会社員から大学教授になる方法 1

 このnoteは、エリートでない普通の会社員から大学教授になった筆者がそのノウハウを公開するものです。想定する読者は、転職に興味のある大卒以上の35歳以上55歳未満の会社員です。男女どちらも想定読者としています。35歳以上としたのは、ある程度の社会人経験がないと難しいからです。これは転職の選択肢のひとつとしての大学教員です。筆者は大学を卒業後、ずっと会社員をやり、40歳から準備して、45歳で大学の専任教員になり、50歳で教授になりました。
 大学教員になるには、通常、大学を卒業し、大学院で修士課程と博士課程を修了して、何年か非常勤講師をやり、教育歴や研究歴をつけてから、大学の専任教員(会社員でいう正社員)になります。専任教員になる頃には30歳を超えていることも多いのが大学業界です。
 専任教員の募集の多くは公募で、1名募集のところに100名以上が応募することは普通のことです。応募者の中でトップ5程度の業績がないと次の段階の面接や模擬授業に呼ばれません。ものすごい狭い門です。非常勤講師から専任教員になれない人も多くいます。しかし、業務経験があり、その業務経験が大学での教育に活かせるものであれば、40歳以上であっても大学の専任教員になれることがあります。実務経験が有利に働く教科もあるのです。

 大学教授の優雅な生活について少しお話ししましょう。収入は同じ学歴の有名企業会社員よりも低いでしょう。それでも、40代で年収1千万円は可能です。もっとも優雅な点は、自由になる時間が桁違いに多いことです。筆者の場合、週6回授業を行い、その他、会議や委員会活動を行うのが大学での業務ですが、勤務は水・木・金の週3回です。しかも、時間割により午後からの出校もあります。車での通勤も可能ですが、帰りにお酒を飲みたいので電車通勤をしています。行き帰りともラッシュアワーにぶつかることはほぼありません。
 文系教員の場合、自分の研究は自宅など大学の研究室以外でもできることが多いです。勤務時間で拘束されることがない大学が多いです。一度、専任教員になってしまえば、問題を起こさない限りクビになることはほぼないので、自由時間を満喫している教員もいます。教授になってしまえば、研究業績を問われることも少ないので、研究を行わず、誰もが問題だと考える教授も存在しますが、その教授が定年退職するまで我慢しなくてはいけないことが多いです。
 なお、これらの状況は、企業によって業務形態や福利厚生が大きく異なるように、大学によって業務形態が大きく異なることも心に留めておいてください。残念ながらブラックな職場も存在します。

 大学教員について説明しましょう。大学教員には、企業の正社員にあたる専任教員以外に非常勤教員がいます。非常勤という響きがよくないので、兼任教員と呼ばれることもあります。特任教員(特任講師、特任准教授、特任教授)や客員教員(客員講師、客員准教授、客員教授)も非常勤の呼称です。もし、あなたが、名誉職的な目的や本業に箔をつけるために大学教員になりたいのであれば、特任教員や客員教員で充分でしょう。
 しかし、これらの非常勤教員は収入が低いです。非常勤講師として授業を1半期コマ(90分X15回)担当すると月3万円位が6ヶ月間支払われて18万円程度の収入になります。非常勤講師で生計を立てている人は6半期コマを前後期担当し、200万円代の年収を得ます。しかし、週6半期コマを担当するのは大変です。出身校や学会で専任教員と頻繁にコミュニケーションをとる営業活動を行って担当授業を確保します。それができないと非常勤講師で生活することはできません。週6回の授業を行うのも大変です。授業準備に時間がかかりますし、授業後のレポート採点などもあります。特任教授などの肩書きでもう少し待遇の良い非常勤教員もいますが、その収入は同年代の会社員よりはるかに低いです。

 次に専任教員(助教、専任講師、准教授、教授)ですが、専任教員には任期ありと任期なしの2つがあります。助教や専任講師は任期ありのことが多いです。任期は2年とか3年で再任可能になっている場合が多いです。派遣法の改正によって長期間勤務した場合に無期雇用の申し出ができるようになりましたが、無期雇用にしたくない大学側が再任を含めたトータルの勤務期間を無期雇用が申請できない期間におさえることが多いです。これは任期付き専任教員以外に非常勤教員でも同じことが言えます。
 任期なし専任教員になるには、業績を積む必要があります。専任教員の仕事は、学生への教育以外に研究、社会貢献、大学の業務の担当などがあります。多くの大学では、研究業績が昇任の要件になっています。例えば、専任講師から准教授になるには、著書2冊と論文5本の業績が必要など大学や学部教授会が決めた基準を満たす必要があります。しかし、一度専任教員になってしまえば、昇進はそう難しいことはありませんし、年収も500万円以上になることが多いです。東京にある私立大学教授の年収は40代で1千万円程度でしょうか。しかも、70歳くらいまで働ける私立大学が多いので、人生一発逆転が可能です。

 専任教員になるのはとてもハードルが高いです。何年もかかることがあります。大学院に行かなくてはいけないことも多いでしょう。しかも、必ずなれるわけではないので、家族持ちが大学の専任教員になるには、自分以外の家族の収入で家計が維持できる状況でないと難しいです。このあたりを理解した上で大学教員への転職を目指してください。

 さて、ここまで読まれて、どのように感じられましたか? 第1回はこれまでにします。第2回目以降に具体的なノウハウを公開します。意外と簡単と感じるか、難しい、私には無理と感じるか、みなさんはどちらなのでしょうか。

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