「お笑い」から遠く離れて〜天才過ぎて売れなかった芸人たち

1.イントロダクション

 こちらを読んでいる方々は、フォークダンスDE成子坂というコンビは、ご存知だろうか。かつて、「ボキャブラ天国」という番組があり、そこでネタを披露していた。桶田敬太郎さんと村田渚さんのコンビで結成されている。
 かつて、同じ番組に出演していた爆笑問題の太田光さんは、フォークダンスDE成子坂(特に桶田さん)について、「天下を獲る」と思った一方で、こう語った事がある。

「あいつ(桶田)は、天才過ぎて売れなかった」――爆笑問題・太田光

https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_200006039/より

 フォークダンスDE成子坂は、自分自身、リアルタイムでは知らず、2006年にメンバーの村田渚さんが、くも膜下出血で亡くなった時に、その名前を知った。後から調べてみたら、村田渚さんは、爆笑オンエアバトルで、3つの名義でオンエアを勝ち取っている唯一の芸人である(「フォークダンス~」、ピン芸人、漫才コンビ「鼻エンジン」)。そういう意味では、三つの名義でオンエアを勝ち獲る村田さんも、天才だろう。実際に晩年の事務所は、ソニー(SMA)におり、同じ事務所のバイきんぐの小峠さんは、ブログにてこう綴られている。

あの人に面白いと認められたかった。

俺はあの人に夢中やった。
(中略)
いつか二人で客集めれるようになったらトークライブやりましょうと、俺はいつも言うとった。

バイきんぐ小峠のブログ「見ル前ニ跳ベ」の『村田渚さん』より

また逝去後も、最終所属のSMAで「鼻エンジン」としてプロフィールが記載されている。ちなみにSMAのライブハウス「千川びーちぶ(Beach V)」という名前は、Beachは「渚」、VはVillageの略で、直訳すると「村」になるので、村田渚さんに由来しているらしい。ソニーの泥臭く、粘り強い感じで切磋琢磨するのは、一部は村田さんのおかげなのかな、と推測してしまう。でなければ、今ブレイクしている、バイきんぐ、ハリウッドザコシショウ、錦鯉、アキラ100%等、遅咲きの芸人が生まれなかったのでは、と思う。

 2019年に桶田さんが逝去された報道があり、2人とも、すでにこの世にはいない。
 様々な芸人さんが、フォークダンスDE成子坂(以下、成子坂)について語っていて、驚いた。上記の爆笑問題だけでなく、さまぁ~ずやサンドウィッチマン、前述のバイきんぐなど、先輩・後輩問わず、成子坂について尊敬の意を表して、影響や評価をしている人が多い。また、ライブ主催をしている会社のK-PROの代表・児島気奈さんは、立ち上げの時に、村田渚さんにライブMCをオファーし、事務所経由で一度は断られたものの、村田本人が出たがっていると言って、ライブMCをやり、それから他の芸人さんも出演するようになり、少しずつ発展していったとのこと。村田さんがいなければ、K-PROも上手くいかなかったと思うと、やはり凄い。今やウエストランドやランジャタイなど、勢いのある芸人は、割とK-PROライブに出演されている。
 YouTubeに載っている動画を少し見たが、今見ても新鮮で、面白い。桶田さんの緩やかなボケに対し、村田さんの軽快に高い声でツッコむ感じが心地よい。

 どちらかといえば、売れてきたらレギュラーや冠番組を持ちたい、MCをやりたい、と思う芸人がいる中、成子坂は、ネタ(コント)をやり続けていくようなスタンスだったらしく、今のポジションで生きていたら、解散したがラーメンズや現役の東京03、シソンヌみたいな感じの舞台でやっていける芸人になっていたのではないか、と思う。
 今回は、自分が思うに、天才過ぎたが故に売れなかった芸人さんたちを、他の理由を付随しながら、紹介したいと思う。

