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加速する官民共創 地元議員とのタッグが事業成長の鍵に |”issuesサミット”レポート

23区議と政策課題を議論する官民共創イベント「issuesサミット」が、官民共創HUB 虎ノ門にて開催されました。

「議員との交流の場は初めてでした。普段は委託業務の立場で支援していますが、今日は政策立案側の目線で考える機会となりました。今後の営業活動に活かすことができます」
(自治体DXに取り組む民間事業者)

「これまで議員の仕事のイメージが持てませんでしたが、想像以上に住民の話を吸い上げようとされていました。当社の事業にもご興味をいただけて、ありがたいです」
(教育現場のキャッシュレス推進に取り組む民間事業者)

issues上でピックアップされる課題を解決するには民間事業者の力が不可欠なものも多く、また民間事業者にとっても、その事業成長において官民共創が鍵を握るケースが多々あります。実際にもこれまで、「小学校と家庭の連絡のオンライン化」や「市民プールでのスマートウォッチ利用解禁」、「学童保育での弁当配達アプリ導入」、「自転車レーンへの路駐対策の強化」、「保育園の使用済みおむつの園内廃棄」など、様々な政策がissuesを通して実現してきました。

issuesでは、地域課題の解決に挑む民間事業者の官民共創の支援を行っていますが、政策立案に関わる議員と繋がる手段がない、そもそも官民共創をどう進めたらいいか分からない、などのお悩みもよくうかがいます。

今回開催した「issuesサミット」は感染対策のため会場とオンラインのハイブリッド開催。会場では議員12名、民間事業者22名、メディア関係者2名にご参加頂きました。

issuesを活用した官民共創と政策実現までの流れを具体的にイメージいただくとともに、フリーディスカッション等を通じて参加議員との繋がりが生まれました。議員、民間事業者ともに課題解決に役立つ機会としていただきました。

イベントの様子は地域住民の方へもリアルタイム配信


issues | 地元議員-地域住民-民間事業者を繋ぐ

issuesは「誰もが地元議員に困り事を相談できる政策実現プラットフォーム」であり、150名以上の議員の方、地域住民2万人以上の方にご利用いただいています。

地域の政策実現については、1980年代頃までは町内会や自治会といった中間組織が比較的機能しており、住民がコミュニティを通じて地域の困りごとを地元議員に相談することで課題解決に結びついていました。しかし、現在では地域コミュニティが弱体化。特に若者層の声が地元議員に届きにくくなり、国民と地方行政の距離は大きく開いています。

issuesはそうした課題を解決し、新しい世代の新しい価値観を政治家に届けるためのプラットフォームとして誕生しました。これまで15以上の自治体で「小学校の欠席届オンライン化」「市民プールでのスマートウォッチ利用解禁」「学童保育での弁当配達アプリ導入」「自転車レーンへの路駐対策の強化」「分煙推進」「保育園の使用済みおむつの園内廃棄」など様々な政策の実現を後押ししてきました。

issuesの仕組み

パネルディスカッション① 〜住民の声を受けて実現した政策〜

左から田中議員、中妻議員、issues廣田、増澤

パネルディスカッション第一部では、板橋区議の田中やすのり議員(自民党/4期)と中妻じょうた議員(立憲民主党/3期)をお招きし、issues代表廣田と「住民の声を受けて実現した政策」について話しました。司会を務めたのは、issues増澤です。

「issuesで政策実現が早まった」 賛同が可視化され議員の行動に変化

issuesが、政策実現に向けて効果を発揮した代表的な実績としては、「小学校の欠席届オンライン化」が挙げられます。2020年秋に文部科学省から全国の教育委員会にオンライン化をするよう通達が出ましたが、自治体によって進捗状況はまちまちでした。そんな中、issuesでの地域住民からの要望の声が後押しとなり、2022年6月時点では、東京23区のうち15区でissues利用議員の尽力によって政策実現に至っています。

この事例について田中議員は「issuesを通じて、政策実現が早まった」と話します。

田中やすのり議員

「議会質疑では、すぐに解決できない大きな課題を扱うことが多く、欠席届のオンライン化のような、技術で解決できるテーマは意外と気づかれにくいのが実情です。しかし、今回はissuesを通じて毎日10件近く、合計で何百件もの署名が自分のスマートフォンに直接届きました。議会へも署名が提出されることはありますが、ダイレクトな分、issuesの方がよりリアルな陳情を受けているような感覚です。これだけ要望があるならば、普段は扱わないテーマでも議会で発言しなければ、と行動に繋がりました」(田中議員)

中妻議員も、賛同数が可視化されると議員の行動が変わることにうなずきます。また、issuesを活用する地域住民が「政治と接点がない人達」であることもポイントだと語ります。

