「敵」を一瞬思考停止させた。その隙にキリコの機体は目前のライトパープルの機体の頭部に容赦なく左腕マニピュレータの拳を叩き込んだ! KRAAAAASH! あたかも空間が歪んだかのような錯覚すら覚えさせる衝撃! 一撃で機体上半身をあらかた破壊され吹き飛ぶライトパープルの機体! 腕部マニピュレータの肘に仕込まれた炸薬の爆発により肘から先の下腕と拳を前方に超高速スライドさせ敵機に叩き込む粗暴な格闘戦兵装、アームパンチである!

アームパンチで破壊された機体と並んでいたもう一機は、驚愕から回復しすぐさま機体を転回させてキリコの機体を狙うが、予め一連のマニューバを想定していたキリコが速い! 敵の発砲に先んじてヘヴィマシンガンの大口径弾を叩き込む! BLAM!BLAM! 撃墜!

さらに別の離れた敵グループから2機、サブマシンガンを乱射しながらキリコの機体を標的として接近してくる。だがキリコはまたもや敵への急接近を行った! 予想に反して高速接近してくるオリーブドラブの機体の動きにライトパープルの2機の照準が追い付かぬ! 逆にキリコの機体は狙いすました射撃! そしてオリーブドラブの1機とライトパープルの2機はそのまま一直線に飛び空中で交錯し……キリコの機体の背後でライトパープルの2機はほぼ同時に爆発した! キリコはすぐさま機体を反転させ、さらにキリコ目掛けて下方から襲い掛かろうとしていた3機の敵グループに向けてヘヴィマシンガンをフルオート連射! キリコが単機の突撃を開始してからここまでわずか10秒余り。何たる冷徹さ、何たる操縦か!

突然、キリコの無線に味方の通信が飛び込む。「味方だ!」その声にキリコも反射的に振り向き、味方の増援を目にしてつぶやく。「味方だ……」別行動をとっていたコニン率いるグループが合流したのだ。

今や敵の包囲網は破れ、数でも敵を上回ったオリーブドラブの部隊は、直ちに残敵の排除に移った。ライトパープルの機体が次々爆発する。オリーブドラブの部隊の損耗がさらにもう一機。そして……抵抗は皆無となった……絶体絶命の危機を乗り越え、コックピット内のキリコは、戦闘から遅れて膨れ上がる興奮状態をなだめるかのように、満面に汗を噴出させながら、荒い呼吸を繰り返す。眼下に集結する味方の生き残り合計6機が全周囲を警戒する円陣を組んでいる。キリコは味方に向かって機体を降下させる。

敵の抵抗が途絶えたことを確認し、隊長が部下に問うた。「シミルはどうした?」部下の一人が答える。「電磁バリアで……やられました」「電源は切ったのか!?」「たった今、切断しました」隊長は降下してくるキリコに気づいた。

「キリコか……よくやった。敵はまだ残っている。お前はここで見張っていろ。他の者は俺に続け」そしてキリコの復唱を待たず機体の方向を転じる。命の恩人に等しい部下への態度とはほど遠いよそよそしさ。

キリコもまた、命令の復唱もせず隊長に問うた。「隊長。作戦の目的を教えてください」隊長機のカメラがキリコの機体を直視する。「後で教えてやる!」「何故味方を襲うんです!?」その声に反応し、隊長機以外の機体も一斉にキリコの機体にカメラを向ける。「訳を、訳を教えてください!」

隊長機は、キリコの機体を捉えたまま、威圧的にカメラレンズを切り替え、いらだちを露わに叱責する。「貴様、俺の言っていることが聞こえんのか!」「し、しかし!」「ここを動くな! 命令だぞ!」キリコの機体を隊長機のカメラレンズが睨み据える。「た、隊長……」

隊長はもはやキリコを無視し、その他の部下に命令を下す。「よし、行くぞ」そしてキリコを残し、キリコには行く先すら知らされぬ目的地に向けて部隊は移動を再開する。キリコは呆然とその背中を見送る。

そして、部隊はついに目的の場所に到達する。眼前には差し渡し20メートルに迫る巨大な4分割ハッチ。オリーブドラブの1機がハッチのふもとにあるハッチ開閉操作盤に暗号キーを入力する。巨大なハッチが開き始める……その奥に光るのは……積み上げられた莫大な黄金インゴットの山だ! それを目の当たりにした部隊メンバーは皆思わず笑い声をあげ……やがて、その笑い声は正気が疑われるほどの爆笑へと変わっていった……

