見出し画像

大槻さんがザスパを離れるべき3つの理由。

シーズンが終わる前にこんな事を言うのも変ですが、今季のザスパはザスパ史上最高のチームでした。チーム成績はもちろんですが、チームとしての完成度という点で史上最高だったと思います。
守備における優先順位を明確にすることで素晴らしい442の守備を構築しただけでなく、安定したビルドアップを実現し、試合の主導権を90分間握り続けられるようになりました。今年のザスパがザスパ史上最高のチームだったことはもはや議論の余地がありませんし、そんなチームを作った大槻さんはザスパ史上最高の監督と言っても良いかもしれません。
このように、大槻さんの事をとても高く評価している筆者ですが、同時に大槻さんは今季限りでザスパを離れるべきだとも思っています。
その理由について以下具体的に述べていきます。


理由その①

もはやザスパで監督をやっても大槻さんが得るものはないから。

まず最も大きな理由は大槻さんが来年もザスパの監督をやって得るものがない事です。

ザスパに来る前の大槻さんはプロの監督としての実績がありませんでした。大槻さんは様々な土地でトップチームの分析をやったり育成年代の指導者をやったりして経験を重ねてきた人です。浦和の育成年代の指導者として長い時間を過ごした後、緊急事態に陥ったトップチームの監督を短期でやってすぐに辞め、2019年の途中からもう一度浦和の監督に就任しました。2020年の終わりまで監督をやりましたが、結果が出せず、合わせて2年弱くらい監督をやって浦和を去ることになっています。少しの間監督をやった時も、シーズンを任された2020年も、どちらもまとまったチームを作っていたと評価されていました。どうやら指導力はあるようだけど、プロの監督として積み上げた実績が何も無いから不安要素のある監督というのがJリーグ内での大槻さんの評価だったでしょう。

そんな大槻さんですが、ザスパの監督になったことで自分の指導力を証明し、プロの監督として実績を積み上げる事ができました。
戦力的にかなり厳しかった事もあって1年目はギリギリ残留という結果でしたが、オーダー通りの選手を補強した2年目の今季は大躍進。ザスパの資金力を考えれば素晴らしいという言葉では足りないくらい素晴らしい結果を出すことができています。作り上げたチームの完成度と積み上げた結果はJリーグ内からの大槻さんへの評価を高めたことでしょう。資金的に厳しくとも、時間と求めている選手を与えれば強いチームを作れる事を証明したのが今季の大槻さんでした。

そんな大槻さんですが、来年もザスパで監督をやったとしたらどんな評価を得るでしょうか?
結果が出なければ監督としての評価が下がるだけでしょうし、結果が出たとしても「資金的に厳しくとも、時間と求めている選手を与えれば強いチームを作れる」という今年と同じ評価を得るだけです。
これこそが大槻さんがザスパを離れるべき理由です。これ以上今のザスパで時間を過ごしても、大槻さんは今以上の評価を受けられないのです。大槻さんはザスパで得られるものを既に全て受け取った様に見えます。

大槻さんが新しい評価を貰うためにはもっと資金力があるクラブで指揮を取るか、J1で監督をやるしかありません。今季の成績が良かったからと言って、ザスパの資金力が一気に上がることはないでしょう。唯一、大槻さんが来季もザスパで監督をやって新しい評価を得る可能性があるのはザスパがプレーオフを勝ち抜いてJ1に昇格した時だけですが、山形戦の敗北によってその可能性もかなり小さくなりました。

このように、大槻さんが来年もザスパの監督をやっても、もはや得るものがないのです。ザスパでもう1年過ごす事が大槻さんの為にならないのであれば、ザスパを離れるべきでしょう。これが、筆者の考える大槻さんがザスパを離れるべき理由その①です。

理由その②

チームが完成しているから

ここまでに大規さんの功績として完成度の高いチームを作り上げた事を挙げましたが、それも大槻さんがザスパを離れるべき理由の1つです。

今季のザスパは守備はもちろん、ビルドアップからスローインに至るまで再現性が極めて高い完成されたチームでした。一方で、チームとしての余白、成長する余地がないチームになったとも思います。これ以上強いチームを作るためにはもっと質の高い選手を集めるしかなく、そんな選手を集めるためにはお金が必要です。しかし、ザスパにお金がない状況は来年も変わる予定がありません。選手の質が変わらない中で来季も大槻さんが監督をやった場合、良くも悪くも今季と同じような1年を過ごす事になるでしょう。これは予想でしかありませんが、今季と似た試合が多く、新しい経験のない、結果だけが残る1年になるだろうと思います。それしか残らないとしても結果が残るなら価値があるという考えもあるでしょうが、成長過程にあるザスパにおいて、結果だけが残るシーズンを経験するのはまだ早いでしょう。それは昇格であったり何かを成し遂げる1年で経験するべきで、まだそこまで到達していないザスパが結果を残すためのシーズンを過ごしても何も残りません。チームとしての経験の積み重ねを重視してほしいと思っているからこそ、筆者はザスパが新しい監督を迎えるべきだと考えています。

