THE DAYな日常 DAY 1

白馬生活スタート 

1ヶ月の白馬生活がスタート。2月の1ヶ月間、白馬村のとある会社、モンスタークリフ株式会社の佐藤敦俊さん(としさん)の下で1ヶ月間インターンとして働かせていただくことになった。学生生活のラストになかなかできない経験になることは間違い無いので、日々の出来事や気づき、感じたことなどを日記に綴ろうと思う。

モンクリとは

まずはこれからインターンとして働かせていただく、モンスタークリフ株式会社(通称「モンクリ」)について書こうと思う。

モンクリとは、中古スノーボードの買取、販売を主な事業として行なっている会社で、としさん、としさんの弟さん、なおとさんの3人で経営されており、今月で設立13年目を迎える。「ウィンタースポーツ用品のゴミを出さない」をミッションに掲げ、「なんでも買い取る」ことがモンクリの特徴で、スノーボードの板だけでなく、バインやブーツ、小物類、スキー、さらには200万円くらいブーツの乾燥機でさえ買取販売の実績がある。例え古い年代のボードでも買取り、東南アジアなどの海外へ販売しているそう。

モンクリはほかにもいくつか事業をしているが、特に面白いと思ったのが、「THE DAY. HAKUBA」と「村ガチャ」と「白馬村オープンチャット」。

THE DAY. HAKUBA

THE DAY. HAKUBA(略称TDH)とは、としさんがシェイプの開発、トップシートのデザインをしているスノーボードで、「地域密着型スノーボード」というコンセプト。白馬を滑るためだけの、さらには白馬のこのコンディションの日のこの時間の、この山にあるこの地形を楽しむためのスノーボードで、もはや「地形密着型スノーボード」であると、としさんは言う。中古スノーボードの買取をしていることで、年間数万本の板に触れることができる環境、白馬に住んでいつでもテストできる環境があるとしさんだからこそできる板作りをしている。

TDHは、1本33,000円という価格で、「としさんが乗りたいと思える板」を作ることにこだわっている。通常のメーカーの板よりも低価格にすることで、買うことのハードルを下げ、様々な乗り味の板に乗ってもらい、遊び方の幅を広げ、長期的にスノーボードを楽しむことができるのではと考えているそう。また、ただ安く購入できるというだけではなく、「買取保証」という仕組みも特徴。「モノの価値=販売価格-買取価格」という考え方のもと行っている取り組みで、例え板が傷ついていても折れていても最低価格以上で買い取ってくれるというサービス。さらに面白いのが、TDHのオーナーはとしさんの別荘のTHE DAY(通称 避難小屋)に無料で泊まれるというサービスもある。

TDHはこのようなコンセプトで、テストライドを重ね、ミリ単位でシェイプの改良を行い、目的の地形やコンセプトに相応しいトップシートのデザインを作成し、製品化している。

村ガチャ

「村ガチャ」とは、1回500円で白馬村内各地にあるガチャを回すと「村民カード」と「特典チケット」の入ったカプセルが出てくるガチャ。「村民カード」には白馬村の村民の名前、写真、お仕事の属性(宿泊、飲食など)が載っている。「特典チケット」には「村民カード」の方から受けられる特典が載っており、カフェをされている方ならコーヒー一杯無料券、ラーメン屋をされてる方ならトッピング全載せ無料券のように、その方に応じた特典をもらえる。プライスレスな「体験」の特典もあり、白馬駅長の特典は駅長室でコーヒーを一緒に飲みながらお話しできる。ちなみにとしさんの特典は「THE DAY宿泊券」だそう。中でも特に面白いと思ったのが、大工をされている方の「まな板無料券」という特典。木のまな板はしばらく使って傷や汚れで黒ずんできても、鉋をかけると新品同様に復活し、厚さの分だけ半永久的に使えるという特徴がある。例えば白馬村に旅行にきて、村ガチャを回し、まな板をもらった人は、数年後、まな板に鉋をかけてもらうためにまた来村してくれるということを期待しているこのアイデアはその大工の方から出た。

としさんはガチャを「大人から子供まで楽しめる社会性のあるクリーンなギャンブル」と表現している。「回して繋がる旅を!」のコンセプトで、白馬村の新しい出会いを創出している。

白馬村オープンチャット

白馬村オープンチャットとは、としさんが運営するLINEオープンチャットで、2024年現在3000人を超える参加者がいる。おすすめの観光地や飲食店、ゲレンデのコンディション、白馬村周辺の路面情報などを参加者が発信しあっている。白馬村は観光業で栄えている村だが、やはり冬のスノーリゾート目当てで来る人の多い地域。自分も夏の白馬には1回しか来たことがない。雪国の夏場の集客は雪国共通の課題。白馬村オープンチャットは夏の白馬に来てもらうきっかけも作っている。冬にゲレンデコンディションを知るためにとりあえずオープンチャットに入った人が、白馬から帰った後も白馬村オープンチャットを抜けることなく、夏の間の観光地やイベントの発信を見ることで、夏に白馬村に来るきっかけになっているそう。私が夏の白馬に来たときは、別の目的もあったものの、白馬村オープンチャットで紹介された「白馬村ストリートフェス」の紹介がきっかけだった。

今日紹介したこれらの事業は、こちらのとしさんの記事に詳しく載っている。としさんのスノーボード、白馬村にかける想いが詰まってるので是非読んでみてほしい。

なぜ白馬村の会社でインターン?

