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殿堂入りにトッド・ラングレン!ロックの殿堂入りアーティスト、発表

どうも。

昨日、今年のロックの殿堂入りするアーティストの発表がありました。

ラインナップ、こういう感じになりました。

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はい。こういう6組なんですけど、もう、今年、これが一番驚き、かつ一番嬉しかったのは

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トッド・ラングレンですよ!!

いやあ〜、これは本当にうれしかったですね。ここ数年、候補になり続けていたのは知ってましたけど、まさか本当に選ばれるとはなあ〜。

 だって、トッドといえばカルト・アーティストの代表格みたいな存在で、大きなヒットがあるわけではありません。加えて、プロデューサーといっても、そこであがる名盤で言っても、名盤選の100位に入るたぐいのものよりは、どっちかというとコアなファン層のあいだで語られるタイプのものが多かったですからね。

 この話、あんまりこれまでする機会がなかったんですけど、トッドというのは僕にとって音楽の先生的存在だったりします。

 これは前も話したことですけど、僕にとっての小中高のヒーローはクイーン、ホール&オーツ、ジャーニー、デュラン・デュランだったんですけど、その時期を過ぎた後、音楽リスナーとして本格的にいろんなものを聴いて幅を広げたくなったときにそこにいたのはトッドでした。

 ときは80年代後半。世がアナログからCDに切り替わる時。CDによる廉価再発キャンペーンが始まった頃です。僕の世代の音楽リスナーはこの恩恵にあずかっているんですけど、このときにトッドの再発が日本のコアな音楽ファンのあいだで大ブームになったんですよ。そのタイミングで最初、ラジオでトッドの曲を聴いたのがきっかけですね。何の曲か覚えてないんですけど、「ホール&オーツみたい」だと思って興味を持ち始めました。

 そして大学に入ってトップ40系の音楽サークルに入ったんですけど、そこでもトッドが一部ブームで。そこに加えて

トッドがプロデュースした高野寛の「虹の都へ」がヒットしたんですね。この曲、すごく好きで、それでさらに興味を持って。

そこで

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僕の場合はこれでしたね。ビクターから出てた、シングルのA、B面を集めたベスト盤。これでハマりました。

そして、ここから、トッドとエアロスミスとチープ・トリックのアルバムを揃える作業をはじめて、何回も聴いて細かいニュアンスさぐっていくうちに、いろんな発見がありました。

まず、3アーティストに言えることは、いずれも60sにイギリスのロックに影響を受けた同世代のアメリカ人だったこと。トッドとエアロスミスのスティーヴン・タイラーだったらビートルズやヤードバーズの影響が強いです。僕がガレージロックへの興味を広げたのはこれが契機です。また、トッドとチープ・トリックだったらパワーポップ方面ですごく近い。

 その一方で、聞き進めていくとトッドのソウル趣味も見えてきて、そこでマーヴィン・ゲイみたいなモータウンやカーティス・メイフィールド、フィリー・ソウルにも手を出して・・・。あと、メジャー・セヴンスのピアノの3連。これもトッドで非常に人気の手法ですけど、ここからもローラ・ニーロ、ブライアン・ウイルソン、キャロル・キング、バート・バカラックに共通項を感じて広げていったし。プロデュース方面でパンク/ニュー・ウェイヴ、ここからもXTCやニューヨーク・ドールズ・・と手を出していってますね。

あと、余談ですけど、家の中でトッド使って、歌の練習までしてました(笑)。幸いというか、声の高さが近くてメチャクチャ歌いやすかったんですよね。ヴォーカルでの憧れはダリル・ホールだったんですけど、声は似てるもののダリルほどうまくないのでなおさら(笑)。Bのフラット、調子いい時にBの音を苦しそうに振り絞って出せる感じがセクシーで、それが自分的な理想にもなって。僕のヴォーカルへの審美眼も磨いたのも紛れもない事実です。

こんな風にして、僕はトッド・ラングレンから音楽的知識を吸収していったのでした。こういう作業が一通り進んでいた状況のときにグランジ、オルタナティヴがやってきて、80s後半から自分にフィットするコンテンポラリーな音楽がなかなかなかった中、「これだ!」というのを見つけて、そこからはコンテンポラリーなインディ・ロックの方面に向かいましたけど、元々はそういう趣味だったわけです。

 なので僕からしたら、「先生、おめでとう!」の気分なんですよね。そうした、自分の音楽の基礎を形成した、僕にとっては行きたくない学部に行かされて、ふてくされてろくに勉強しなかった大学時代の、最大の先生なんですよね、本当に(笑)。カルト・アーティストなんで、まさか殿堂入るとは思わなかったんですけど。

今でもトッドのことはテイム・インパーラ聞くと思い出します。アナログなエレクトロ感覚と、メロディ・センスが本当に後継者というか。あのバンドがカバーしたトッドの曲をここで貼っておきましょうかね。1973年の曲ですが比較的最近のライブから。


 あとの殿堂入りの人も、おめでたい人、結構いますね。

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キャロル・キングが「ソロ・アーティスト」として殿堂入り。これまで作曲家チームとしては入ってたんですけど、「つづれおり」とか、アーティストとしての評価ではなかったという。「それが2021年ではじめての評価なのかよ」とあきれますけどね。本人も今回の殿堂入り大喜びで、ツイッターで大喜びしてましたね。

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ティナ・ターナーもソロとして殿堂入り。彼女もアイク&ティナ・ターナーで殿堂入りしてますけど、アイクとの思い出が生き地獄みたいな人なわけですから、今回の受賞で交換したほうがいいですよね。その点で僕はこの殿堂入りもうれしいです。

ただ

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ゴーゴーズは、「なんかそれ、違うだろ?」と思わずに入られません。確かに彼女たち、ガールズ・バンドとして初の全米1位アルバム保持者です。だけど、人気のあったのはほんの数年で、後年にブロンディとかランナウェイズみたいに音楽的に影響力があるとも思えません。それが、今年候補になりながら落選したケイト・ブッシュの存在がありながらこっちは殿堂入りした、というのはどう考えてもおかしいです。「今日の国際的影響力とか、ガン無視なのかよ」と、ちょっと憤ってます。矢野顕子、大貫妙子を無視してプリンセス・プリンセスが賞を受賞するようなものです。

そして

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このジェイZとフー・ファイターズに関しては、今日、それぞれがヒップホップ、ロックで果たしている「重鎮」の役割考えたら当然すぎる殿堂入りです。

困ったことに、この2組過ぎたら、そういう格のアーティスト、しばらくいないんですよ。いっそのこと、殿堂、しばし中断してもいいと思うんですよね。ちょっと、これまで、無駄に殿堂に入れすぎてるあまり価値が下がってますしね。

あと、アメリカ人ばかりひいきしすぎですね。今回もケイト・ブッシュ、アイアン・メイデンが落選したようにイギリス人に厳しすぎるし、アメリカでのチャート実績でしか評価しようとしていないのは大問題です。もう、ポップ・ミュージックも世界規模で捉えないといけない時代なのに・・・。

・・・と、今後のこのブログでの特集に含みをもたせながら(笑)、ここはシメましょう。


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