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日本保守党の研究 08 有本香 「小池劇場」の真実 (2017)

 小池都知事が、東京(第)15区補選に出馬するかどうか情報を待っているのですが、なかなか決着しません。有本・飯山コンビ 対 小池の闘いが、どういう形でくり広げられるのか、早く知りたいです。

 有本さんは、2016年に小池さんが女性初の都知事になったときは、大いに期待していたのですが、就任早々の8月31日に、築地市場の豊洲への移転を、議会に諮ることもなく延期して始まった大混乱をみて、混乱の最中の2017年6月上旬に、小池都知事を糾弾する『「小池劇場」が日本を滅ぼす』という本を出しました。
 本の中で、「小池劇場」の共犯者であるマスメディアも厳しく批判しました。そして、小池劇場で広められた10個の誤解
① 汚染があって市場には不適切な豊洲という土地に
② 石原さんが利権のために強引に移転を決め
③ 高い値段で土地を買い
④ 土壌汚染対策と建物の工事費に多額の費用をかけたにもかかわらず
⑤ まだ、地下水のベンゼンの濃度は高く
⑥ 床の下には盛り土がなく、「謎の空間」が広がっていた
⑦ これら一切を石原さんと一緒に進めてきたのが「ドン」率いる都議会自民党である
⑧ 豊洲市場は今もまだ安全とは言えない施設で
⑨ そんなものに6000億円もの税金が使われた
⑩ こうした間違いを小池さんが丁寧にチェックしている
のすべてがウソであることを証明したあとで、こう締めくくりました。

 私は、イデオロギーの点からではなく、その不誠実さと怠慢、政策実行力という点で小池に批判的であるが、同時に同情もし始めている。それはなぜか。
 彼女がその支持を獲得したと見える「左派」は、今後、小池が一つでも選択を間違えたら、恐ろしい敵に変わることが予想されるからだ。そのとき、小池を叩くのは赤旗だけではないだろう。左派と親和性の高いマスメディアもまた彼女をひどく裏切るにちがいない。


 出版直後の7月に、東京都議会議員選挙で「都民ファーストの会」が圧勝し、10月の衆議院選挙で「希望の党」が惨敗するという2つのドラマが起こり、有本さんの不安が、実際に起こってしまいました。

 そこで、有本さんは、単行本版からわずか5ヶ月で、タイトルを『「小池劇場」の真実』と変えた文庫本版を出版し、文庫版あとがきを追加しました。

 文庫版あとがきの最初の部分を引用します。
 本書は、平成29年6月上旬に上梓した『「小池劇場」が日本を滅ぼす』という単行本に、少々の修正・加筆をし、改題した文庫版である。単行本刊行からわずか5ヵ月での文庫化というこのスピード出版にはワケがある。
 この5ヶ月で、日本の政局は大きく変転した。わずか5ヵ月の間に、小池百合子氏は圧勝し、そして惨敗したのだ。
 7月の東京都議会議員選挙での「都民ファーストの会」の圧勝と、10月の衆議院選挙での「希望の党」の惨敗。夏から秋に起きたこの2つのドラマは、まさに本書で予告したとおり、マスメディアの寵愛を一身に受けてきたヒロイン・小池百合子が、その蜜月のピークから一気に奈落の底へ突き落とされた、つまり小池とメディアとの別離の一幕でもあった。
 日本の悪しきテレポリティクス(テレビ政治)、私は敢えてもっとわかりやすく「ワイドショー政治」と呼ぶが、今回の政局でもその力は一定程度作用した。だからこそ今、本書を一人でも多くの人たちに読んでもらい、過去1年と数ヵ月、東京都政を舞台にして起きた最悪のワイドショー政治の真相を知ってもらいたいと考えるのである。

  2017年の5ヵ月間にどんな政変劇が起きたかを復習しますと、小池さんを支える地域政党「都民ファーストの会」が国政進出するという形で、小池さんに近い国会議員が中心となり、2017年9月25日に「希望の党」が結成されました。民進党は、希望の党への事実上の合流を決定したのですが、小池さんが、9月29日の記者会見で、フリージャーナリストの横田氏の「前原代表は前日の両院総会で、公認申請すれば排除されないという説明をしたが、知事は安保、改憲で一致しなければ公認しないと言った。前原代表を騙したのか、それとも共謀したのか」という質問しに対し、「排除をされないということはございません。排除いたします」と発言したため、大騒動が起こりました。
 理念や政策が異なるリベラル系議員たちは、10月3日に結成された立憲民主党に入党し、10月22日の衆議院選挙を闘いました。結果は、自民党が、284議席で圧勝し、希望の党は50議席、立憲民主党は55議席という結果に終わったのです。

 有本さんは、文庫版のあとがきの中で、こう語ります。
 衆議院選挙の直後、新聞、テレビはこぞって小池を叩き始めた。
 ことは1党派の勝敗にとどまらない。小池は、「安倍自民に対抗する野党共闘を潰(つい)えさせた戦犯」のように扱われた。
 具体的には、小池のいわゆる「排除」発言が有権者にキツい印象を与えた、つまりこの排除宣言が「敗因」であったと盛んに解説していた。
 まったく、ちゃんちゃらおかしい話である。
 そもそも政党とは、志や政策を一致させる者の集団だ。考えの異なる者を「排除」するなどアタリマエのことではないか。この点については小池が正しい。
 ましてや、小池が選別の基準とした安全保障法制や憲法は国政の最重要命題である。この分野で考えの一致しない集団など、ただの烏合の衆でしかない。民進党が求心力を失ったのもまさにこの点にあったにもかかわらず、メディアはこの正論を覆い隠す。
 本当のところ、敗因は「排除」発言そのものではけっしてなく、その発言場面だけをテレビが切り取って、何度も何度も繰り返し流し、「小池はキツイ女」という印象をつくり上げ、視聴者に植え付けたことにある。
 テレビと懇(ねんご)ろになって自らの印象を振りまいてきた小池が、逆の印象操作に負けたのだ。しかし驚いたことに小池は、テレビの横暴に対し一切の反論もなく膝を屈した。メディア側のつくり上げた「敗因」を受け入れ、「私の物言いがキツく聞こえたことで不快な印象を与えた」と敗戦の弁を語った。
 メディアの用意した敗因のシナリオに乗ることで、小池は自身へのキズが致命的なものとなることを避け、つぎの機会をうかがうつもりだろう。だが、その前に、東京都政を一体どうするつもりなのか?

 選挙の惨敗のあと、小池さんは、都知事の職務に専念しました。
2020年7月5日に行われた東京都知事選挙では、2012年東京都知事選挙での猪瀬直樹さんの433万票に次ぐ、都知事選史上2番目の366万1371票で東京都知事に再選しました。

 さて、今年、2024年、は、東京都知事選挙の年です。6月20日公示、7月7日投開票です。小池さんの3選目への挑戦が予想されていたのですが、4月16日告示、4月28日投開票の東京15区補欠選挙に出馬して、衆議院議員への転身を図る諮るのではないかといううわさもあります。

 このような状況において、今年は 有本・飯山コンビ 対 小池の闘い が、繰り広げられようとしています。乞うご期待です。

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