大槻さんに新しい挑戦の引き出しが無い訳ではないでしょうが、今のザスパの資金力で出来る挑戦が今のやり方しかない事は今季の後半戦を見ていても伝わってきます。今季が光の見える失敗であったら来季も大槻さんと共に同じ挑戦を繰り返すべきだと思いますが、成功した1年だったからこそ、新しい挑戦をするために新しい監督を迎えるべきだと考えています。

これはちょっと余談ですが、大槻さんが来年も監督をやった場合、恐らくは段々とサポーターの大槻さんへの好感度が下がると予想される点も懸念の1つです。

現在のザスパサポーターはかなり大槻さんの事を好いている印象があります。それは大槻さんの人柄ももちろんですが、成績が良いからであり、より正確に言えば「今までに無いほど」良い成績だからです。今年と同じような成績であっても、2年続けて同じようなシーズンを過ごせばそこにあるのはマンネリと停滞感です。自然と大槻さんへの好感度は萎んでいってしまうでしょう。好感度でサッカーをしている訳ではありませんが、伝説は伝説のまま思い出にした方がお互い幸せだと思います。マジでね。

理由その③

今オフはザスパに合う監督がフリーになってる大チャンスだから

これも大きな理由の1つです。ザスパは442を基本の並びとして、守備での圧倒的な根性と我慢がベースにあるチームです。その442に秩序を、ビルドアップに安定をもたらしたからこそ今季の大槻さんは高く評価されていた訳ですが、そんなザスパのベースと今のザスパの良い所を生かしながら新しいチームを作れそうな監督が2人フリーになっています。

それは相馬直樹と松田浩です。相馬直樹は言わずと知れた圧縮442の使い手で組織的な守備を作れる監督ですし、松田浩も本を出版できるほど体系化されたゾーンディフェンスの理論を持っている監督です。2人とも今の442を生かしながら新しいチームと新しい経験をザスパにもたらしてくれるでしょう。2人とも2023シーズン途中にそれぞれのクラブで監督を解任されたため評価が落ちている状況ですが、実力は折り紙付きです。442をやるためのメンバーが揃っているザスパでなら思い通りのサッカーが出来るはず。ザスパに来て新しい評価を受けられれば彼らの為になると思います。

個人的には相馬直樹がいいです。というのも、奥野僚右をコーチとして呼んでくれる可能性があるからです。相馬さんと奥野さんの関係は良好で、相馬さんが鹿島の監督になった時は奥野さんがコーチとしてトップチームスタッフに加わっています。
レジェンドである奥野さんとザスパの関係性が2021年の監督解任で最後になってしまうのは勿体ない。コーチという形でザスパに来ていただいて関係性を再構築できたらと思います。

大槻さんの作り上げた素晴らしいチームを壊すことなくモデルチェンジしてくれそうな監督が都合よくいつもいる訳ではありません。
監督人事はタイミングが勝負。大槻さんと素晴らしい2年間を過ごして一定の成績を出したこのタイミングで実績と能力あるこの2人がフリーなのはザスパにとって幸運です。来年の冬もフリーでいるとは思えないため、このチャンスを逃さないためにも大槻さんと別れて新しい監督を迎えた方が良いと思います。

まとめ


ここまで述べてきたように、
① もはやザスパで監督をやっても大槻さんが得るものはないから。
②チームが完成しているから 。
③今オフはザスパに合う監督がフリーになってる大チャンスだから。

この3つの理由から、大槻さんは今季限りでザスパを離れるべきだと考えています。
僕も大槻さんの事は凄く好きですし、とても力のある監督だと思います。本当にザスパを離れるリリースが出たとしたらそれなりにショックを受ける予感もあります。ただ、今のザスパでは大槻さんにこれ以上何も与えられないのが事実だと思ってもいます。このような素晴らしい出会いと別れを繰り返して行く事でザスパの格も上がっていくはずです。ザスパがもっと格の高いクラブになって、どこかでまた大槻さんと巡り会う事が出来たらハッピーだよね。これからの素晴らしい未来に期待しています。

強い気持ちで!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?