その爆笑が通信を通じて一人残されたキリコの耳にも届く。笑い声をどうにか収めた隊長が部下に指示する。「あとは例のモノだ! この近くにあるはずだ。今度は簡単にはいかんぞ」キリコは堪えられず、再び隊長に問うた。「隊長! 自分にも作戦を教えてください!」隊長は再び叱責で答えた。「キリコ! いい加減にしないと軍法会議だぞ!」「隊長……!」「全員、キリコとの交信を絶て! うるさくてかなわん!」「隊長! 隊長!」しかし、もはやキリコに答える声は皆無であった……その時!

ただ1機、物陰に潜みキリコの機体をロックオンするライトパープルの機体あり。その機体が構えるのは、大型対艦エネルギー砲、GATー35 ロッグガンだ。ただのAT一機に使用するのは明らかにオーバーキル、それどころか、そのような兵器を宇宙基地内で使用した結果もたらされる基地への被害は甚大である。いかな絶望に駆られた自暴自棄の行動か? その意図がどうであろうと、発射に向けたエネルギー充填は今まさに終わろうとしている。その機体のカメラレンズが切り替わる。超人的な第六感ゆえか、キリコがその機体に気づく。直後、エネルギー砲からまばゆい閃光を伴う紫電が放たれる。キリコの機体はギリギリで回避する。その背後の壁に巨大エネルギーが衝突し、更にまばゆい光球を生じる。背後からの衝撃波に吹き飛ばされながら、キリコの機体は敵機を照準に捉え、放った銃弾は過たずその頭部を貫く……狙いを外したエネルギー砲の砲撃は、小惑星の外部まで貫通した。

キリコの機体は浮上し、その貫通痕を確認する。壁面に空いた巨大な穴が図らずもその壁の向こうにあった部屋を露出させている。貫通痕は、更にその向こうの壁を貫き、小惑星の外殻を貫き小惑星の外部まで到達し、宇宙空間に至っている。

そして、壁面の向こうにある部屋の中央には、棺桶めいて金属製の円筒カプセルが横たわっている。キリコは荒い息を吐きながら周囲を警戒し、そして、機体をその部屋へと進める。謎のカプセルを見下ろす位置に浮上したまま停止し、カメラレンズを切り替え、カプセルを観察する。不意にこれが「例のモノ」である可能性に気づく。キリコは最早味方と呼ぶことができるのかどうかも不明な他の部隊メンバーが周囲に見当たらないことを確認し、機体を床面に着陸させる。

キリコは、まず、機体頭部のバイザー部のみを開きカメラレンズを通さずカプセルを見た。カプセルの内部はここからでは全く不明だ。そして、機体胴部のハッチを開き、機体に降着姿勢をとらせ、コックピットを降り、自らの足でカプセルに接近する。重力は弱く、その歩みは跳ねるような滑稽なものとなる。

そして、カプセルの傍らに立ったキリコは、ヘルメットの上から装着していたHUDゴーグルを額へと持ち上げ、肉眼でカプセルを見た。先ほどの狼狽ぶりが信じられぬほどの鋭い眼光に力強さを感じさせる眉。膝をつき、金属製のカプセルの表面に手のひらで触る。反応なし。カプセルの端にある小型インジケータは謎の光と電子音を発している。そのすぐ下にボタン。ややためらったのち、押す。何の反応もない……と思った矢先、突然、カプセル表面の金属の覆いが開きだし、内部から謎の青い光が漏れる。キリコは反射的に飛びのく。だが、その目線はカプセルの内部に釘付けにされたまま。やがて、青い光が弱まり、内容物が明らかとなった……

カプセルの金属の覆いの下には更に透明の覆いがあった。その内部に青い光の中に浮かぶように横たわっているのは……全裸の若い女である……! キリコの理解を全く拒むその光景は、キリコに考える間を与えず、キリコに染み付いた兵士の本能に働きかけキリコをスコープドッグのコックピットへと駆け戻させる。コックピットに到達する寸前でキリコは恐慌状態を脱する。あらためて背後のカプセルに向き直り、腰のホルスターから拳銃を抜き、再びカプセルに歩み寄る。