2-1.米粒写経

 上記の太田さんの「天才過ぎて売れなかった」という発言を聞き、何故か自分は、この漫才コンビのことを思い出していた。
 その名は、「米粒写経」というコンビである。
 居島一平さん(以下、居島さん)とサンキュータツオさん(以下、タツオさん)のコンビであり、両者ともに早稲田大学に在籍していた漫才コンビである(居島さんは除籍、タツオさんは大学院卒)。両者ともに、相当落語好きであり、居島さんは、アントニオ猪木を題材にした「猪木落語」をネタで披露したり、タツオさんに関しては、ユーロライブにて、寄席「渋谷らくご」のキュレーターとして活動し、コンビでは、落語協会の色物(漫才)として所属している。ちなみに、笑点でも、漫才を披露したが、散々な結果だった(本人たちも言及している)。
 個々の活動も精力的にしており、居島さんは「大本営八俵」として、昭和生まれの傷痍軍人という設定で、軍国漫談を行い、テレビでは絶対に出来ない右寄り(というか、極右的な感じ)のネタを行っている。また、インターネット配信のDHCテレビで、「真相深入り!虎ノ門ニュース」という番組のMCをやっていた(後に終了)。また、定期的にピンでライブに出演したり、主催したりしている。自分も、一時期、ライブを見に行ってたが、面白くてタメになるライブで凄かった。三島由紀夫のモノマネをやらされたり、軍艦について語っていたり。そういう芸風からか、同じようなネタや演説を行う鳥肌実さんという芸人がいるが、居島さんがブレーン(座付き作家)として付いていた時期があるという噂が立っている。一方のタツオさんは、教授(非常勤講師)として、本業の「笑い」や国語辞書(日本語)について研究をしたり、マキタスポーツさん、プチ鹿島さんとともに、TBSラジオ番組「東京ポッド許可局」の一員として活動したり、アニメやバスケットボールについて語ったり、と多岐にわたる活動している。

 米粒写経は、何故売れなかったかというと、自分が思うに「マニアック過ぎる」「少し思想が強い」からだろう。両者の学歴的にも、個々の活動においても、天才といっても過言ではないが、ニッチなところを攻めているため、なかなか扱い方が難しいのではないか、と思う。
 居島さんは、上記の軍国漫談で、左寄りの政治家や文化人をネタにしたり、第二次世界大戦を題材にした演目を披露したり、やや題材が扱いにくい話題が多い。コンプライアンスが強くなった昨今では、そういう政治的なネタをすると、排除される風潮が、テレビ業界ではびこっている。
 また、両者とも映画好きであり、居島さんに至っては、野村芳太郎監督の『砂の器』を完璧に覚え、すべてのシーンを完全に再現できるという特技を持つ。また、YouTube等でも、コンビで映画について対談している。
 その他にも、居島さんは、都道府県を言ったら、事細かくその地域の戦国武将や歴史について語り、気持ちよくなってもらう、という特技もある。笑っていいとも!の増刊号で、披露していたこともある。
 一方のタツオさんも、笑いの研究をしており、ツッコミの種類などを分析した論文を、本名・安部達雄名義で書いていたりする。そういうこともあってか、自分たちが嗜む「お笑い」は、本来「楽しむ」ものであり、「分析する」ものではないから、大衆に刺さらなかったのではないか、と思う。実際に、「本能Z」という番組で、水道橋博士の紹介で、米粒写経のお二人が出たが、タツオさんは、フットボールアワーのM-1グランプリ2003で披露した「結婚記者会見」のネタを、何処で笑いが起きるか、ボケの数はいくつか、等緻密に分析・解説し、後藤さんに突っ込まれていた。それくらいマニアックなのである。

 米粒写経は以前、オフィス北野(現・TAP)に所属していたが、ビートたけし離脱から始まったお家騒動で、上記のプチ鹿島さん、マキタスポーツさんとともに、フリーエージェント宣言を行った。FA宣言した結果、ワタナベエンターテインメント所属になり、それなりに活動している。感染症収まったり、減少したりしたら、また寄席等に見に行きたいと思う。

