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「ロックは死んだ」?その前に、今すぐフォンテーンズDCを聴け!!

どうも。

では、今日はこの話をしましょう。先週末はコーチェラ・フェスティバルなどがありましたが、僕の中ではそれ以上に盛り上がっていたのがこのバンドの登場でした。

このアイルランドはダブリンの五人組、フォンテーンズDCです。彼らは、まだ20代前半の若いバンドですが、現在、イギリスの方では、シェイム、アイドルズと並んで「ロックンロール新世代トリオ」みたいな言い方も実際にされています。

かの90sのUKインディ・ロックの立役者のアラン・マッギー。彼は最近、かのクリエイションをもう一回立て直すべく「クリエイション23」というレーベルを立ち上げたんですけど、その取材で彼の口からも「最近ギター・ロックがまた面白い。アイドルズ、フォンテーンズDCはファッキン・グレイト。シェイムは中でも最高だ!」なんて発言をしています。

その中でもシェイム、アイドルズに関しては、UKギター・ロック・ファンなら、昨年のいろんな年間ベストで上位に入っていたから知ってる人も少なくないと思います。僕の年間でも6位と12位でした。そして、そのトリオのもう一つ残っていたフォンテーンズがですね、先週末

「Dogrel」という名のデビュー・アルバムを出したんですけど、これがもう

最高です!!!

いや〜、シェイムやアイドルズを聞いた時も、ロックンロール復興を感じて心は熱くなったんですけど、彼らのポテンシャルはそれ以上ですね。

彼らの場合ですね、youtubeに画像もあるし、それも後ほど紹介しますけど、どちらかというとヘッドフォンで大音量にして聞いたほうがいいので、こういう紹介にさせてください。まず、アルバムの1曲目の「Big」。もう、ギターのギキキキ、というひっ掻くような鋭角的なリフから、スネアを手首のスナップを精一杯効かせて叩きつける音。これらがですね、というかこれをはじめとした諸々の曲がですね、ジョイ・ディヴィジョンとかザ・フォール、ザ・ストロークスあたりから、キレの最良部分だけを切り取って表現したかのような刹那的なカッコ良さがあります!

まず、この感覚だけで、最初の2、3曲は掴まれます。もう、インディ・ロックの理想的な見本です。

そして、これが今、最大の代表曲なんですけど、この「Too Real」に顕著に見られるロックンロール・グルーヴがたまりません。ヴォーカルは、トーキング調でぶっきらぼうに温度低そうに歌うのに、後ろのギターがミョーに熱く攻撃的。この「クール」と「ホット」が絶妙なコントラストを持って聴く者にグイグイ迫ってくる。こういう感覚をロックンロールから感じるのもかなり久しぶりのことです。アイドルズやシェイムは「ひたすら鋭角的で熱い」感じですけど、フォンテーンズは熱い中にどこか冷めたクールネスがあるんですよね。

彼らの場合、リリックもそうなんですよね。フレーズの中の一端には「いつかビッグになってやる」とか「これがお前にとってのリアルかい?」みたいなオアシス的な煽りもあったりしつつ、根っこにあるのはロマンティシズムと文学青年っぽさで基本的にかなりインテリっぽい。でも、そこでスマートにもなりすぎずに、いざという時にはかなりアグレッシヴにもなれる。キャラクターのバランス感覚がすごくいいんですよね。

ライブだと、こんな感じなんですけど、このフロントマンのグリアン・チャッテンというんですけど、佇まいもカッコいい。熱くなりすぎない感じでね。あと、このライブ音源、かなり音いいですね。ユーチューブ・レベルでもわかる。ギターのキレと、全盛時のストロークスに通じるような、踊りたくなるグルーヴ感があってね。

で、そうかと思ったら、アルバムのラストは、彼らの出身地でもあるアイルランドの郷愁を思わせるようなアイリッシュ・フォーク調の曲まである。ポーグスのフィーリングもあるんですよね。こうして聴くと彼ら、若いわりに音楽的素養もかなりあると見受けられます。

そういう感じだとさすがに

レヴュー総合サイト、「Album Of The Year」での得点がエラ位ことになっています。なんと10点満点中9.4点!イギリスのレヴューすごいですよ。NMEとガーディアンが同時に5つ星出したし、アメリカでもピッチフォークが8.0出しましたからね。現時点で今年最も絶賛された1枚じゃないかな。

僕的にもこれ、現時点で限りなく今年のトップに近いですね。ビリー・アイリッシュは打ち立てた記録的なとこまで含めて名盤化は決定のような気がしてるのですが、こちらは数字的な記録こそ作らないとは思わないですが、「ここから沈滞していたロックの空気が少しずつ・・」みたいなものになる予感をすごく秘めています。

あとは、それがビリーにせよ、グレタ・ヴァン・フリートにせよ、フォンテーンズDCにせよ、そうなんですけど、狭量のロックファンが彼らの才能を潰さないことを願いたいですね。本当に、とりわけ欧米のロックファンがクラシック・ロックもインディ・ロックもうるさいんですよ。やれ「それはハイプだ」とか「ポップすぎる」とか「オリジナリティが」とかね。「うるせえよ!」って感じですね。騒いでいる人たちには、それぞれ自分たちの事情や根拠があって騒いでいるわけで、それも理解しようとせず、ただ頭ごなしに否定しようとしてね。ロックの沈滞の危機にはギャーギャー言うくせに、新しい芽が出てきたら「それは気に入らない」と言う。沈みかけた船に浮き輪が投げ込まれたのに、「いらないよ」と言って沈んでいくようなそんな感じですね。最近のロックの沈滞には、そうした旧態依然としたロック・ファンの現状非認識も多分にあると思っています。

あと、本来、ロックを生業にしていたようなジャーナリストさんたちももっとフォンテーンズ、騒いで欲しいですね。ポリコレの世の中で、女性、黒人、アジア人、ラテン系の素晴らしい才能を後押しするのはもっともなことだし、僕自身もそれはやっているつもり。でも、それが行きすぎて、「でも、それって本来”ポップ”の領域じゃないの?」と思えるようなものにまで過剰に肩入れして、フォンテーンズみたいな存在が出てきた時に反応できなくなっているような感じをちょっと感じるんですよね。やっぱりそれは寂しいですからね。










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