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ソリューションとイノベーション

様々な領域でデザインの必要性や可能性が取り上げられる中で、「ソリューション」を求めているのか「イノベーション」を求めているのかが曖昧なまま、仕事を依頼しているケースを目にすることがあります。

デザインには「狭義のデザイン」と「広義のデザイン」が存在しており、活用できる範囲も広いため、なんでも屋のように思われてしまうのかもしれません。その結果、依頼者とデザイナーとの間に認識のずれが生じてしまうことがあります。

そこで「ソリューション」と「イノベーション」とで求められるスキルの違いについてまとめてみたいと思います。


ソリューションとは

【定義】
企業や社会、生活者の抱える顕在化された課題を解決することで価値を生み出すこと

【求められるデザインスキル】
現状の課題を整理し、顧客視点で新たな経験をデザインする能力

イノベーション

【定義
企業や社会、生活者の顕在化されていない欲求を満たすことで新たな価値を生み出すこと

【求められるデザインスキル】
新たな価値を生み出しビジネスをデザインする能力

というように区別しています。もちろん違う定義や、使われる場面によっては合わないこともあるかもしれませんし、イノベーションは技術革新を指すこともあります。


求められるスキルの違い

定義を書いた理由は、顕在化された課題なのか、顕在化されていない欲求なのかという違いを明確にすることにあります。それは顕在化されていない欲求を見つけ出し形にすることと、顕在化された課題に対して解を出すことでは求められるスキルが異なるためです。

イノベーションにはソリューションでも求められるデザインの能力に加え、0から1を作り出す能力が求められます。しかしこの0から1を生み出す能力は必ずしも全てのデザイナーが持っているものではありません。逆にデザイナー以外の職種の人が持っているケースもあります。

一方ソリューションの能力は全てのデザイナーが持っているべき能力だと思います。それはデザインの語源からも明らかです。

デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。
つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。
                       デザイン – Wikipedia


このように様々な領域でデザインの必要性や可能性が取り上げられる中で、デザイナーに求めることは「イノベーション」なのか「ソリューション」なのかを考えた上で話をすることで、ミスマッチを防ぐことができるのではないでしょうか。

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