板のシェイプ生成プログラム
板を工場に発注する時はCADで作成した、板を切り出すための金型のデータと、プレスの断面形状のデータを工場に送る。
TDHの開発では、設計したシェイプから作ったテストボードを何度もテストライドし、修正を繰り返す。シェイプは複数の円弧で構成される。このRを20mm大きくしよう、ウエストはもう少し太い方がいい、などの修正が図面に鉛筆で記されている。スケッチレベルでシェイプの修正点を記すこともある。
それぞれの円弧は基本的には滑らかに接続する。これをCADで作図するには、接線の条件など手間がかかる。としさんが作った板の図面を何枚も見ていると、どのような仕組みでシェイプを描くのかがわかってきた。図面には整数のキリのいい数字と小数点以下続く悪い数字があり、前者はとしさんが決めた値、後者は接線などの拘束条件により自動的に決まる値があると推測した。
半径やウェスト、どこが最も膨らんでいるかなど、あらゆる数字が書かれているが、全てを指定するわけではない。
そこで、必要な値を入力すると板のシェイプを生成するプログラムがあれば、細かい修正があっても1から図面を描き直す必要がないのではと考えた。
大学は建築を学んでいたので、CADの扱いには慣れている。普段はRhinocerosというCADソフトを使っている。このソフトにはGrasshopperというプラグインがあり、製図のためのプログラムを作ることができ、パラメトリックに設計ができる。
例えば、階段の形状を設計したい時、プログラムを1つ作っておけば、階高、段数、蹴上、幅などの値を入力すると自動で形状を生成してくれる。修正が必要になっても、1から図面や3Dモデルを作り直さなくてよい。修論やアルバイトを通して、Grasshopperのプログラミング技術を身につけることができた。
出典:https://rhino-gh.com/archives/6361
Grasshopperを使えば、板のシェイプの作図を効率化できるのではと考えた。修正でどのようなシェイプになるのかをすぐに確認できる。
今日の午前中はそのためのプログラムを作成した。図面をいくつも見比べて、共通しているパラメータを探した。このパラメータの値を変えることでさまざまななシェイプを作成できるようにした。まだまだバグは多いが、3時間ほどで一旦出来た。円弧を2つ決めれば、その間のもう一つの円弧の位置は滑らかに接する拘束条件で自動で決まるという仕組み。
これがどれだけ実用的かはまだわからないが、シェイプを作る仕組みがある程度理解できた。
としさんと林道モデル開発の打ち合わせ
インターンも後半戦。今後のスケジュールを決めたく、としさんと話した。モンクリオフィスに行くと、昔のバートンの板を用意してくれていた。1993年のASYM AIR6、2000年のbalance、Jim Rippeyのシグネチャーボードなど。
どれも明らかに硬く重い。違いが楽しみだ。これまでTDHは何本も試したが、それでは全く不十分で、30本くらいは乗ってみるよう言われた。1日4、5本ペースだ。
Burton Balance 2000年
テリエハコーセンののシグネチャーボード。トップシートが目の絵の一部のグラフィックで全ての長さ5枚並べると、グラフィックが完成する。1枚の中古取引価格は、3〜8000円だが、5枚集めるとプレ値がつく。当時10万円くらいのフラッグシップモデルで、パイプ向けの板。スピンもでかいストレートもいける。
Burton ASYM AIR6 162cm 1993
左右非対称が特徴。サイドカーブはトゥ側の方がR大きく、ヒール側がR小さい。トゥヒールのの有効は125で同じ。前振りスタンスを想定し、3cm分非対称になってる。レース用の非対称ボード11mmキャンバー。キックはノーズ60mmテール40mm。板全体が厚く、重みがある。ウエスト242mm。ハードブーツ・レーシングで使われていた技術で、このデザインをフリースタイルスノーボードに取り入れることで、カービング性能を向上、汎用性の高いフリーライドモデルを作り出した。
Burton Rippey 54 1996年
カタログはあるが文字は判読できなかった。
Jim rippey
BCのフロントフリップ、バックフリップが有名
ビッグエアの選手
映画のスノーボードのスタント、スノーモービルのスタントを担当
ところでJim Rippeyはp01の河合社長に、自分が似ていると言われたライダーだ。そのライダーのシグネチャーの板が出てきて、少し運命を感じた。その話をとしさんに話したところ、納得したらしく爆笑していた。
Burton Dragon
Balanceの進化系。パイプ、パーク板。
今夜は昔のburtonのカタログを遡り、それぞれの板のコンセプト、特性を勉強した。明日のテストライドが楽しみだ。