運の科学図2

運の科学-機会と仲間を増やす方程式- vol.2

人生で獲得する機会を増やし成功確率を上げる

人間はどこで生まれるかも誰のこどもとして生まれるかも選べない。そして生まれたばかりの赤子というのは全くの無力なわけです。だからそういう偶然の結果としての「運」というものが大事だとみんな思うわけです。

でも、人間というものはずっと生まれたままの状態でいるわけではなくて、人生の中で、自分の目的に合わせて状況を選択し最適な行動をとれる能力を獲得していく。これを多くの人は「成長」と呼ぶんだと思います。
ということで「運の科学vol.2」をはじめます。

目的に合わせて状況と行動を正しく選択していく

運の科学vol.1」では、運がいいことを「機会に自分をフィットさせることができた状態」とする、僕なりの定義をお話したわけですが、「機会に自分をフィットさせる」ためには、あらかじめ決めておかなくてはならないことがあります。

それは「機会にフィットさせるべき自分とは何なのか?」ということです。
ここが決まっていなければ、「運のいい」状態を意識して作り出せないのです。目的をそんなに意識せずに生きている。それが、多くの人が自分は運がいいと思えていない理由なのではないかと僕は考えています(以前の僕もそうでしたから)。
なので、「自分は運がいい」と思うためには「自分の人生の(当面の)目的ってのをまず決めておく」べきだと思います。

自分の人生の目的…というと重たくなってしまいますが、これは人生のフェイズによっても変化していくものだと思います。
若いうちはそもそも知ってることが少ないので、そんなわずかな知識の範疇で自分の夢とか目的とか決められないのが普通だと思いますし、決める必要もないと思います。どうせ変わるんだから。
なので、もっと小さな、当面の目的でいいのです。自分が興味を持てそうなジャンルのスキルを手あたり次第に習得したいとかそういう目的でもいいでしょう。
あるいは「このことについてめちゃ詳しくなりたい」という目的かも、「このプロジェクトをぜひとも成功させたい」という目的でもいいでしょう。

まあ、目的は人それぞれ違うと思いますが、なんか事例がないとよくわからないですよね。
なので、具体例として僕が前職の大阪市職員の時に経験した「大阪イノベーションハブ」立上げの仕事のときのお話をしたいと思います。

目的を定義し、過去の失敗事例を分析する

大阪イノベーションハブは2012年、グランフロント大阪にオープンした大阪市が運営するイノベーション創出拠点です。
この拠点の立上げと立上げ初期の価値創出モメンタムを作り出すのが僕の役目でした。
この仕事が面白そうだったので、2年連続で異動希望を出していたので、このミッションはぜひとも成功させたい当時の僕の一番の目的でした。

でも皆さん、行政がハコ(施設)を作ると聞いた時、どう思われます?
「行政が施設を作ってもどうせ失敗するんじゃないのか?」って思いません?
僕もそう思いました(笑)
なので、どうやったらこの難易度高めなミッションを成功できるかを考えたわけです。

でも成功する理由を先に考えても、なんかふわっとしたことしか思いつかない。
なので「行政が作るハコがなぜ失敗するのか」という失敗原因を先に考えてみました。
その結果、行政が作るハコかが失敗する原因は主に3つがあるんじゃないかってことに到達しました。

行政が作る施設(ハコ)が失敗しがちな3つのポイント
①物理動線(つまり立地)が悪い
②情報動線(情報提供手段)がない
③コンテンツ発想がない

失敗の理由をもとに「成功の仮説」を立て行動する

簡単に説明しますと①は場所が悪いということです。たいていの公的施設は政治家の手柄のために作られるものです。全部が全部そうではないですが、多くの施設は政治家が選挙対策のために、行政に圧力をかけてつくらせるものなので、必ずしも立地がいい場所にできるわけではありません。なので失敗する場合が多いんです。幸いにして大阪イノベーションハブの立地はとてもよかったわけですが。

②の情報導線がないという問題はかなり深刻です。多くの市町村では今もそうですが、広報手段が、紙媒体の「市政だより」的なものか、自治体ホームページくらいしかありません。想定ユーザーにプッシュで通知していくような動的広報手段がないため、どんな素敵な場所を作ったとしても人に知られにくい。
なので、僕は個人で情報デリバリールートを構築すべく、SNSで友達を増やして個人SNSを通じて情報デリバリーしていく活動をすすめました。
その結果年間1000人ぐらいずつ友達が増え、個人がローカルメディアとして機能していく状態にもっていくことができました

③のコンテンツ発想がないという問題も深刻です。多くの役所では自分たちの仕事は施設を作るまでで終わりだと考えています。
施設を作ってからの運営は民間に委託(指定管理者制度含む)する前提だからです。
その結果、継続的な顧客開発的な発想はなく、施設がより一層の価値を発現していくことが難しくなります。
大阪イノベーションハブの場合、「イノベーションエコシステムの創出」という目標を掲げており、エコシステムを構成する様々な属性の人を集め続ける磁力としてのコンテンツを作り続け、その価値を高め続ける必要がありました。
僕はその時、自前でイベントを企画するだけでなく、外部からのイベント主催者の誘致をするとともに自分自身が「常設の対話型コンテンツ」としてふるまうように心がけていました。

その結果、大阪イノベーションハブは当時、地方自治体がつくるイノベーションスペースの先駆事例となり、多くの大企業がこぞってここでイノベーションイベントを展開し、また、多くのコミュニティがここに集まるようになりました。


そして、そうしたプロセスで得られた人のつながりを、職業人として、あるいは個人としての信頼に昇華していくことができたことで、僕はその後、起業してやっていけてるわけです。(このあたりが僕が運がいいといわれるゆえんですが、これは再現性があると思ってます。)

目的達成のための行動プロセスを可視化してみる

話を戻して、大阪イノベーションハブが場の目的を果たすために僕がやったことを整理すると

①自分の目的を決める→大阪イノベーションハブを通じて「関西のイノベーションエコシステムをつくる」
②目的達成のために何をすべきかを考える→失敗するとしたらその理由はなぜかを分析する
③成功のために必要なアクションを規定する
④アクションを実行していく
となります。

④のアクションには、ここで書くには細かすぎる色々なTIPSがあるのですが、ここでは省きます。
一つだけ重要なTIPSとして、僕の場合、ローカルメディア的な機能も持つに至った自分のSNSを通じて折々の自分のアクションや思いについて常に発信していたのですが、それは非常に大事だったなと思います。この発信を通じて重要なフィードバックをもらえたり、いろいろな人が次の機会を提供してくれたり、あるいは仲間になったりしてくれたからです上の①~④に付け加えるべき⑤が言語化と発信であり、それが「運を増量していく」キーアクションだったなと思います。
以上のプロセスを図にするとこんな感じ。


大事なことは、当面の目的を決めて、その目的達成のための具体的な行動を決め、試行錯誤しながら行動の最適化をはかりつつ、その発信もしていくということ。

この行動の積み重ねから得られた実感と実体験が「 運の科学vol.1」でお伝えした「運をよくするための三原則」につながっていくことになります。

運をよくするための三原則

 1) 自分を活かせる機会を増やす
 2) その機会の質を高める
 3) 機会を活かせる自分を作る

「運を増量していくサイクル」を回していく中で、登壇するなど自分をアピールできる機会が増え、仲間や協力者が増え、機会の質が高まり、活動の軸もどんどん広がっていく。
そんな体験からの学びを次回は書きたいと思います。

vol.3に続く

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