モンクリのことは2年前くらいから知っていて、白馬の山に特化したスノーボードを作っているらしいくらいの認識。2年前白馬に篭ってた時にシーハイルでオレンジのガラガラモデルを借りてBCに行ったり、イワスタの協賛で五竜ナイターが出てたりしててTDHのことを知った。
それからTwitterのおすすめに出てきたとしさんのアカウントをフォローしてて、TDHへの想いやコンセプト、村ガチャやオープンチャットの取り組みを知った。

デベロッパーへの就活が決まって時間があったのと、たまたまお誘いがあり、7月末に友達がインターンしてそのまま就職した宮崎のホステルに遊びに行くことにした。
どんな経緯でそこでインターンをしたのか、学生の時他にどのようなことをしたのかという話をその友達から聞いた。その夜布団に入りながら、学生生活の最後にそういう経験をしておきたいとふと思った。
その時、インターンさせてもらいたいと思った会社が2つあり、1つは就活で知り合った友達がインターンしていて少し話を聞いていた、scheme verge株式会社。そこは、東大の都市工学科卒の先輩が起こしたまちづくりコンサルのような会社で、デジタルスタンプラリーやデジタルクーポンの仕組みで街の回遊や観光を促す取り組みをしていた。そこにはその後連絡を取り、9〜12月ごろまでお世話になった。
そしてもう1つがとしさんのモンスタークリフだった。この会社でインターンをして、としさんの側にいることで得られるものがあるだろうと思った理由が3つあった。
①村規模でのまちづくりを体感する
②これから働く上での考え方の幅を広げる
③自分のスノーボードの楽しみ方を考える

①村規模でのまちづくりを体感する

村ガチャやTDH、オープンチャットはどれもふざけてるように見えるが、どれも根底には白馬村の回遊を促す仕組みで、としさんのしていることは、「スノーボード×まちづくり」なのではないかと思った。学部の時に北海道の小さな村をどうやって盛り上げるかを考えアートイベントを企画した経験、新潟の越後湯沢での毎年の籠り生活で地方のリゾートに課題を感じた経験、そして4月からまちづくりの会社で働くということを踏まえ、としさんがしていることはとても興味深く感じた。

②これから働く上での考え方の幅を広げる

としさんやその周りの方の生き方を聞いていると、自分がやりたいと思うことをしているし、思い切った決断もしているなと思った。
自分は4月から社会人となるが、自分の性格を考えると、なんとなくこれから何十年間、サラリーマンとして同じ仕事を続けるような気がした。転職は起業、移住などの大きな決断は自分にはできないと思う。もちろんそれが悪いということではない。しかし、もしその仕事を面白くないと感じたり、他にやりたいことが出てくる可能性は十分にある。そのうち会社を辞めるだろうというつもりがあるわけではないし、今は全力で仕事に取り組むつもりだが、そのように感じたときに人生の選択肢を増やすために、色々な生き方を知り、頭の片隅に置いておくことは大切だと思った。

③自分のスノーボードの楽しみ方を考える

今シーズンのスノーボードは今日で 日目になる。論文や引っ越しもあったとはいえ、例年と比べるとかなり少ない。卒業制作があっても70日滑ったし、就活をしながらも54日滑った。昨シーズン自分のフルパートを制作し、COWDAY FILMではサークル部門で優勝した。なんとなく自分のスノーボードに一区切りがついた気がして、今年はなんとなくモチベーションが落ち着いている。

働き始めてもスノーボードは続けたい。自信を持って趣味と言えるものを持つ人はなかなかいないと思うが、自分はスノーボードが趣味と自信を持って言えるし、これほど最高な趣味は無いと思う。
それでも今モチベーションの落ち着きを感じている理由は、スノーボードの1つの側面しか見ていないからではないか?ジャンプやジブでかっこいい技を決めて、それを映像に残し、作品として制作する。プロではないし、技術向上やカメラや編集の技術には限界がある。そこで、フリースタイルだけではない、色々なスノーボードを知ることで、長期的に楽しめるのではないかと考えた。

このようなことを経験させてもらいながら、滑れたら最高だなという、宮崎旅行の間の思いつきから、としさんにDMをした。その1ヶ月後、白馬ストリートフェスのタイミングでレンタカーで白馬に行き、としさんに挨拶した。改めて、インターンのきっかけ、目的、想いを伝えた上で、ポートフォリオで自分がどんな人間なのか話した。2月の1ヶ月間インターンとしてなんでもやるのでそばにいたいと伝えると快くOKしてくれた。
そして今に至る。1ヶ月間の白馬生活が始まる。

MEMO

ゲレンデ:栂池
コンディション:カリカリアイスバーン
メンツ:たかひろさん・だいき
イベント:としさん、もりんすさん、あいちゃん、たかぴーさん、ももちゃんと鍋


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