今度は、カプセル内で眠るように仰向けに横たわる者を観察する。キリコの目線が女の足元から頭部へと動く! カメラはキリコの目線に合わせて女の裸身を容赦ないクローズアップでスローで舐める! 明らかに力が入った作画! その体にはまつ毛と眉毛を除き一本の体毛すら見当たらぬ。そしてそのバストは……豊満である!……キリコは無意識によろめく歩みで女の頭部に接近する。キリコの凝視の先、眠るように閉じられていた女の瞼が……やおら開き始め……その眼球が動き……茶褐色の瞳が傍らのキリコに凝視を返した!……



II




◀◀






目線が女の足元から頭部へと動く! カメラはキリコの目線に合わせて女の裸身を容赦ないクローズアップでスローで舐める! 明らかに力が入った作画! その体にはまつ毛と眉毛を除き一本の体毛すら見当たらぬ。そしてそのバストは……豊満である!……キリコは無意識によ



II




◀◀






の裸身を容赦ないクローズアップでスローで舐める! 明らかに力が入った作画! その体にはまつ毛と眉毛を除き一本の体毛すら見当たらぬ。そしてそのバストは……豊満である!



II










……キリコは無意識によろめく歩みで女の頭部に接近する。キリコの凝視の先、眠るように閉じられていた女の瞼が……やおら開き始め……その眼球が動き……茶褐色の瞳が傍らのキリコに凝視を返した!……

キリコは反射的に拳銃の銃口を女の頭部に向ける。だが、女はまるで銃口が視界に入らぬかのように無言でキリコへの凝視を続ける。その無表情は無邪気といえるほどだ。異常な凝視がキリコを混乱へと追いやる。銃口が震える。女の凝視から目線を外せぬ。



【VOTOMS】



 C M







【VOTOMS】


……女の凝視はなおも続く。キリコはその凝視から逃れるべく、意志を総動員し、強いて顔を背け目を閉じ……うめき声を上げ……手探りで先ほどのボタンを再び押した……カプセルは再び、先ほどの金属の覆いで閉じられ、女の裸身と青い光とをその内部に封じた。

キリコはしばらくカプセルに手をついたまましゃがみ込み、呼吸を整える。金属の覆いを再び見る。反応なし。思わず呟く。「何だ……これは、何だ……!」

その時、突然キリコと部隊との通信接続が復活し、ヘルメットに隊長の声が響いた。「キリコ!」反射的に振り返ると、既にエネルギー砲が空けた大穴の向こうに部隊が集結している。「お前そこで何をやってるんだ! 何があった!?」キリコは反射的に立ち上がって気を付けの姿勢で返答した。「はっ! これを……妙なものを見つけたもので」「妙なもの?」隊長機のカメラレンズが切り替わりカプセルを捉える。「俺たちが探していたものはそれだ! あとはいい。任せておけ」「はい!」キリコは即答し自機のコックピットに戻る。振り返るキリコの視線の先、2機がカプセルに接近する。キリコはシートに座りハッチを閉じ、再びHUDゴーグルを装着してそのケーブルをコクピットに接続する。

再び隊長の声が届く「キリコ!」「はい」隊長機が残りの部下を従え室内に到達する。隊長がキリコに命じる。「表に母艦が見えるかどうか調べてくれ。そこから運び出したいんでな」視線の先には例の宇宙空間への大穴。「はい」キリコは直ちに機体を移動させる。命令に従順に従いつつも、キリコの脳裏には疑問がつきまとう。自分以外は「あれ」が何なのか知っているのだ……なぜ隠す?

そしてキリコの機体は再び宇宙空間に至る。テルタインを視界に捉える。あれも退役艦のはずだ。やはりこれはまともな作戦ではない。そして先ほどの貫通痕を逆に辿り基地内部を目指す……その前方から何かが漂ってきた……何らかの爆発物だ。

それに気づいた瞬間、キリコは反射的に機体を反転させた。すぐさま背後で爆発が起こった。基地内部に留まる部隊と「あれ」に被害を与えぬよう爆発規模は抑えられており、キリコの機体を破壊するには至らぬが、それでも、キリコの機体をコントロール不能状態にして吹き飛ばすには十分だ。キリコの機体はいずことも知れぬ虚空目掛け吹き飛ばされる……

