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不動産営業になった盲目の男性

FROM 安永周平

先日、ボブもよく取り上げるトム・ホプキンス氏の名著『営業の魔術』を読み返していたら、面白い話がありました。ホプキンス氏が、ある不動産営業の集会に招かれた時の話です。

彼のスピーチの前に、司会者がある男性を紹介していました。司会者は「この男性は、昨年、国内の住宅営業マンの平均収入の2倍を達成しました」と言います。確かに凄いのですが…それほど大したことじゃないと思う人もいます。実際、会場の誰もが少し困惑しながら舞台のその男性を見ました。しかし、司会者の次の言葉で、会場全体が歓声に包まれました。

「そして、彼はまったく目が見えないのです」


会場の誰もが舞台に釘付けになり、温かい拍手が沸き起こりました。そして、この男性はこうスピーチをしました。「私は自分の売る住宅を1度もこの目で見たことはありません。ですからお客様の目を通してクロージングしなくてはいけないのです」と。そう、彼は自分の商品を見ることができないのです。そんな条件で、平均の2倍以上の業績を上げる…考えられますか?

もし、僕らが彼と同じ立場なら、自分の扱う商品の特徴やメリット、限界などを”常にお客様の立場になって”見る必要があるということです。それが「お客様の目を通して」という言葉の意味することろでしょう。これは、営業にとっては本当に大切なことで「自分がどう思うか?」ではなく、「お客様にとって何が重要なのか?」を僕らは常に知っておく必要があります。

自分の好きなものを売るな?


ホプキンス氏は、著書の中で「多くの営業マンは、自分の好きなものを自分の好きな人にしか売らない。そのため、本来なら稼げるはずの収入のごく一部しか手にしていないのだ」と言っています。繰り返しますが、営業で大切なのは自分がどう思うか、自分が好きかどうかではありません。「お客様がどう思うか」であり、この当たり前の事実を忘れてはいけません。

たしかに「好きな商品を売れる」というのは幸せなことでしょう。目に見える商品に限らず、SNSなんかでよく言われるように「好きを仕事に」できるのは幸せなことだと思います。しかし、目の前のお客様がそれを好きかどうかは別問題です。切り分けて考える必要があります。自分の好き嫌いはプライベートな時間に思う存分発揮するとして、仕事ではお客様の立場になることが大切ではないでしょうか。

そのためには、仕事ではお客様の立場になって、あなたの商品・サービスの良さだけでなく”欠点も含めて”見ることです。あなたが売りたいものではなく、お客様が欲しがるものを売ることができるなら、あなたの収入は今よりもっと伸びていくでしょう。実際、自分と考え方や価値観がまったく異なるお客様にもうまく営業ができるようになることは、あなたの人間的な幅を広げることになるはずです。

自分都合の愚かなクロージング


ここで、先の盲目の営業マンが「クロージング」という言葉を使っていたのを思い出してください。一般的に、クロージングという言葉は、ややネガティブなニュアンスがあります。なぜなら、クロージングとは営業マンの利益を目的として使われることが多く、お客様の利益に対しては使われないからです。事実、クロージング・テクニックの話になると、お客様の利益についてはほとんど言及されません。

代わりに出てくるのは、売り手である自分のことばかりです。「この言い回しは正しいだろうか?」「自分は上手くやれているだろうか?」「自然な話し方ができているだろうか?」「テクニックが逆効果になってはないだろうか?」なんて考えてしまうのは、全て自分の利益を優先している証拠です。

GIVERが目指すべきクロージング


しかし、営業とは相手の問題を解決することであり、ボブの言葉を借りれば「相手と一緒に買うこと」です。つまり、自分志向ではなく相手志向でなければならないはずです。ですから、僕らが目指すべきクロージングは単なるテクニックではありません。一般的なイメージに惑わされてはいけません。ボブは音声講座『SELL THE GO-GIVER WAY』の中で、クロージングを次のように定義しています。

「セールスの対話を適切なところに着地させ、目の前にいる顧客が次のステップに行けるようにすること」

この場合、次のステップとは商品を購入してもらうことになります。ですから、クロージングとは無理やり決着をつけることではありません。そこに行き着くまでの他のプロセスが正しく行われていれば、購入してもらうのは、プロセス全体から自然と生まれる結果に過ぎないんです。繰り返しますが、無理やり言いくるめるようなテクニックとは違います。

売り込むことは営業にあらず


書店に行けば、クロージングのテクニックを謳った書籍がたくさん売っています。その多くは「二者択一話法」だとか「イエス・バット法」だとか、話し方のテクニックがメインとなったものでしょう。しかし、今一度、冒頭の話を思い出してください。盲目の男性は、相手の目を通して商品を見たからこそ、平均の2倍以上の成果を上げることができたのです(途方もないハンディキャップを背負っていながら)

営業はどんな時でも「相手志向」でいる方が、多くの人に気に入られて、信頼してもらえて、色んな人とつないでもらえる…そんなふうに思います。世間のイメージに惑わされることなく、相手の役に立つGIVERのスタンスでお互いにいい関係を築いていきたいですね。

PS
ちなみに、ボブがこうした営業のマインドについてひたすら語る『SELL THE GO-GIVER WAY』ですが…あなたはこの存在、知っていますか? 最近、販売部数が4000部を突破したこちらの講座を購入してくれた人に、無料でプレゼントしていますのでぜひこの機会にチェックしてみてくださいね。

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