2-2.東京ダイナマイト

 二組目は、「東京ダイナマイト」のお二人。前述の米粒写経と同じ、元・オフィス北野所属の漫才師である。現在は、吉本興業に所属し、主にルミネtheよしもと出演を中心に活動している。
 ボケの松田大輔さん(以下、松田さん)と、ツッコミのハチミツ二郎さん(以下、ハチミツさん)のお笑いコンビである。オフィス北野所属時代は、浅草キッドと師弟関係を結んでいた。
 2004年にM-1グランプリの決勝に進出し、知名度が上昇し、「笑いの金メダル」等にも出演していた。大師匠のビートたけし氏からも、「うち(オフィス北野)からようやく商品になる奴が出てきた」と太鼓判を押されていた。
 その後は単独ライブを行ったり、オフィス北野の退社後、オスカー、吉本と移籍し、M-1グランプリ2009に2回目の決勝進出を果たし、M-1休止後の主要賞レース、THE MANZAI  2013でも決勝進出して話題を呼んだ。

 売れなかった理由は、「マニアック過ぎる」「ハチミツ二郎さんのスタンス」「チャンスを活かせなかった」からであろう。
 ネタは、主にハチミツさんが作り、松田さんのシュールなボケに対し、ハチミツさんがクールにツッコむ独特の漫才である。大師匠のビートたけしからは、「寿司職人が休日に食べに行くベテランの寿司職人が握る寿司」と称され、同業者に向けてネタを作成している。そのツッコミの仕方が、ハチミツさんの付き人をかつてやっていた、サンドウィッチマン伊達さんに受け継がれている。東京ダイナマイトは、確かに面白いのだが、ボケがマニアック過ぎるので、なかなか大衆に受け入れられなかったのではないか、と思う。弟子筋のサンドウィッチマンの漫才は、富澤さんのボケがわかりやすく、かつ伊達さんがストレートに素早くツッコミをするから、受け入れやすいのではないか、と感じた。また、披露するボケの元ネタがプロレスから由来しているものが多く、それ故マニアックなところがあり、大衆には分かりづらいところがあるのではないか、と思う。実際に単独で行われる「なめこプロレスジャパン」は、確実に長与千種のオマージュらしいし(「松田千種」と松田さんが名乗っているから)、時々ダンプ松本氏と単独ライブの幕間VTRで共演している。実際にハチミツさんも、ライセンスを取得しプロレスに出場していた。

 とはいえ、たまに放り込んでくる爆弾のようなボケやツッコミは好きだった。ツカミに、いきなり「刀持って来たぞー!」と叫んでたり、自己紹介の時に、松田さんが「麒麟です」と川島さんの声でパクったり、M-1グランプリ2009の際には、松田さんがしゃべりながら登場し、ハチミツさんに突っ込まれていた。コンビニ(肉まん)のコントでも、刀を持ってきて何故か緩く振り回したり、2008年のM-1でも、当時離婚した泰葉が、春風亭小朝のことを「金髪豚野郎!」と揶揄し、ハチミツさんが自己紹介の時に、「どうも、金髪豚野郎です」と発して、ウケていた。最近のツカミは、「君バツイチらしいね」「お前もバツイチだろ」というのが一般的になっている(両方とも離婚の経験があるため)。また、ネタが進んだ中盤当たりで「どうも、東京ダイナマイトです」と、何故か自己紹介を唐突に行う。時々披露する放送コードすれすれのネタは、見ていてひやひやするが、やはり面白い。生放送で「みのもんた」のセクハラや逮捕された息子を題材にしたネタをやり、その場にいた大師匠のビートたけし氏でさえ、笑いながら困惑した表情を浮かべていた。