……テルタインのブリッジでは、艦長が目前を横切り飛ばされてゆくキリコの機体を眺めている。「上出来だ。よし。撤退開始」……

……もはや小惑星リドから遠くはなれた空間をキリコの機体は漂っている。機体が動く気配はない……今再びの、そして、これまでで最大規模の爆発が背後に生じ、一時閃光が空間を満たす。小惑星基地が完全爆破されたのだ。コックピット内のキリコは機体を吹き飛ばした爆発の衝撃で未だ失神しており、背後で起こった大破壊には気づかぬ。やがて、その機体の前に、テルタインとは別の巨艦が姿を現す。

……こちら、戦艦バウンドント。応答せよ! くりかえす。こちら戦艦バウンドント。聞こえないか!? 聞こえていたら応答せよ!……


__________


突如の激しい色とりどりの閃光の乱舞。戦場の死と破壊の光景。轟音とともに爆発が壁面を貫き、兵士たちが焼き払われる。ありとあらゆるものが炎にのまれる。キリコは絶叫する。「グワーッ!」

絶叫とともにキリコは覚醒する。「ア……ア……」その頭部には何らかの拷問装置。暗い室内に、やおら光が差しキリコの顔を照らす。キリコは眩しさに目をつむる。光の方向から男の声。「お目覚めのところをすまんが、質問に答えてもらおうか」キリコは薄目を開け、声の方向を見る。逆光になった軍服のシルエット。おそらく士官。声を絞り出す。「ここは、どこだ……」

冷酷な堅物そのものの声が返る。「質問はこっちがする。まずはお前の名前を聞かせてもらおう」「……キリコ、キリコ・キュービィ」「生年月日は」「ギルガメス歴2326年7月7日」「18歳か。所属は」「ギルガメス星団・第24メルキア方面・2045部隊・機甲兵団」キリコはリクライニングした拷問椅子に寝そべる格好。パイロットスーツの上半身は剥ぎ取られている。その手足はベルトで拷問椅子に固定され拘束されている。

質問が続く。「あそこで何をしていたのだ」「作戦に、参加していた」「誰の」「聞いていない」「お前を指揮していたのは」「オリヤと、コニン。他の者は知らない」声に徐々に力強さが戻る。隠すことも、今更隠し立てする義理もない。「小惑星リドを爆破したのは」「俺は知らない」

質問の声が明らかに鋭さを増す。「では『素体』をどこへやった」キリコには全く意味不明の言葉だ。「『ソタイ』?……何のことだ」「棺桶のような箱があったろう」「……あれか」

しばしの沈黙。質問の声の音程が下がる。「……中身を見たのか」「……中身……」

突如として、キリコの脳裏に、青い光が、あの「凝視」がフラッシュバックする! 豊満なバストその他もろもろは全く意識に入り込む余地なし!

「……見なかった」

「嘘を言え! 素体をどこへやった」

その指摘にキリコは動揺する。「知らない! 俺は本当に知らないんだ!」「とぼけるな!」キリコは声を張り上げる。「俺は仲間に裏切られたんだ! だからあとのことはグワーッ!」

キリコの頭部に装着された拷問装置が稼働する。「グワーッ!」数秒の絶叫の後、拷問装置は唐突に止まる。キリコはぐったりとうなだれる。室内の明かりが点灯し、医療スタッフ2名がすぐさまキリコに駆け寄って拷問装置を取り外しにかかる。質問をしていた軍人は手を後ろ手に組んだまま、動じる気配は微塵もない。その斜め後方から軍医が近づき、並ぶ。

医療スタッフの一人がキリコの心拍を確かめる。軍人が問う。「どうだ?」「気絶しています」もう一人の医療スタッフが続ける。「ショックが強すぎたようです」言わずもがな。

軍人の横にあるモニタに将官らしき男がバストアップで映る。机の上に両肘を突き、顎の下で手を組んでいる。「驚いたな、味方の仕業だったとは……どう思うね? ロッチナ大尉」

ロッチナと呼ばれた軍人はモニタに顔を向ける。金髪、青い瞳、角ばった顎に鷲鼻。冷酷な堅物そのもの。「バッテンタイン閣下、とにかく手がかりはこいつだけです。吐かせるしか、ないでしょう」