「通常集まる署名というのは、政治に関心がある方のご意見が多いです。もちろん貴重です。しかし、普段政治との関わりがない生活を送っている板橋区民の方の素直なご要望に対しては、議員側の行動の仕方や判断基準も変わってくるかと思います」(中妻議員)

issuesユーザーのアンケート調査でも、回答者の8割の方が「20〜40代で支持政党なし」という結果に。"ごく普通の方”が、日常生活の中で感じた不便や課題を直接地元議員に伝えることができています。

また、issuesでは、地域住民から寄せられたコメントに議員が返事を書く機能があります。返事を書くことも、政策実現に向けた後押しに。届いた意見は、議員活動に反映されていきます。

集まった500人からの要望 「小学校の欠席届オンライン」実現

中妻じょうた議員

「ご意見を頂戴し、教育委員会に確認をとると『小学校の欠席届オンライン化』は板橋区においては令和3年度中に全校で実施予定とのことでした。しかし連日の要望を受け印象に残っていたので、後日、地元の小学校で進捗状況を聞いてみると、なんだか歯切れが悪い。議会の質問時間は貴重なので、実施予定の話を取り上げることはあまりないのですが、多くのニーズが上がっていたので念押しということで『実施予定で間違いありませんね?』と発言し、確実に実施されるような働きかけを行いました」(中妻議員)

議会での発言がどの程度寄与したかを検証することはできませんが、令和3年度中の「欠席届オンライン化」は実現されました。

リアルな区民生活に根ざした、200近くの「身近な課題」

issuesでは200近いテーマを設定されていますが、介護や子育てなど「身近な課題」であることにこだわりを持っています。

「区民の生活目線に立ったテーマは議員の琴線にも触れます。『小学校の欠席届オンライン化』の事例では、幼稚園はオンライン調整が可能なのにお子さんが小学校にあがると、欠席届の紙が必要、という逆行に戸惑うママさんたちがいました。リアルな様子が思い浮かぶと、早く課題を解決していきたいという気持ちにさせられます」(田中議員)

事例としては他にも、「自転車のための道の整備」「シェア電動キックボードの拠点整理」「分煙推進(喫煙所の整備)」「災害時のペット避難」「ドッグラン整備」などの区民生活に根ざした様々なテーマがやりとりされています。

中には、多額の予算を必要とするものや法規制ですぐには実現できないものもありますが、issues上で議員の方は区民の理解を得ながら進めています。


パネルディスカッション② 〜住民の声を受けていま取り組んでいる政策〜

左から寺田議員、間中議員、issues廣田、増澤

続く、パネルディスカッション第二部のアジェンダは「住民の声を受けていま取り組んでいる政策」。板橋区議の間中りんぺい議員(自民党/2期)と寺田ひろし議員(公明党/1期)がゲストです。

issuesで挙げられた様々なテーマが政策実現に向けて進行中ですが、「分煙推進」「災害時のペット避難」「出産育児一時金」「高校生の医療費無料化」について具体的に教えていただきました。

民間事業者や都議会とも連携!「分煙推進」&「災害時のペット避難」

民間事業者と共に分煙推進に取り組むのは、間中議員です。

間中りんぺい議員

「タバコ問題に関して、これまでお伺いしてきたご意見は、喫煙所の削減や罰金に関するものが多かったのですが、issuesでは『受動喫煙防ぐために喫煙所を増やしてほしい』というご意見が圧倒的に多く、今まで届かなかった声に背中を押されました。しかし、動いてみると行政だけでは成果をあげにくく、喫煙所運営のノウハウを持つ民間事業者の力をお借りすることが重要でした」(間中議員)

現在は、間中議員主導のもと、民間で喫煙所運営を行っているコソド社そしてissuesとも連携して課題解決に向けて進んでいます。

また、「災害時のペット避難」への取り組みも熱心です。
東京都ではペットを伴っての避難は原則OKです。しかし、避難所内でエリアがそれぞれ分かれているため、「人とペットがセットで避難できるエリアが欲しい」という要望がissues上で多くみられます。

「ペット避難の具体的な対応は避難先ごとに異なり、個々の情報が伝わっていないのが課題。また、どれだけ学校を使えるのかを左右するのが先生の存在なのですが、板橋区の学校であっても、小学校の先生は東京都の職員です。東京都議会にも働きかけながら、連携とってペット避難の対応を進めています」(間中議員)

実現にむけた政治活動を解説! 「出産育児一時金」&「高校生医療費無料化」

寺田ひろし議員

寺田議員は、issuesで寄せられた125件の「妊婦健診の無料化」に関連し、「出産育児一時金」の増額に向けた取り組みを紹介します。

「板橋区では、出産育児一時金として42万円程度が全国健康保険協会から支払われますが、妊婦健診は自由診療という背景もあり、実費として10〜20万円ほどがかかるなど、少子化対策の課題となっています。板橋区だけでは実現できない部分もあるので、会派を通じて国政の協力を得ながら進めています」(寺田議員)

