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評判は良いのに・・。ヴァンパイア・ウィークエンドの新作はなぜチャートで大苦戦してるのか?

どうも。

コーチェラの話とかまあ、いろいろあるんですけど、まあ、今日はそっちの話はしないで、こっち行きましょうか。

はい。ヴァンパイア・ウィークエンドですね。新作「Only God Was Above Us」、非常に好評で良いレビューをたくさん見ます。僕も前作からの体制の方が好きなので、このエズラ・コーニグのソロ・プロジェクト化した今の路線、好きなんですよね。むしろ初期より応援したいくらいです。

ただですね、とても残念なことに、今回ですね、過去一番チャート・アクションが苦しいんです!

どうなってるかというと、こういう感じなんですよ!

イギリス11位
ドイツ25位
アメリカ27位
日本28位
フランス39位
オランダ64位
オーストラリア72位


これはちょっと僕は衝撃でしたねえ~。

一番ショックでかかったのはアメリカですね。なんといっても前3作、全米1位だったわけですからね!

さらにいえばイギリスもオーストラリアも全三作はトップ10ですよ。それがオーストラリアは
あわやチャート圏外で、イギリスなんて人気ありそうなのにトップ10を逃したわけですからね。

逆にドイツ、フランス、日本はそんなに動きありません。こういったところでは待遇はこれまで通りによいとは思いますが、英語圏のフェスって商業実績で出番の格付けやるので、これだとダメージ出そうですね~。ちょっと、そこ、気がかりです。

では、なぜそうなったか。僕は理由を4つ考えています。

①リリース間隔が空きすぎた

これはひとつあるかと思います。

前作「Father Of The Bride」から今作までが5年、そして前作がそのさらに前のアルバム「Modern Vampire Of The City」から6年かかってます。これだけペース遅かったら、ファンの求心力落ちても普通なら仕方ないんです。

ちょっと、そういうペースでの活動するには彼らまだ若すぎますからね。早いうちから50代のバンドみたいな活動ペースなのはちょっとどうなのかな。もっと精力的に動いてもよかったんじゃないかなと思います。

②実はこれまでもラッキーな1位ではあった

この点もあると思います。過去三枚の全米アルバム1位を思い出すに強力なライバルがいない状態で1位とってたんですよね。

その最たるものがセカンドアルバムの「Contra」でして。あのアルバム、たしかに勢いのある時期ではあったんですけど、1月の最初の発売だったんですよね。この時期に新作リリースする大物っていないんですよ。だからこの時、かなりラッキーな1位だったんですよ。これがもっと遅い時期だったら、やっとこさトップ10だったんじゃないかなと、あの頃よく思ってたのを覚えてます。

で、続く「Modern Vampire Of The City」。この時が一番数字も動いたんじゃないかと思うんですけど、大して強い敵がない状態での1位でした。カントリーのベテランが一人いたとか、それくらいのものでした。

で「Father Of The Bride」のときも一週前にP!NKが出たくらいで彼女の2週目に勝てての1位でした。なおイギリスではP!NKの2週目抜けずに2位でした。

ところがですね、今回は強敵多かったんですよ!アメリカだとJコール、コナン・グレイ、女性ラッパーのGlorilla、ブラック・キーズと重なり、イギリスではリバティーンズやフィーダーなどと重なっていました。

正直な話、これだけ重なってるから、もしかしていつもよりは若干厳しいかなとは予想してはいたんです。でもそれでも「イギリスでトップ5、アメリカでトップ10」の予想をしてたんですけど、結果はそれを大きく下回ってしまた。

③フェスでの格付けが昔から強くなかった

おそらく日本のミュージック・リスナーの印象ではヴァンパイア・ウィークエンドと言えば「アークティック・モンキーズやThe 1975と肩を並べる時代を代表するバンド」だと思います。

しかし、国際的なフェス市場は全くそんなことはありませんでした。2010sのバンドでヘッドライナーのバンドと言えばアークティックかキラーズかキングス・オブ・レオン、アーケード・ファイアで、少し遅れてテイム・インパーラやThe 1975が加わりはじめて、ここ最近でBMTHやマネスキンが入りはじめたという感じだと思います。これらのバンドに比べてフェスでVWが目立ってた印象がないんですよね。アルバムが3枚も全米1位になっているのにですよ。