モニタの中の男、バッテンタインは瞑想するかのように瞼を閉じる。低く唸る。「それにしても重大事態だ。こうなると、早く休戦を締結したほうがいいかもしれん。バララントに機密が漏れぬうちにな」キリコが眉根を寄せて苦悶する。覚醒が近いか。ロッチナはバッテンタインに返答する。「はっ。私は直ちにメルキアに戻ります……じっくり、こいつを料理しましょう」キリコはうっすらと目を開く。


__________


航行する戦艦バウンドント。その行く先には紫と赤褐色が入り混じる不穏な色彩の惑星が迫る。惑星メルキア。周囲には無数のデブリ。

上半身裸のままのキリコは、その光景を独房を兼ねた船室の船窓から眺める。彼にとっては生まれ故郷。船室の壁面はくまなく柔らかい素材のパッドで覆われている。

そのパッドの一つがスライドし、パッドの奥からカメラがレンズを覗かせる。カメラはキリコの後ろ姿を捉えるとともに声を発する。「どうかね。故郷の星に帰る気分は」先ほどの軍人の声だ。嫌味さまで加わっている。

キリコは質問に答えず、船外の光景を見つめたまま、逆に問う。「メルキアは……酷くやられたのか?」「……ああ、人口の4分の3が死んだよ」今回はキリコからの質問も許されるらしい。キリコは、ただメルキアを見つめる。

軍人が続ける。「……だから、あと一人死んだところで、どうってことはない……ックククククッ」ゲスであることを隠すつもりはないらしい。ただメルキアを見つめる。

……シャトルは地表へと降下する……


__________


メルキア地表。夜。軍用滑走路。だがその地下には地表の簡素な建造物からは想像がつかぬほどの大規模な軍事基地が存在する。

その地下深くの一室。キリコは今度はうつぶせに寝かされ手腕をベッドに拘束され、頭部に拷問装置を装着されている。足の拘束は必要ないとの判断のようだ。そして、拷問装置が送り込むパルスに合わせて呻き声を上げるキリコの背後から、何らかの薬物を満たした注射器を保持するメカアームが迫る。キリコは横目でそれを視認し、必死に身をよじるが、避ける手段はない。注射針がキリコの右上腕に突き刺さる。

絶叫する。意識が飛ぶ。「グワーッ!」その絶叫は、拷問装置が送り続けるパルスによって定期的な呻きに変わる。

ロッチナ、その直属下士官、軍医及び医療スタッフが、キリコを見下ろす位置にある別室から、ガラス窓を通じてそのさまを見守る。バッテンタインが入室する。

「どうかね」

「はっ。脳刺激を3時間続けているのですが、意外にしぶとい奴です」そしてガラス窓に向かい身を乗り出す。「キリコ! いい加減に吐け!『素体』はどこだ!」キリコは呻きながらもかろうじて返答する。「知らない……知らないものは、知らないんだ……」

ロッチナは傍らの軍医に平然と指示する。「電圧を上げろ」軍医は立ち上がり、ロッチナに面と向かって言う。「いかん。これ以上は命に係わる」ロッチナもまた軍医を睨みつけたまま、畳みかける。「フーセン軍医。君は事の重要性が分かっておらんようだな」フーセンと呼ばれた軍医はなおも反論する。「しかし……」その言葉が終わらぬうちに、ロッチナは別の医療スタッフに向け命じる。「やれ」拷問コンソールの電圧スライダが上昇する。

キリコは一際激しく絶叫!「グ、グワーッ! グワーッ!」痙攣で上半身がのけぞる!……そして唐突に絶叫が止まり、のけぞっていた上半身がもとに戻る。拷問コンソールのモニタが示すバイタルサインはフラット。

ロッチナは驚愕し、バイタルサインモニタに身を乗り出し、問いただす。「どうした!?」電圧スライダを操作していた医療スタッフが顔面に汗を浮かべて答える。「心臓が……止まりました」言わずもがな。ロッチナは自分のことを棚に上げて叱責する。「馬鹿者! 早く蘇生させろ!」そして再びキリコを見る。ピクリとも動く様子はない。

「まだか……まだ動かんぞ」ロッチナは狼狽を隠せぬ。医療スタッフが拷問コンソールのボタンをほとんど出鱈目に押す……突然、キリコは絶叫とともに蘇生!「グワーッ!」その痙攣はさきのものとは比べ物にもならぬ! 意志に反して暴れまわる両腕はとうとう……両腕の拘束を引きちぎった! 拘束具のネジがはじけ飛ぶ!……そして、キリコはベッドから転落した。

