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日本の音楽界は「センセーショナルな17歳」をまだ他の誰かと勘違いしてるんじゃないか?

どうも。

ロラパルーザも終わったので、ようやく落ち着きました。疲れましたけどね、すごく楽しかったです。

そんな間に、彼女が世界的に旋風巻き起こしてますね。

はい。もちろん、ビリー・アイリッシュのことです。もう、このブログで彼女のことを語るのはいったい何回めなんでしょうか(笑)。

デビュー・アルバム「When We All Fall Asleep Where Do We Go」、世界各国のチャート・アクション、すごいですよ。ザッとこんな感じです。

アメリカ1位、イギリス1位、オーストラリア1位、スウェーデン1位、カナダ1位、アイルランド1位、ニュージーランド1位、ノルウェ−1位、フィンランド1位、オランダ1位、スイス1位、オーストリア1位、チェコ1位、スロヴァキア1位

もう、わかってるだけで14カ国で1位です。つまり英語圏の国、北欧、ドイツ語圏の幾つかの国、東欧の1部で1位ということです。

その他にも

スペイン2位、デンマーク2位、イタリア3位、ドイツ4位、フランス7位。

もう、ヨーロッパの非英語圏の国でも、トップ10は当たり前です。残るはもう、チャート資料の入りにくい国がどうなのか。それがわからないだけで、主要な国々ではもうどこも現象的ヒットを記録していると考えたほうがいいでしょう。

で、ところで

日本では一体どうなの?

と、気になる方もいらっしゃるかと思います。これですね、答は

正確にはわかりません!

これが正確だと、僕自身は思います。なぜなら、

オリコン・チャートなんて、全く信用できないから!


正確なことを言うと、オリコンのアルバム・チャートで1週めで81位、2週めで73位です。このアルバムのウィキペディアの英語版には「73位」と記されています。しかし、オリコンのチャートというのは、世にも不思議なストリーミングの数を換算しない、国際的に見てありえないチャートなんですね。それを加味した「合算チャート」なるものが、あたかも参考記録みたいに発表もされていますが、それに従うと、2週目で41位です。あと、もっと言ってしまえば、今のオリコンのチャートって、アルバムのリリース日が国際的に金曜にに設定されているのに、邦楽がそれを完全無視して水曜発売になってて、そのハンディの補正を全くやってないから、ただでさえ、発売週の洋楽が不利という変なチャートなんですね。発売2日分しか集計されていないので。なので、逆に2週目で上がる洋楽アルバムがオリコンは多いんです。

そのことを考慮すれば、ビルボード・ジャパンが出しているチャートの方が、このアルバムでは正確かもしれません。それに従うと、このアルバム、1週目が47位で2週目が53位。なので

「日本だと40位台」というのが正しい理解かもしれません。


これに関してですが、「まあ、これでも、最近の日本での洋楽考えたら、まだマシな方かなあ」と、情けないですが、そう思わざるをえません。だって、展開によっては、もっと最悪な「100位以内にチャートインせず」で終わる可能性だって十分考えられたわけですから。まあ、今回のチャート結果から考えれば、この先、「来日してくれない」なんてことはなさそうだし、そういう過去に、とりわけロック系のフェスのヘッドライナー格の多くのバンドが経験した屈辱をビリーが味わうことはなさそうです。

が!!

僕は、そうしたことより、ふつふつと悔しいことがあります。それはこのビリーのアルバムが、よりによって2週も続けて

アヴリル・ラヴィーンの方が2週続けて順位上だったって、どういうこと??

いやあ、ありえないですね。来日かなんかしてたんでしょ?でも、それがあったにしても、今のビリーよりアヴリルの方が順位上の国なんて、世界のどこ探してもないですよ!!僕個人としては、ビリーのアルバムの最高位よりも、そっちの方がはるかに恥ずかしかったですね。

日本の音楽関係者の頭の中では、まだ「17歳」というと


こういう感じで止まってる人が多いんですかねえ。確かに、これで彼女が出てきたの17歳の時でしたけど、「17年前の17歳」ですよ(笑)!