それで悪い思いでも実はあります。2014年のロラパルーザ・ブラジルで彼ら来たんですけど、「Modern Vampire 」のあとのツアーだったのに第2ステージの夕方前で、そのライブ、その年のブラジルのロラパルーザでワーストに選ばれたんですよね。

僕自身も「あっちゃー」という感じでしたね。僕、セカンドのときも日本で見てて結構がっかりで。演奏が下に近い中で、印象に残らないライブやってたんですよね。「ああ、ここまでビッグになってこれじゃ辛いな」と思ってたし、これが彼らのフェスでのランクを止めていた要因になってたのではないかなと今にして思います。

④ストリームに決定的に弱かった

そして、実はこれがもっとも大きい要因だと思うんですけど、VW、ストリームに弱いんです!

今のご時世、チャート入るのにストリーム弱かったらダメです。2015年まではフィジカルの売上額メインで、アメリカでも初動で買ってくれる人が多ければチャートの上位に来てました。ところがそれ以降はストリームが主流。大人リスナーがメインなロックはこれでチャートですっかり弱体化してしまいます。

ただ、中にはストリーム激強な存在もいます。例えばそれはアークティック・モンキーズにテイム・インパーラですね。それは彼らにストリーム時代に決定的な大ヒット・アルバムを持っているから。この話は以前からこのnoteではよくしてますけど、アークティックなら「AM」、インパーラなら「Currents」。これらのアルバムは収録曲の大半の曲が一億ストリームに達しています。

VWの場合はどうか。彼らの場合はコンスタントに1000万ストリームくらいは稼げます。ただ、持ち曲で最大のストリーム数が「A Punk」の4億ストリームで、あとようやく一億ストリームに達するのが4、5曲といったところです。

ただ、それだと10億ストリーム越えの曲を数曲抱えるアークティックやインパラには太刀打ちできそうにありません

また、キラーズなら「Mr.Brightside」、キングス・オブ・レオンなら「Sex On Fire」といった長期で愛される10億ストリーム越えのアンセム持ったバンドは人気が安定しがちです。そこへ行くとVWには決定的なアンセムが不足してるんです。

それがSpotifyのマンスリー・リスナーの差にも繋がっています。21世紀以降のバンドで見るとこんな感じです。

Arctic Monkeys. 5000万
Tame Impala.   2700万
The Killers.  2400万
Kings Of Leon  2100万
Paramore 2100万
The Strokes. 1400万
BMTH. 1300万
The 1975. 1300万


フェスのヘッドライナーになるなら、このくらいのイメージなんですけど

Vampire Weekend. 780万

やっぱ、かなり少ないといわざるを得ないですよねえ。

このことを僕はだいぶ前から知ってました。なので、「人気が安定してないな」とは思ってたんですよね。

これ、実はUSインディとくくられるバンドに共通した現象でもありましてですね。

高い人はそれでも高いんです。Bon Iver1800万とかBlack Keys1300万とかはあるので。

しかし
Modest Mouse 550万
The National 500万
Arcade Fire. 450万
Fleet Foxes. 420万
Death Cab For Cutie 370万
Wilco 180万
The War On Drugs 180万
Spoon 180万
Bright Eyes 170万
Yo La Tengo 85万
Animal Collectve 54万

と、かなり少なめなんですよね。

この辺りのバンド、10sの前半には人気あってチャート・アクションも良かったものの一部ファンの初動の売り上げが支えてて広く聴かれてなかったのかな、という感じですね。単にレビューで点が良いだけだと、こういう感じになってしまうということだと思います。

ただ、僕はVWに関してはそこまで悲観はしていません。もともと、音楽性以上に売れてたわけだから通常運転になるかなとも思うし、エズラのソロ体制以降に弱かったライブは確実に良くなってます。フェスでの立ち位置は今後よくなる可能性は大きいし、バズるアンセムも言語生まれるかもしれません。

まだ、これから、どうにでもなるかなと思ってます。


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