監視室の面々はそれを見て一斉に立ち上がった。床に転がるキリコは早くも目を開こうとする。霞む視線の先にあるのは……拘束具からはじけ飛び床に落ちたネジだ。ロッチナと軍医らが駆け足で入室してくる。キリコは震える左腕を伸ばし……ロッチナらに気づかれる前に、ネジを拳に握りこんだ。

フーセン軍医と医療スタッフがキリコに駆け寄る。ロッチナと下士官は駆け寄ったはいいが何も手出しできぬ。手早くキリコの状態を確認したフーセンは、ロッチナに毅然と言い渡した。「彼に死なれたら君も困るはずだ。今日は打ち切らせてもらうよ。」そしてロッチナの返答を待たず立ち去った。バッテンタインとロッチナがその背中を見送る。バッテンタインが口を開く。「ロッチナ大尉……奴は案外、本当に知らんのかもな」ロッチナは冷静さを取り戻している。「いえ、どこかあいつは反抗的です。何かを隠しているに違いありません」


__________


上半身裸のままのキリコが、うなだれたまま、二人の警備兵に肩を担がれ通路を引きずられてゆく。二人の警備兵は、とある独房にたどり着くと、シャッター扉を上げ、独房の床にキリコを放り出す。警備兵らはキリコを見下ろす。相変わらずピクリともしない。

痩せぎすの警備兵が相棒に話しかける。「こいつ、一度心臓が止まったそうだ。みっかぶっ続けであの拷問を受けても、まだ吐かねえらしい。全くしぶといやろうだぜ」そして床に転がるキリコに目を向けたまま、独房の外にむかう。太り気味の相棒は冷笑で答える。存外に声が若い。「それもあと2,3日さ。ロッチナ大尉がしくじったことはないんだ」そして、瘦せぎすにむかって歯をむき出して意味ありげな笑みを見せる。痩せぎすは一瞬、ニヤリと笑みで応じ、キリコに背を向け、独房から出る。太り気味が後を追う。シャッター扉が降下を開始する。

そして、警備兵たちが完全にキリコに背を向けたまさにその時、キリコは目を開き、先ほどのネジを静かに床に転がした。転がったネジは……シャッター扉の真下で止まり……シャッター扉による完全な密閉を妨げた。

先ほどの警備兵の背後から、すぐさまBEEP音が鳴る。警備兵たちは立ち止まり、振り返る。今しがたキリコを放り込んだばかりの独房が、シャッター扉上のレッドサインを点滅させ、アラートを発している。太り気味が先に察知する。「完全に閉まってないようだ」痩せぎすは返す。「閉まってるじゃないか」確かに閉まっているように見える。太り気味は困惑する。「故障かな……ちょっと見てくる」言いおいて独房に向かう。痩せぎすは、相棒に任せることにして、帰り道を再び歩き出す……

……独房内では、既にキリコが立ち上がり、シャッター扉脇の壁に背中を貼り付け。奇襲の用意を整えている。「ロッチナ大尉」の名前は既に記憶に刻んだ。警備兵の足音が近づいて来る。扉の前で足音が止まる。シャッター扉が半開きになる。太り気味が中腰になり、独房内の床を見渡す。「おかしいな……別に何ともないんだが……」キリコが床にいないという事実に気づく前に、横からキリコの手が伸び、太り気味の襟首をつかみ、独房に引きずり込む。

タバコを加え火を付けようとしていた痩せぎすは、相棒の発した驚愕の声に振り向いた。視線の先には、既に相棒が担いでいたアサルトライフルを奪い取り扉の前で低い姿勢で銃口を痩せぎすに向けるキリコがいた。独房内には相棒の動かぬブーツだけが姿を覗かせる。

痩せぎすが、担いでいたアサルトライフルを手に持ち構えようとしたとき、既にキリコは引き金を引いていた。銃声が鳴り響き、4発の銃弾全てが瞬時に胸部に命中した。「グワーッ!」

銃声と絶叫が、すぐさまフロア内の全警備兵の注意を引いた。しかし、どの警備兵が事態を把握するよりも早く、キリコは通路を全力疾走する。何たる回復力。キリコをキャットウォーク上から視認した警備兵が銃火を浴びせるが、キリコには追い付かぬ。

キリコは背後の足音に気づく。角を曲がりキリコの背後に現れた別な二人の警備兵は、即座にキリコの掃射に撃ち倒される。「「グワーッ!」」撃たれた警備兵が床に崩れ落ちるよりも早く、すぐさまキリコは元の進行方向に銃口を向ける。今度は3名の警備兵が前方から角を曲がって通路に姿を現すが、これも現れた端から射殺される。「「「グワーッ!」」」先の小惑星基地におけるAT戦に勝るほどのキリコの反応速度と射撃の正確性!