思考が17年遅れって、あまりにショックですよ。だって、今回のアヴリルのアルバム実績って、こんな感じですよ。

オーストリア2位、ドイツ3位、日本3位、スイス4位、カナダ5位、イタリア6位、オーストラリア9位、イギリス10位、アメリカ13位

ドイツ語圏でまだ人気が根強いのを除くと、あとは軒並みトップ10に引っかかるか引っかからないか、ってとこです。彼女の母国のカナダでさえ5位です。ましてや、これ2月のリリースだったので、今現在トップ100に残ってる国なんてないですよ!

なんでこういうことが起きるのかというとですね、これ、アヴリルに限ったことじゃないんですけど、日本のレコード会社って、過去に商業実績のあるアーティストのプロモーションに過度に金をかけすぎるんですよ。これが他の国のレーベルだったら、「もうアヴリルば黙ってても買う人いるから、プロモーションは控えめにして、これから売り出すアーティストに投資しよう」ということになる。ところが日本だと、まるで一旦売れた人は今後も稼いでもらわないと、とばかりに新人育成怠って、もう峠を過ぎたアーティストに無駄な金を使う癖があるんですよね。

こんなものまで作ってねえ。どれだけ金かけたんだよ、って感じですけどね。

あと、アヴリル自身のテレビ露出もかなりあったんでしょ、今回?ちょっと、「今の彼女にそこまでやるの??」って感じですけどね。

まあ、同じレーベルですけど、2012年にも、エアロスミスの当時11年ぶりのオリジナル・アルバムにものすごい金かけて日本でやってましたけどね。あの時も、「こんなひどい(あの年のワーストに選んでます、僕)アルバムで雑誌の表紙いっぱいとってるってどういうこと??」って思いましたけど、案の定、国際的に結果がすごく悪く、以来、アルバム止まっちゃって、もう出るのか、って感じになってますからね。誤解のないように言っておきますが、僕、エアロスミスはそのアルバムが出た当時、新作以外の全オリジナルのコメント・レヴューを書いたくらい、かつては思い入れあったバンドですからね。念のため。

まあ、ビリーのレーベルさんにも、売れるためにはそこまでやれ、ってことなんですかね?あんまり、こういうタイプの売り方すると、ビリーを好きになるようなタイプの人は逆に引いちゃうと思うから難しいと思うんですけどね。

ただ、いい加減で日本の洋楽業界も発想変えないといけないと思うんですけどね。「次の種をまく」って発想にそろそろ変えないと。情けないことに、これって90年代からずっと言われてることですよ。オルタナとかヒップホップのスターがグングン出てきてた時代に、スキャットマン・ジョンみたいな一発屋でもうけてウハウハしてたくらいの時から。で、もう、そこから、「海外で売れちゃった」→「日本何もしてません」→「本国からプレッシャー来た」→「1、2作遅れでプッシュ」→「結果が他の国より出なかった」→「来日が何年も見送り」→「世界ではフェスのヘッドライナーで当たり前」っていうようなアーティスト、一体いくつ作ってきたんだよ、って感じですけどね。

特にアヴリルとビリーの件に関しては、今後の日本の洋楽ファンの世代交代の感覚に繋がるデリケートなところなので、やっぱどうしてもナーヴァスになりますね。これ、切り替えられなかったら、日本の洋楽、20年遅れくらいになりかねませんよ。僕がツイッターのTLとかで感じる限りは、もうビリーにキャッチアップしてる人も少なくないから、自然と切り替わるような気もしてるんですが、そういうユーザー側の空気感を売る側が捉えられずに、かつての大物に惰性で金を優先的に費やすようなやり方していると、新しく出てくるものを潰しかねませんよ。










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THE MAINSTREAM(沢田太陽)

音楽ジャーナリスト。90年代にNHK-FMで番組を制作した後、99年よりフリー。2004年にインディ・ロック・マガジン「Hard To Explain」を立ち上げる。2010年よりサンパウロに移住。同年に洋楽・洋画・海外ドラマ専門ブログ「THE MAINSTREAM」をはじめる。

#音楽 記事まとめ

楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。

コメント1件

失礼します。もう一つ心配なところは
ブームが過ぎ去った後に、落ち目のラッパーやDJを持ち上げる危険性があるところですね。
必要以上にヒップホップを意識する記事が目立ち、バブル、ヘアメタルと一緒かもしれないと疑う記事もありませんし。
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