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「年を重ねる」ということについて考えさせられる2枚のアルバム

どうも。

今年、あのストーンズのアルバムが出て以来ですね、「どう年を重ねるか」について考えることが増えたんですけど、そんなタイミングで、それをより押し進めそうな作品を先週末に聞きました。

ひとつは

  1. カントリーの女性シンガーソングライター、ドリー・パートン。彼女がですね、なんと御年77歳にしてロック・アルバム「Rock Star」を発表しました。

これ伏線がありまして

去年の11月、彼女はロックの殿堂入りを果たしたんですね。これは彼女自身にも驚きと同時に嬉しかったんでしょうね。同時に「なんで彼女がロックの殿堂なんだ」と言う声もあったかと思います。僕の解釈としては、これらに対してのアンサーをこのアルバムでやったのだと思います。

まあ、ドリーさん、格好に関しては

もう42年前になるんですね、彼女自身も出演した映画「9時から5時まで」の主題歌のこれですけど、この時から髪型、服、ともに、これ、カントリーでの古くからのトラディションでもあるんですけど、

いやあ、すごい。上段左からジョーン・ジェット、ブロンディのデボラ・ハリー、パット・ベネター、ハートのアン・ウイルソン、そしてフリートウッド・マックのスティーヴィー・ニックス。いずれもロックの殿堂入りしている女性ロッカーのパイオニアたちと今回デュエットしてるんですよ!しかも全員60代以上、というかジョーン除けば70代のはずですけど、みんなすごい健在、というかアンなんてかなりの声量なんですけど、ドリーの本気がすごすぎてかなり激しめの歌唱バトルになってるんですよ。そうやって、お互いを互いに祝福し合い、リスペクトし合うという。もう、この時点で僕はかなり持っていかれましたね。

これ以外のデュエット相手も豪華です。言っていきますと、スティング、スティーヴ・ペリー、ジョン・フォガティ、キッド・ロック、スティーヴン・タイラー、ピーター・フランプトン、クリス・ステイプルトン、マイリー・サイラス、P!NK、ブランディ・カーライル、ケヴィン・クローニン、エルトン・ジョン、メリッサ・エスリッジ、リゾ、サイモン・ル・ボン、エミルー・ハリス、シェリル・クロウ、マイケル・マクドナルド、ポール・マッカートニー、レーナード・スキナード。

一番驚くのはこれですね。

なんとジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードですよ!

さらに

ダウンロード盤のみのサービスでマネスキンによる、ドリーの書いた名曲ですね、「ジョリーン」のカバー共演まで入ってます。

これ、曲は共演相手の代表曲である場合が多く、うがった見方をすれば「壮大なカラオケ合戦」というのもできなくはありません。プラス、ドリーという人はもともとはソングライター、とりわけリリックのストーリーテリングで評価の高い人なので、これが評価ポイントになるのかと思っている人もいるでしょう。でも、歌唱レベルが77歳とはとても思えない信じがたいレベルで、完全なるプロ意識とプライドでなされているのが聞いててビンビンに伝わるんですよね。

あとデュエットにもよりますけど、物によってはケミストリーも高い次元で起こっていて。僕の友人がこれ、「歌う徹子の部屋」ってすごく上手い形容したんですけど、まさにそんな感じです。「相手を持ち上げつつ、本人のマウントが強いところも含めて」と彼は言ってましたが、まさにその通りだと思います(笑)。

これがストーンズの「ハックニー・ダイアモンズ」と同じ年にリリースされたのもすごく意義があると思ってて。ロックンロールが死ぬまで不屈を目指す音楽になった瞬間というかね。ロックというのはもう瞬間的な人気の盛り上がりを得る音楽ではないかもしれない。でも、生涯レベルで判断する音楽へと成長したおかげで別の強い価値を獲得した。そのようにも思えるんですよね。

中には

プリンスの「パープル・レイン」のカバーなんてものもあります。彼女としては、叶うものなら共演したかったのではないかとも思えますが、8分近くにも及ぶ、ギターソロに負けない彼女の渾身の熱唱、聞いてほしいと思います。

そして、ドリーのそれが出た一方で


アウトキャストのアンドレ3000僕が一生の中で最も好きなラッパーの5本の指に入る人ですけど、彼がソロ・アルバム「New Blue Sun」を発表しました。

ただ、これがなんとラップ・アルバムじゃないんですよ。彼自身の演奏するフルートのインストによるアンビエント作品なんですよね。

https://www.youtube.com/watch?v=H_tJNVc07Jc

僕、こういうものに対して決して明るくないんですけど、すごくキャッチーでわかり易いメロディを、決して甘すぎずに紡いでてなかなかセンスあるなと思いました。

彼、2000年代半ばまででアウトキャスト実質やめて、その後、俳優に転じてたんですけど、まあ、この演技の実力というのが・・・。これを続けていくよりかは、このフルートに賭けたほうがまだいいんじゃないかと思うんですけどね。

ただ、それでも

ラップやってくれよ!!!


とはどうしても思うんですよねえ。僕の中では、ラキム、トゥパック、ジェイZ、ケンドリック、そしてアンドレ。この5人がGOATラッパーの5人だし、この5人の中でもパックと1、2位争うくらいに好きなだけにね。

その彼がなんて言っているかというと

この発言はショックだったなあ。

だって、48歳って、ミック・ジャガーの年齢のまだ6割ですよ!その人からこの発言というのは。あと、年齢関係ないですよ。彼がアウトキャストやらなくなった時、まだ20代だったんだし。明らかに年齢を言い訳にしているのがわかるだけに余計に寂しいんですよね。

ラッパーとしてのモチベーションのない中、あのフルートの作品は立派だとは思うし、仮にヒップホップ界がアンドレいなくても、彼に近い世代がバリバリ現役でやってるんなら、「一人こういう世捨て人がいてもいいかな」と思うんですけど、ラッパーで50以上で不屈ぶりをアピールしてる人って、残念ながら思いつかないじゃないですか。

ジェイZなんかもこんな風にもうすっかり実業家モードだし。僕と年齢同じなんで親近感も強いんですけどねえ。

ラッパー、50過ぎですら存在感なかなか出さないですよね。今、その年齢で旺盛に作品出してるのってNASとか、ここ最近出してないけど出してくる可能性があるのがエミネムかな。それ以外はちょっと思いつかないですよね。俳優になるコースもなんか出来上がっちゃってる感じしますからね。

成熟を拒むことで若い音楽でいることが可能なのかもしれません。ただ、ヒップホップとて、長い歴史を積んでいくのが避けられない音楽にゆくゆくはなります。今は思い当たらないけど、それがケンドリックになるのかどうかはわからないですけど、そのうちロックがたどったような道にはどっちみち進むかとは思います。そう考えたら、年齢がどうだとか関係なく、「生涯
ラッパー」、早く出てきてほしい
ですけどね。

僕は思うんですけど、この人だったら、そういう生涯アーティストを目指してたんじゃないかと思ってるのが

プリンスなんですよね。晩年になればなるほど、頑固な職人気質、見せていきましたしね。それこそ70代なっても、その紫のギター抱えて欲しかったくらいですけど。その夢叶わず。だから生きていればこそ、トライしていけばいいのになあと思いますね。







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