 ハチミツさんが、ノンフィクション作家の田崎健太氏の解説を加えた自叙伝を出し、読んだのだが、相当壮絶な人生だった。伏字であるが、恐らく浅草キッドとの関係が載っていたり、コ口ナ感染や心不全からの生還を書いていたり、プロレスの話題が出てきたり、読んでいて驚いた。古巣のオフィス北野との齟齬や単独ライブで赤字を出したことなど、赤裸々に綴っていた。その上で、ビートたけし氏や故立川談志師匠は、粋な人なのだと気付かされた。たけし氏は、東京ダイナマイトについて、このように評している。

「あんちゃんたちのコントは寿司職人が食べに行く寿司屋だ。売れたいならマクドナルドになれよ」

https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_200228926/?p=2より

 元々ハチミツさんは、たけしさんの息子である北野篤さんと仲が良く、その縁でオフィス北野に所属していた。しかし、オフィス北野のブレーンと揉めて、最終的に退社した。その時に、たけしさんは、2人に「お前らはネタが出来るから出た方がいいよ。また番組やろうな!」と声を掛けてあげたらしい。ハチミツさんの本を読んでも、たけしさんは、やはり粋な人だな、と思った。
 吉本所属の決め手となったのは、ビートたけし氏が中田カウス師匠と交流があり、「東京ダイナマイトがそっちに行くからよろしく」とカウス師匠に伝えて決まったらしい。
 ちなみに、現在は、ハチミツさんはシステム系の会社に勤め、サラリーマンをやりながら、芸人をやっている。入社前後で、25年ぶりくらいに履歴書を書いたとツイートし、「芸人も大変だな」と思っていたが、かつてハチミツさんが、クラウドファンディングでエロ本を出版するという企画を立て、そこに出資した会社の人が、「うちで何かやってみませんか」ということで入社し、兼業しながら活動している。
 一方の松田さんも、何故かインスタグラマーの方と結婚し、本名が「杉大輔」と婿養子に入っている。そして、さくらんぼブービーのカジさんと舞台をやっていたりする。
 今もほぼルミネtheよしもとを中心に活動しており、あまりテレビ出演はしていない。ショーストッパーとして、久しぶりに見に行きたいと思った。

2-3.POISON GIRL BAND

 3組目は、POISON GIRL BAND。
 ボケの阿部智則さんとツッコミ・ネタ作成の吉田大吾さんのコンビである。
 M-1グランプリには、2004,2006,2007の3回決勝進出している。ただ、その決勝進出の仕方が非常に変わっていて、普段の漫才師は、昔の自信のあるネタを披露することが多い(例に挙げれば、実際に2021年の錦鯉の決勝1回目の漫才「合コン」は、2018年の準々決勝にて、2020年のマヂカルラブリーの決勝1回目の漫才「フレンチ」は2018年の敗者復活で披露している)のだが、POISON GIRL BANDは、新ネタのみで勝負して決勝進出している、変わったコンビなのである。新ネタ縛りは、中村計氏のノンフィクション『笑い神 M-1、その純情と狂気』にも言及していて、準決勝での手ごたえは凄く、しかも面白いので決勝に行ったが、決勝当日でネタを変えて、それが裏目に出てしまい、思うように結果が出ないことを言われていた(作家・倉本美津留氏曰く)。これは著書では、「吉田ルール」と言われている。それも原因なのか、2006年に最下位になってしまい、アマチュアで決勝に進出した女性コンビ・変ホ長調の8位よりも低い順位になってしまった。

