コント『らぞく』台本

先日、芸人6人と女性アイドルの方3人でユニットコントをやる企画ライブ『脳科学実験。第壱話』が無事終わりました。

芸人側は、
主催者のキャモン西本さん、
浅井企画の男子高校生リクロジーさん(29歳)、
コントの名門人力舎出身の小林ぼっちさん(本人がまるで大阪桐蔭のように言っていました)、
スパンキープロダクションのしょうへいさん(ちょっとスケベな一人コント師)、
トゥインクルコーポレーションのジャパネーズのモネさん(クマのぬいぐるみを愛する男)、
そして僕(ケイダッシュステージ所属キズマシーンの主なネタ作り担当、全然売れないなぁ)
という面々でした。

女性陣は、
美東澪さん(みおっぱい)、
おたまさん(郁恵ちゃんくらい肝っ玉が据わっている)、
若木萌さん(永遠の17歳)
のお三方。

芸人が女性陣を交えたコントを考え、稽古し、本番を迎えました。
なかなか本格的でした。
どうせ遊び半分だろうと思っていたお笑いファンは正直多かったと思います。
それはマジでめちゃくちゃ心外で、我々も本ネタくらい本気で考えたし、女性陣も前のめりでやってくれました。

終わってみれば、もっとお笑いファンにも観てほしかったなぁという想いが残り、せっかくなので僕が考えたコントをここに残しておこうというわけです。
第壱話ということは第弐話があるかもということですから、そこへ向けてのアピールも込めて。



『らぞく』

男子高校生1=リクロジー、男子高校生2=カミノ、姉=おたま、最後に出てくる女=若木萌

~男子高校生2人板付き。上手袖すぐが玄関、それ以降は家の中というイメージで。~

男1 言っとくけどウチめっちゃ狭いからね!団地ってそういうもんだから!
男2 分かったって。家だれかいるの?
男1 たぶん姉ちゃんいる。
男2 マジで?いいの?
男1 それは全然。あ、うちの姉ちゃん家の中では「ら族」なんだけど気にしないでね。
男2 うん…え、え、え!?裸族なの?!
男1 うん。
男2 今も?その…裸(ら)状態?
男1 あ―、そうじゃない?
男2 いいの!?
男1 …お前そういうのダメ?
男2 いいよ~。え、マジ?裸族!?え、ちょっと先言っとくわ。ありがとう御馳走さま今後毎日来るね!
男1 毎日は嫌だよ。まぁいるか分かんないけどな。(ドアを開ける。玄関の靴を見て)あ、姉ちゃんいるじゃん。姉ちゃん~、ただいま~。
姉  (下手から登場)らららら~!(「おかえり~!」みたいな感じで)
男1 居間使っていい?スイッチやりたいんだけど。
姉  ら~ら。(「いいよ」)
男1 サンキュー。あ、こいつ同じクラスの優斗。
姉  ららら、らららら。(「姉の加奈子です」)
男2 …お邪魔します。
姉  らら、らららら、ららららら、らららら。(「じゃあお姉ちゃん、ダイニングいるから」)
男1 オッケー。入って。(舞台中央の居間へ)
男2 (呆気にとられながらも男1についていく)
男1 (座る)…麦茶でいい?
男2 説明しろよ。
男1 なにを?…あ、スイッチ初めて?
男2 それじゃねぇよ。いや、お前の姉ちゃんさ…。
男1 あー、それはさっき説明したじゃん。俺の姉ちゃんら族なんだって、「ら」しか言葉を発さない。あ、ライフガードあったかも。麦茶よりライフガードっしょ?姉ちゃーん!
男2 え、待って待って!ら族って、常に裸で生活してる裸族じゃないの?
男1 常に裸?お前、人の姉ちゃんをそんなやべぇ奴みたいな扱いすんなよ。
男2 こっちも十分やべぇけど!?
男1 そうか?まぁまぁ、でも別に害はないからさ。(姉に)姉ちゃ~ん!ウチさ、ライフガードなかったっけ?この前まとめ買いしたじゃん、あそこのライフで。
姉  (袖で)らららー?
男1 したよ。そのとき変なおじさんに買い物カゴ覗かれて、ライフでライフガードを大量購入、こりゃ乙ですなって絡まれたじゃん!
姉  ららららーら、らーらららら~?
男1 え、マジ?
姉  ららららら、ららーら、らららら、ららららら~ららら!
男1 あー、そっか。ありがとー、姉ちゃん。
男2 …何て言ってたの?
男1 全然分かんない。
男2 分かんないの!?
男1 まぁなー。会話ニュアンスでやってるからなぁ。でもなんだかんだ言ってること分かるっていうかさ、そういうときに血繋がってるなって思う。興奮する。
男2 何言ってんだよ。
姉  (袖から一歩出て)ららら?(「陸くん。」)
男1 なに?
姉  らららら、ららららら、ららららら?(「ケーキと〇〇〇〇〇、どっちがいい?」)
男1 え?
姉  ららら!らららら、ららららら、ららららら?(「おやつ!ケーキと〇〇〇〇〇、どっちがいい?」)
男2 なんか選べってことじゃない?分かんないけど。
男1 らら…ら…?…任せるわ。
姉  らっらー。(「オッケー」ハケる)
男2 諦めたよね?いま意味汲み取るの諦めたよね?
男1 いいじゃん別に。そういうこともあるって。
男2 分かんないなら分かんないって言えばいいじゃん。
男1 何言ってるか分かんないは禁句なんだよ。一回それ言ってベランダから突き落とされそうになったからね?!
男2 ここ8階だよね?えー、でもいま何聞かれてたんだろ…。
姉  (お盆とお皿を持ってやってくる)らららら~。らららら、ららららら。(「お待たせ~。おやつの油揚げ。」)
男1 あ~!おやつの油揚げ!
姉  ららっらら~。(「ごゆっくり~」ハケる)
男1 …なんかごめんな。
男2 マジで!え、油揚げ!?未調理の?!油揚げ!?が、おやつ!?
男1 ごめん、ごめんって!まぁでもあれじゃね?油揚げって黄色だからギリスイーツっしょ。
男2 どういう分け方?色で別れないんだよスイーツかどうかは。あと、おやつで油揚げ出すのは「ら」とか関係なくやべぇ。
姉  (二人のところへ)らら、らららららららー。(「ねぇ、私も混ぜてー」)
男1 なに?姉ちゃん。
姉  ららららら。ららら、ららららららら、ららーら、ららららら!
男1 あぁー。
姉  らららら、ららららららら、らーらららららら、ららららららららら、ららららららららーら、らららら、ららららららららら、ららららら?
男1 …どう思う?
男2 俺に振るな。家族で処理してくれ。
姉  (男2に)ららららら、らららら、ららららら、らーららら、らら。(笑う)
男2 …それはヤバイっすね~。(笑う)
姉  (怒った感じで)らららららららら。
男2 なんか地雷踏んだ…。
男1 お前それはないよ。分かれよ、今くらいのは。いま姉ちゃんはお前に抱き締めてほしかったんだ。
姉  らららら!(男1を叩く)
男1 違ったみたい。
男2 分かってねぇじゃねぇか。
男1 ちょっと俺トイレ行ってくるわ。(下手にハケる)
姉  ららららー。
男2 おい、ちょっと…。(姉と目が合う。気まずさで咄嗟に目を逸らす)
姉  (ゆっくりと座り、にこやかに男2のほうを向いている)
男2 …。
姉  …弟がいつもお世話になっております。
男2 普通に喋った!びっくりしたー!え?普通に喋れるんですか?
姉  めちゃくちゃ喋れます。というか家の中で「ら族」なだけなので。
男2 そうですか…。あの、なんでこんなことしてるんですか?
姉  なんでって…コミュニケーションが逆に楽なんですよ。
男2 逆に楽?
姉  なんていうか、家の中でまで、こう言ったらこう思われないかなとか、これ言ったらまずいかなとか、そういうの考えたくないじゃないですか。「ら」だけ言ってると相手が良いように意味を汲み取って都合よく解釈してくれるからそういう軋轢が生まれないんですよ。まぁだから私のこれは怠惰な女が考えたコミュニケーションの行き止まり、成れの果て、腐りきったゴミ、なんですよね。家族と仲いいよねってよく言われるけど、本当はものすごく壁を作ってるんですよね。…こいつ、「ら」から解き放たれたら豊富なボキャブラリーでまくし立てるじゃんって顔をしないでいただけますか?
男2 してないです…。
男1 (トイレから戻ってくる)姉ちゃんまたキスマイのポスタートイレに貼ったの!?
姉  らららー?ららららら~。
男1 やめてって言ったじゃん!アレあると見られてる感じしておしっこ出ないんだよ!
姉  らららら、ららららららら!
男1 マジでさー、膀胱炎になったら姉ちゃんのせいだからね!?
姉  ららら~。
男2 裏聞いてからのこのやり取り…相当深い闇を感じる…。
男1 てかスイッチやんね!?スマブラ!
男2 お、おぉ…。