努力も実り、「出産育児一時金」は50万円程度までの増額が来年度予算で見込まれています。

さらに「高校生の医療費無料化」もまた、issues上で注目されたテーマでした。政策実現に向けた具体的な経緯や舞台裏を教えていただきました。

政策が実現するにあたっては以下の3パターンがあります。

①議会質問で取り上げ、板橋区長から正式答弁をもらう
②個別に担当課長に交渉する
③会派でまとめて要望事項にのせ、区長に要望をあげる

「高校生の医療費無料化」は会派として都議選の公約にもなっていたことから、③のパターンでスタートしました。

「1月に緊急要望を板橋区長に提出した上で、2月3月には議会質問も実施。5月に再度の緊急要望。6月には23区の区長会にて働きかけを行いました。結果、23区では所得制限なし、一部負担金なしで令和5年から実施、という記者発表がされました。いただいた困りごとに応える政策を実現できたと思います」(寺田議員)

また、寺田議員は住民の声を国に届ける一方、issuesのコメント機能を活用し、1件ずつ丁寧なコミュニケーションをとっています。

「コメントを返すと『まさか議員から返事が来ると思わなかった!』と驚かれることもありました。地域の問題を当事者である住民の方と一緒に解決できることに、issuesの社会的意義があると考えています」(寺田議員)

パネルディスカッションの様子を動画にまとめました。倍速再生だと4〜5分ほどでご確認いただけます。

官民共創ワークショップ |民間の力を地域課題に活かすには?

issuesは、さまざまな立場の方の声やアイディアが集まり、議員や地域住民、そして民間事業者の力によって、政策が実現されていく場です。

イベント後半に実施された官民共創ワークショップでも、issues利用議員と民間事業者の参加者がテーマ毎のグループに分かれ、課題共有・解決に向けて議論を行いました。

グループのテーマは以下の5つです。

①前例にとらわれないこれからの自治体DX
②子育て・教育現場における保護者・職員の負担軽減
③吸う人も、吸わない人も。望ましい分煙を実現するために
④“地域の足” 問題を考える
⑤これからのこども“支援”のあり方を考える

ワークショップのポイントは、「一緒に、自分達なら、なにができるか」という視点で考えること。その様子をピックアップしてご紹介します。

ワークショップでは「自分ごと」として議論した

「子育て・教育現場における保護者・職員の負担軽減」をテーマにしたグループには、集金業務支援ツールを展開する民間事業者の方が参加しました。

各家庭が小学校に払う給食費などのお金は、児童が直接現金を持っていかなければならないという具体的課題について議論が行われました。参加社の提供ソリューションを活かしたキャッシュレス化推進が解決の糸口になるのでは、と話が盛り上がった様子。議員と民間事業者との交流の中で、実現に向けたより具体的な会話がなされていました。

この日共有されたアイディアは全体で100を超えた

また、「前例にとらわれないこれからの自治体DX」をテーマとしたチームでは、自治体DXを得意とする参加社と議員が「行政データの一元化」など自由な議論を交わしました。

ワークショップのテーマは、参加した民間事業者の得意分野や課題感にあわせて設定されています。普段の業務で培ったノウハウや課題感をワークショップの議論に活かすことで、より具体的に政策立案目線で考えることができました。また、民間事業者が持つケイパビリティを議員に紹介する機会ともなりました。

議員と民間事業者の「繋がり」が生まれたフリーディスカッション

さまざまな立場の人同士が、交流を深めた

イベントの最後には、フリーディスカッションが行われました。議員と民間事業者の皆様は積極的に交流し、今後の連携に発展し得る「繋がり」があちらこちらで生まれたようです。

「官僚として働いていた時には、生活者と距離が遠いという悩みを感じていました。issuesのようなプラットフォームは必要だと思っていましたが、自分では作れなかったので応援しています。今回のイベントでは、議員の方も官僚の方も、NPOの方もインターン生もいました。違った立場で議論できたことで、化学反応があったと思います。」
(千正組 千正康裕様)

「官民連携に興味があり、参加しました。イベントでは、地域課題の解決に繋がりそうな民間事業者のケイパビリティを知ることができたり、自治体を跨いで議員同士が話せたりと、良い機会になりました。
(市議会議員)

官民共創が事業成長の鍵に

多くの民間事業者の方は、議員や自治体とのコミュニケーションを「ハードルが高いもの」と捉えているかと思います。

しかし社会が複雑化している現在、事業成長のため「官民共創」が求められる場面も多々あるのではないでしょうか。

本イベントでもあったように、議員は課題解決のパートナーとして民間事業者の力を必要としており、互いの「得意」を掛け合わせることが地域課題の解決を加速していきます。

issuesでは官民共創や、民間事業者と議員の「繋がり」づくりを支援しています。ぜひ下記のページも参考にいただき、お気軽にご相談いただければと思います。

民間事業者の皆様はこちら▼

議員の方はこちら▼

住民の方はこちら▼

(注:本イベントは、東京都の感染防止ガイドラインに則り、感染対策を徹底し開催されました)




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