 売れなかった理由は、「M-1グランプリの2年連続最下位が響いた」「片方のやる気がなくなってしまった」「これと言った特徴がなかった」からではないか、と思う。
 M-1グランプリは、最下位になると「つまらない」「面白くない」という印象が少なからず付き纏ってしまい、その上2006年はアマチュア漫才師に負けたという不名誉なことが起きる。2007年のキャッチコピーも、「屈辱からの脱出」と付けられたが、結局最下位に終わり、2年連続でどん底を味わった。当時のM-1のエントリー数は4000組前後になり、そのうちの勝ち上がってきたトップ10になる面白いコンビなのに、悪い印象が付いてしまう。
 また、お笑い芸人としては、あまり特徴が無く、取り上げるとしたら、印象に残っているとしたら、阿部さんが長髪だったことくらいだろうか。ローテンションで起伏が無く、爆発する笑いが起こりにくいため、M-1には向かなかったのだろうか。
 ただ、ツッコミ・ネタ作成の吉田さんは、定期的にライブを開催したり、ラジオのパーソナリティを一時期やったり、作家活動の方をやり、何とか生活できているとのこと。一時期、M-1ファイナリストなのに、2013年はテレビに出ていなかった、と芸人報道で話していた。
 2017年頃までは、お笑いライブ等に出演していて、実際に何度か見に行ったが、ボケの阿部さんが、徐々にやる気を失っていたらしく、現在はコンビの活動は休止している。

 しかし、実際には影響を受けた漫才師もおり、2021年のM-1で準優勝だったオズワルドは、POISON GIRL BANDの影響を受けていることを公言している(自分も最初見た時は、おぎやはぎやポイズンの影響下の漫才師だな、と漠然と感じていた)。また、漫才は詰まらない訳ではなく、明確にボケとツッコミがある「モノマネ」や「巨人のオーディション」等は個人的に面白いと感じている。
 現在は、前述の通り、吉田さんのみ活動しており、相方の阿部さんは、ランジャタイの話によると、マグロ漁船に乗っているらしい。また、時間が経てば、お二人のゆる~い漫才を見てみたい。

2-4.かもめんたる

 最後に紹介するのは、「かもめんたる」のお二人。
 岩崎う大さんと槙尾ユウスケさんのコンビである。前述の米粒写経同様、両者ともに早稲田大学出身で、卒業後にお笑いの5人組グループ、WAGEとしてアミューズに所属していた。槙尾さんは、当時めざましテレビの旅特集として様々な国をまわっていた記憶がある。ちなみに、WAGEには、「そんなの関係ねえ!」で、後に大ブレイクする小島よしおさんや回文ソングの手賀沼ジュンさんなどがいた。解散後、小島さんがブレイクし、「自分たちも何か」と思い、前身である「劇団イワサキマキオ」を結成し、後に「かもめんたる」と改名する。
 キングオブコント2013で優勝した後、暫く鳴かず飛ばずになり、現在はコンビではなく、「劇団かもめんたる」として毎年1~2回は公演を行っている。また、う大さんの方は、講師としてワークショップを開いたり、脚本家・演出家として活動したりしている。演劇界の芥川賞と呼ばれる「岸田國士戯曲賞」で、2回候補に挙がるほど、実力があるのを証明している。また、漫画を描いていて、1冊出版した経験もある。一方の槙尾さんは、カレー店を開いていると一時期話題になった。バーを間借りして、カレーを出していたが、2年ほど前に食べに行き、スパイスが効いていて、美味しかった。

 かもめんたるが売れなかった理由は、「ネタが扱いにくい」「平場が弱い」からだろう。
 キングオブコント優勝後、優勝特需で番組に呼ばれたり、営業等も増えたみたいだが、それも長くは続かず、ネタも奇妙な感じで扱い難いところがあり、槙尾さんの女装の趣味も取り上げられたが、それでも弱く、そのまま存在感が薄れてしまった。ネタは、グロテスクな感じやう大さんが演じる狂気めいた人が槙尾さんを巻き込むというネタも多い。しかも時々悲鳴があがることもある。面白くても、気味が悪ければ、ネタ番組とかも難しいように感じてしまう。
 その後、優勝したにも関わらず、2015年に出場したが、準決勝で敗れ、2016年再度出場し、決勝に返り咲いた。因みに、2014年までは準決勝で敗退した芸人がファイナリストを審査するというシステムだったが、2015~2020年は、松本さんやさまぁ~ず、バナナマンが審査していた。う大さんも実際に、「前と違うので、5人に認められたい」という趣旨の発言を事前にしていたように思える(結果は5位)。その後はユニット参加も認められ、2021年は、劇団かもめんたるとして出場していた。