キリコはすぐさま疾走を再開し警備兵の死体を通りすぎる。目指す前方のエレベーターの前には二人の警備兵。キリコは走りながら迷うことなく発砲。射殺。後方からも警備兵が迫る。振り返る時間はない。キリコはエレベーターに飛び込み、ドア脇に身を隠す。警備兵の放った銃弾が閉まりかけるエレベーターのドアをすり抜けカゴの中を跳弾するがキリコは無傷だ。エレベーターのドアが閉まり、上昇を開始する。キリコは壁に両腕でもたれかかり、荒い息をつく。体中から汗を流しながら、階層表示を見る。何10もの階層をランプが高速で駆け上がる。


__________


基地指令室にロッチナが現れる。「責任者は」

「はっ」直ちに居並ぶスタッフの中から一人の軍服を着た男が敬礼とともにロッチナの面前に踏み出す。既に顔面に大粒の汗。「わ、私であります」すぐさまロッチナはその男に平手打ち!「イヤーッ!」「グワーッ!」そして振り返りながら大声で命じる!「総員出動! 急げ! 全部署のシャッターを閉じろ!」ロッチナを囲むスタッフらは命令を受け、すぐさま各々の持ち場に散る!


__________


三脚に設置した機関砲で前方を狙う警備兵。傍らにはもう一人の警備兵がアサルトライフルを片膝状態で構える。いずれもエレベータードアに狙いを定めている。エレベータードアが開く。中のキリコが、警備兵の予想よりも低い姿勢、腹這いの状態でドア外に向け既にアサルトライフルの狙いを定めている。警備兵らの放った弾丸はキリコの上を通りすぎる。ほぼ同時にキリコは発砲した。いずれの警備兵も瞬時に射殺される。「「グワーッ!」」その時、既にキリコはスプリントを開始している。まだ地表には至らぬ。

走り出したとたんに、はるか下まで続く吹き抜け構造の縁に至り急停止する。同時に何らかの低い駆動音が頭上から聞こえてくる。見上げる。狭く切り取られた夜空。地表に至る10メートルほどの梯子。だが、夜空がどんどん狭まる。地表へ通じるシャッターが今まさに閉じられようとしているのだ。

キリコはすぐさま梯子に取りつき、全速で登り始める。キリコを発見した警備兵が斜め下から発砲するが、相当の距離がある。キリコの周囲に着弾する。一発がキリコの右上腕をかすめる。キリコは一瞬、左腕のみでぶら下がる状態となるが、己を強いて登る。数段更に登ったところで、警備兵の射角から逃れる。巨大シャッターが閉じるまでギリギリの時間との闘い。そしてついに……キリコは上半身を地表に投げ出し、下半身を引きずりあげ……足先まで完全に地表に逃れた直後、シャッターは完全に閉まった。

キリコは四つん這いのまま、息を整えようとする。だが休む間もなく、複数のサーチライトがキリコを照らす。すぐさまキリコは駆け出す。跳弾がキリコの後を追う。キリコは幸運にも数メートル先にあった装甲車に乗り込み、発進させる。そして基地の検問に全速で突っ込む。突破した直後、キリコは装甲車から飛び降り地面に転がる。装甲車はそのまま前方の戦闘機に突っ込む。KABOOM!

