見出し画像

全米チャート席巻中の3人のカントリー野郎の識別法、教えます!

どうも。

今週は連日で音楽の特集なんですけど、今日はこれです!

全米チャートで今、野郎のカントリーが強くなってる、と言ってもすごく目立ってるの3人だけではあるんですけど、ちょっとこれ、トピックとして語っておいて損はないかなと思うのでやろうと思います。

で、しかもこれ、3人いると言っても、それぞれが全然タイプが違う。このことも言っておいたほうがいいし、中には聞きたくなるものも出てくるのではないかと思うので、そのガイドとしても良いかなと思いまして。

では、早速1人目から行きましょう。

①全米チャート独走のモーガン・ウォレンはぼんやりやらかし派


はい。このモーガン・ウォレン。




今、全米アルバム・チャートで1位独走中ですよね。このアルバム、「One Thing At A Time」。7週くらい1位ですよね。いつになったら、どうやったら落ちるんだ、ってくらいの人気ですけど。

この人がなぜ人気なのかというとですね、今の音楽的に行き場のない保守層が大量に流れた結果です。だいたい、アメリカのミュージシャンというと、目立つところ大概リベラルなわけじゃないですか。となると、保守層と意見の合うミュージシャン探すのは難しい。そこにちょうどいいタイミングで存在したのが彼だったわけです。

2021年の12月、まだコロナ規制きつい頃ですけど、その時にマスクなしでパーティやったのがバレまして、「サタディ・ナイト・ライブ」の出演、ボツにされちゃったんですよね。

で、その数ヶ月後には今度は黒人を「ニガー」と呼んでいたビデオが流出。ここでもお咎めをくらってます。

ただ、そうしたトラブルが重なれば重なるほど、彼のアルバムは売れましてですね。前作「Dangerous Double Album」も1年以上ずっと全米アルバム・チャートのトップ10に入ってました。

ただ、かと言って、過激な言動を歌詞に乗せて煽ったりはしてないんですよ、この人。普通の保守的な人、同様に、何も考えてない風にしてる、ちょっと天然におバカな感じというか。そこで共感持たれてる感じがするんですよね。ある種、等身大というか。

で、この風貌でしょ。まあ、マレットにマスターシュというファッション・センスが受ける理由は心情的にはわからないんですけど、まあ、スレンダーなイケメン風ではありますからね。

この人、もともと

オーディション番組の「The Voice」出身で、それで茶の間にある程度浸透してたのも大きかったんですよね。この番組、前も特集したメラニー・マルティネスもここ出身でしたけどね。

声はかなり特徴あるスモーキーなハスキー・ヴォイスで、ここも人気のひとつかなとも思うんですけどね。

ただ、この人、サウンドはカントリーの中では結構モダンな方というか。もともとバックについてるのがジョーイ・モイっていうニッケルバックを手がけて成功してた人なんですよ。2000sのニュー・メタルからこっちの世界に勢力流れてきてたわけなんです。メタリカの記事書いた時にもその子と言及しててメタリカ→ニッケルバック→今のカントリーと聞くとつながるものなんですけど、その代表格です。

ただ、サウンド的にはメタルっていうわけではなく、ポップなんですけど、一般に聴きやすい努力はやっていまして

これなんて、まんまエイティーズのポップですからね。ハリー・スタイルズーみたいというか。

これに至ってはトラップまでやってますからね。

そういう感じで、今の人に聴きやすいポップもかなりやってます。そうじゃないと、あそこまで人気も出ないとも思いますけどね。


②国際ブレイク中のルーク・コームズは快適さ追求派


続いてはルーク・コームズ。彼も売れてますね。3月にリリースしたこの

「Gettin Old」というアルバムも全米トップ10に入り続けてます。同じ週にリリースされ得たラナ・デル・レイのアルバムが40位台まで下がったというのに(初登場はラナの方が上だった)にですよ。悔しいですが(笑)、こっちの方がアメリカではヒットしてることには否めないです。

そして彼の場合、特筆すべきは売れてるのがアメリカだけじゃないことです。モーガン・ウォレンはアメリカとオーストラリア限定の人気なんですけど、ルークの場合は、こうしたサウンドがウケにくいイギリスでもトップ10に入ったし、ヨーロッパでもいろんな国のチャートに入ってるんですよね。動きとしてはむしろ、こっちの方が気になります。