下手から制服姿でツインテールの女が出てくる

姉  らららー!ららららら?
女  買い物行ってくる~。
男1 早めに帰ってこいよ…って、またそんな格好で出てくの?!スカートも短ぇし!
女  いいじゃん~。いっつもにいにいプンプンしてくる~!もう、こっちもプンプンだぞ~!(男1にプンプンビーム的なやつ)
男1 やめろよマジで!出掛けるならもっと脚出さない格好で行けよ!
女  うるさいな~。じゃあ着替えてくる。(下手にハケる)
男2 妹?
男1 ううん、母ちゃん。
男2 母ちゃん!?
男1 自称永遠の17歳の。
男2 永遠の17歳の!?
男1 この間の誕生日で俺が18歳になったから母ちゃんが妹になったっていう…ねー?
姉  らー!
男2 …家族の在り方についてものすごく考えさせられる。

暗転



といったコントでございました。
いやー、めちゃくちゃウケましたね。我ながら。
それは演じてくれた皆さんのおかげでもあります。

やっぱり女性を交えるならドキドキするシチュエーションがいいなぁと考えていたなかで思い付いたネタでした。
稽古中からみんな楽しそうに演じてくれていて本当に楽しかったなぁ。

過大評価かもしれないですけど磨いたらキングオブコントで戦えるんじゃないか…?とすら思ったこのネタをたった一日しか出来ないなんて本当に勿体ない。
それはともかく、本当にもっとたくさんのお笑いファンにも観てもらいたかった。
普段のコントの制約から解き放たれて、まぁまた別の制約も生まれたわけですけど、そんな中で作るコントはまた違った楽しさや面白さがあるのです。
告知の段階でそうやって宣伝できたらいいんですけど、本人の口から言ってもそりゃお前は面白いって言うよなといった感じになるのでこれがまた難しい。

まぁ、なので次回あるときは是非チェックしてみてください、ということです。

そして行きたかったけど行けなかった皆さん、ここまで読んでくださったあなた、このコントに価値を見出したらその分のサポートをいただけると幸いです。
普段のnoteはこの限りではないですが、僕はコントで飯を食っていきたいので今回ばかりは言わせていただきました。すみません。


いやぁ、やっぱりコントは楽しいですねぇ。たまらないぜ。

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