 しかし、最近驚いたのが、「吉岡里帆、初主演舞台公演」との報道があり、そのニュースをスクロールしてみると、「脚本・演出 岩崎う大」と記載があり、「凄いなあ」と思ってしまった。その後、M-1グランプリ2022で、漫才を披露し、準決勝に進出。見取り図やランジャタイ等、ラストイヤー勢がほぼ落ちる中、かもめんたる一組がラストイヤー組で準決勝に残った。まさか残るとは思わなかった。やはり、漫才でも結果を残していて、お笑いの才能は素晴らしいのだと感じた。佐久間宣行氏のオールナイトニッポンで、かが屋の2人がゲストで来た時に、上記の岸田賞と加えて、トーク中に「文化の室伏」と称していた。室伏とは、ハンマー投げ選手の室伏広治氏のことである。よく武井壮さんが、「室伏は倒せない」と動物の倒し方で、ネタの一部として話していたが、実際に水曜日のダウンタウンで、武井氏が「室伏最強説」(実際は「室伏広治ハンマー投げじゃなければ100億稼げてた説」)を唱えており、スポーツを何をやらせてもオールマイティに出来ると言っていた。う大さんも、そういう意味ではオールマイティで、キングオブコント優勝、岸田戯曲賞最終候補、M-1グランプリ準決勝(しかもラストイヤー)と、お笑い界では本当に凄い、天才の一人なのだと思える。
 劇団かもめんたるの演劇は、30分程度のものを見たことあるが、やはり狂気があった。長尺はまだ見たことないので、いつか見に行こうと思う。

3.あとがき

 これを書いている時に、お笑い界も色々何かと騒がしかった。
 特に、天竺鼠の瀬下さんが、2発の文春砲を喰らい、芸人生命の窮地に立たされており、テレビでも見なくなった。
 相方の川原克己さんは、NSCの時から、同期や芸人仲間がこぞって「天才」と称した。自由過ぎる芸風、シュールで掴みどころのないネタが天竺鼠の持ち味だったが、今後どうなってしまうのか、と考えてしまった。川原さんも、天才が故に、突き抜けなかった芸人の1人だろう。川原さんは、ブランドをやったり、個展をやったりして、ライブなども出ているので、恐らく大丈夫なのだと思う。

 東京大学出身の芸人さんも、最近見るようになったが、ネタではなく、クイズ番組くらいでしか、顔を出さない。
 そう考えると、「頭の良さ」と「面白さ」はイコールで結びつかないのだと気づかされた。余計なお世話だと感じるが、何故彼らは、頭が良いにも関わらず芸人になったのだろう、と疑問に思ってしまう。

 そういえば、オジンオズボーンという比較的有名な漫才コンビが、昨年末に解散した。松竹芸能のホープで、爆笑オンエアバトル等で活躍した後、THE MANZAIで2年連続で決勝に残ったものの、結局はボケの篠宮さんばかりフォーカスしてしまい、ツッコミの高松さんは引退という道を選んだ。
 その同期で松竹芸能に以前所属していたチョップリンも、現在は、吉本興業に所属して、演劇ユニットであるザ・プラン9に2人とも加入した。彼らも、独創的なネタで、ABCお笑いグランプリやNHK上方漫才コンテストで最優秀賞(両方とも)を獲得していたが、結局売れたとは言えず、それでも活動を続けていた。
 上記のことに加え、昨年20年以上辛酸を舐めてきた錦鯉の二人が、いつの間にか大ブレイクし、お茶の間の人気者になっていることもあるものだから、芸能の世界は、何が起こるか分からないのだなあ、と痛感させられた。

 2023年は、お笑いはどうなのだろうか。
 気にはなるが、またのめり込みすぎると生活に支障を来すので、ほどほどに確認しようと思います。
 それでは。

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