これ聞いてもわかると思うんですけど、思い切りエイティーズのアメリカのロック系ラジオ、もうそのまんまです。モーガン・ウォレンよりもハードですね。ZZトップとかブライアン・アダムス、ジョン・メレンキャンプとか好きだった人はこの人を聞くといいと思います。もう、そういう需要はだいぶ前からカントリーの方に流れてきてましたけど、それの最大人気が彼です。

また、こういうベッタベタなラブソングも強い人で、そこでの人気あります。歌詞がすごく人生模様綴った感じで、まさにそこがカントリー・ミュージックの本道なんですけど、そこでの支持が強いですね。

で、思想はどうかというと、まあ、おそらく保守ですけど、「人に嫌な思いはさせない」のがモットーな人です。以前、ギターのボディにコンフェデレーション・フラッグ、いわゆる黒人奴隷制を根強くやってた南部の旗なんですけど、これを貼ってた過去の写真が流出した時、レイシスト疑惑が出たんですね。その時に彼は平謝りしてそれを否定。「僕はプリーザー(人を喜ばせる人)だ。誰にも不快な思いはさせないよ」という宣言もしてます。まあ、そういうところも、音楽同様、快適さ重視といった感じでしょうか。歌詞真面目だったりするので「軽い」っていう意味とはまた違うんですけど、悪気のない「いい人」な感じなのだと思います。

その彼の最新ヒットは

黒人女性フォークシンガー、トレイシー・チャップマンが1988年に出したヒット、「Fast Car」のカバー。これも今、チャートの上位に来てますけどこういうとこでもエイティーズ・リスナーとは相性良いと思います。


③インディとも共振。ザック・ブライアンは熱いリベラル派


続いてはザック・ブライアン。彼は去年。彗星のように現れた人です。年齢も1990年生まれのルーク、1993年生まれのモーガンより少し若く、 1996年生まれ。生まれたのはなんと沖縄。家族は海軍なんだそうです。

そんな彼は昨年


「American Heartbreak」という2枚組のアルバムでデビューしてますけど、
僕、これすごく好きで、去年の年間ベストで26位に選んでます。

この曲が全米だけでなく、Spotifyのグローバル・チャートでも大ヒットしまして、この影響でアルバムが発売から1年近く経つんですけど、まだトップ20に入り続けてます。

その彼なんですが、カントリーでくくるより、実際はフォークです。カントリーでくくった方が浸透しやすい、売れやすかったとは思いますけど。

人脈的にも

マギー・ロジャースとデュエットしてますしね。この時点でカントリーに縛られてるわけではないのはわかりますよね。

また、この人、家が軍人ではあるんですけど、かなりリベラルな
人でも知られてます。それを示すエピソードがありまして。

アメリカでつい最近、ビールのバドライトが、トランス女性をキャラクターに使用したCMを作ったんですね。これに対し、保守派で有名なロッカー、キッドロックやカントリーのベテランのトラヴィス・トリットが缶に暴力的な行為をして物議を醸したんですね。

アメリカは非常にややこしい国で、ゲイでも譲歩するのが大変な人が多い上に、トランスは「性を変える」というのがどうにも許せないようで、激しく受け付けない人がいるんですよね。だからトランスやドラッグを取り締まる法案なんかも生まれてしまって問題にもなってるんですけど

ザックはトラヴィス・トリットと彼曰く「目と目を合わせて90分話し合った。古いレジェンドと話すのは良い機会だった。意見が合わないことが幾つかあったが、世界は終わっちゃいないんだ。みんな、バカになるの、やめないか」と言って、たてついたんですよ。年齢30くらい違う、カントリーの大御所に。

これですごい話題になり、彼はカントリーの世界からすごく非難されたとのことなんですが、僕的にはそれでさらに彼に対しての信用度が大きくアップしましたね。リベラルな人が聞くカントリーがここにあることが証明された、というわけです。

これだけじゃなく、前から「自分はリベラルだ」という発言していたので先のアルバムも聴いてたんですけどね。

「売れてるカントリーの男」、と言っても三者三様ということで。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?