[BACK '80s]『OTV』を読む[1200文字]

原田知世さん主演映画『私をスキーに連れてって』の監督、馬場康夫氏らホイチョイ・プロダクションが1985年(バブル絶頂期の数年前)に書かれた本、『OTV』を、図書館で借りて読んでいます。

テレビ番組(創成期から執筆当時の1980年代半ばまで)は、パターンによってつくられていると喝破し、テレビ番組をパターンから論じた新しいテレビの楽しみ方マニュアル、という位置づけというか企画意図だそうで。まぁそうやってテレビ番組を遊ぼうという企画なんでしょうね🤔。

この手の本はリアルタイムで読むことが面白いのだと思いますが、40年もの時が過ぎた今、あらためて読むと、当時どんな番組があったのかが分かるというタイムマシン的楽しみもあります。
まあ、あまり深く考えず、あ~あるあるだよね~と、ゲラゲラと笑って読むのが一番いいのかも知れませんが😅。

例えば、青春根性ドラマのパターンを分析した項についてー。

まず、主人公のキャラクター。根性物を、ただの青春ドラマ(後述の学園ドラマ)と区別する最大の特徴はここにある。
(略)
加えて主人公は性格が暗い。一見朗らかそうにふるまっているが、実は暗い。その証拠に、主人公はしばしば独り言を口にする。
 
「よしっ、ここは地獄車しかない!」とか「今ここであの魔球を出したら、私の肩は二度と使いものにならなくなってしまう!」とかいった類の、例の怪しいノリの独り言である。
 
この独り言は、番組の展開が複雑になるにつれて、状況を説明する修飾語が次々にくっつき、どこまでも長くなる傾向にある。
例えば、少女に何がおきたのかキョンキョン
(略)
この娘は、いったんピアノに向かうと、最低、下のセリフくらいは天井に向って言わないと、弾き始めない。
あまり家の中に置いておきたくない性格の娘だが、彼女がこの独り言をやめてしまうと、見ている方は、ストーリーがよくわからなくなってしまう。

『OTV』 著:馬場康夫・ホイチョイ・プロダクション

『下のセリフくらいは』で書かれているのが、こんな内容です。

お父様とお母さまが出会い、恋に落ち、結ばれ、おじい様の怒りにふれ、北海道の抜海へ落ち延びることになった、この東家の居間の思い出のグランドピアノで、お父様が全日本ピアノコンクールで優勝し、いちやく注目されることになった縁りの曲、ショパンに「革命」を弾きます。どうか雪のことを見守っていてください。

『OTV』 著:馬場康夫・ホイチョイ・プロダクション

テレビ番組『少女に何がおきたのか』は見たことありませんが、くどいくらいの説明ゼリフですね。小泉今日子さん、毎回言っていたんですか💦。

かように80年代の番組のさわりを楽しめる本ですが、できればドラマに限らず、情報バラエティ番組なども、今でも見れるような環境があったらなあと思ったりもします。
(80年代末のテレビ東京の情報バラエティ番組、「極楽!上級者への道」を知っている人は、どのくらいいるのだろうか🤔)

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