その周囲にも何機かの戦闘機。軍用滑走路だ。サーチライトが爆発地点の周囲を探るが、キリコは既に戦闘機の下に潜り込み、機会をうかがっている。そしてその戦闘機のコクピットに飛び込む。「あそこだ!」キリコを発見した警備兵の銃撃。キリコは急いでキャノピーをスライドさせ閉める。キャノピーに着弾。戦闘機のエンジン起動を急ぐ。どこで操縦法を知ったのか。戦闘機の背後から先ほどの警備兵が迫る。エンジンが点火する。ジェットが後方の警備兵を焼き払う。直後、急加速。体がシート背もたれに叩きつけられる。Gに耐える。そして……エンジンを全開にした機体は短距離離陸し……星空へ飛び去る……空の端は白みかけている……


________________________


基地指令室。ヘッドセットを装着したオペレーターが背後を振り返って狼狽しながら報告する。「たっ大尉! キリコが、脱出しました!」「何!?」「戦闘機を奪って、たった今です」ロッチナは立ち上がる。呪詛する。「キリコめ……」周囲の指令室スタッフは一様にロッチナに指示を仰ぐ。「追跡しますか!?」「大尉! ご命令を!」ロッチナの背後から落ち着いた声。「いや、慌てて追う必要はない」歯を食いしばり小刻みに震えるロッチナの肩越しに、声の主であるバッテンタインがフーセンを伴って現れる。バッテンタインが続ける。「フーセン軍医によれば、キリコの体内には既にビーコンが埋め込まれているそうだ」ロッチナは素早く小さい息を吐く。指令コンソールのマイクで全土に命じる。「メルキア全域監視ステーション、及び、衛星監視システム。作動!」

ロッチナの命令一下、監視衛星が、レーダーシステムが作動を開始する。ロッチナとバッテンタインはその様を指令室でモニタリングする。再び、ロッチナの目に確信が宿っている。奴は知っている。知っているのだ。


__________


俺の運命を狂わせたあの忌々しい戦争は、その日、終結した。だが、それは何の意味もない……「あれ」を見た時から、俺自身の戦いが始まっていたのだ。果ての無い戦いが。




予  告



ロッチナの手を逃れたキリコを待っていたのは、また、地獄だった。

破壊の跡に棲みついた欲望と暴力。100年戦争が生み出したソドムの街。

悪徳と野心、退廃と混沌とをコンクリートミキサーにかけてぶちまけた、ここは、惑星メルキアの、ゴモラ。


 次 回

   ウ ド



来週も、キリコと地獄に付き合ってもらう!





20時間くらいかかった


参考:動画フッテージへのリンク(バンダイチャンネル公式。第一話のみ無料)


すみません。なるべく愚痴っぽく聞こえないように注意して、少し捕捉します。

ボトムズ第一話のテキスト、どうでした? 30分アニメをテキスト化しただけなんですが、こんなのですら、テキスト化には20時間くらいかかったんですよ。

いやもう思い出したくない苦行です。お話を一切考える必要がないにもかかわらず、いや、ないからこそ、自分の文章力のなさ、表現力のなさに直面して思い知らされながら、僅か2,3秒のカットを繰り返し何度も何度も巻き戻してはテキストを考える。そういう終わりの見えない作業が延々と続く。

こう聞けば、そしてあなたも実際に映像コンテンツのテキスト化プラクティスに手を出してみれば、俺が前々から書くのがめんどくさいめんどくさいと繰り返してる理由がお分かりいただけると思います。けどそれでも、実際にやってみないと気付かないってことがあります。特に、自分の文章を客観的に見て評価する、そして納得がいくまで書き直さざるを得ない状況に置かれるっていうのは、絶対経験して損はないと思います。是非ともトライしてみてください。


あなたが狂気の入り口に立つことを厭わないのであれば。









ついでに俺らの悩みも聞いてよ!


こんなところまで読んでいただき、本当に感謝です。そんな親切なあなたにお願いがあります。

是非、下のリンクの記事を読んで、どこがどうだめなのか教えてもらえないでしょうか。


この記事、俺とほかのやつらとで協力してまじで苦労して書いたんですけど、出来上がったときのやりきった感が尋常じゃなくて、読んでもすげえ面白いと思ったのに、全然うけないんですよ。

まあ、うけないだけならともかく、問題なのは、さっきのフライドチキンのやつとか、他のやつが書いたどう考えても狂ってるレビュー記事なんかですらそれなりの「良い」がもらえるのに、なんでこっちは全然うけないのかってことです。その理由が全然分かんないので、俺らはだいぶ前からずっと悩みっぱなしなんです。

だから、お手数をおかけして恐縮ですが、是非とも、ネガティブな感想とか指摘はむしろ大歓迎ですので、ご意見・ご感想を頂けないでしょうか。

以上、伏してお願い申し上げます。