「光る君へ」への長い道のり ~『第16回 「華の影」振り返り』(その1)(ネタバレ)~[3140文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第16回『華の影』 の振り返り、その1です。
※以下より、第16回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第16回をご視聴ください🙇。
■[第16回『華の影』 振り返り]その1
正暦4年 (993年)。石山寺詣での帰り道ー。
さわ「私には、才気もなく、殿御を引き付けるほどの魅力もなく、家とて居場所がなく・・・。もう死んでしまいたい!」
叫んで駆け出す さわ。後を追う まひろ。
まひろ「さわさん、待って。何があったの?」
さわ「何があった・・・『蜻蛉日記』のお話の時、私をのけ者にしたでしょ!道綱様も・・・私でなく、まひろ様がほしかったのです!まひろ様は、私の味方だと思って信じていましたけれど、それも違いました。私のことなんか、どうでもいいのです!」
まひろ「そんな・・・」
さわ「そうよ!。私は家ではどうでもいい子で、石山寺でもどうでもいい女だった。私なんか生きている甲斐もない・・・。どうでもいい人なのです!これ以上、私を惨めにさせないでください。ほっといて!」
駆けだしていく さわ。泣きそうな顔でたたずむ まひろ。
為時〔岸谷五朗〕の屋敷に戻った まひろは、夕げのしたくを断って部屋に入る。
寧子〔財前直見〕の言葉がよぎる。
寧子「私は日記を書くことで、己の悲しみを救いました」
文机に向かい、墨をするまひろ。
はい、ここでタイトルどーん (´-`) 。
正暦5年 (994年)登華殿ー。
ナレーション:「年が明け、定子のいる登華殿は、華やかさを増し、積極的に若者たちを招いていた。弟の隆家も加わり、中関白家は帝との親密さを殊更に見せつけた」
雪の積もった冬の日。登華殿に顔をそろえる公任〔町田啓太〕・斉信〔金田哲〕・行成〔渡辺大知〕。
伊周「お上、行成殿がお上に献上したきものがあるとのことです」
帝の傍らの直衣姿の伊周が言う。
定子「行成殿。お上の御前に」
行成「はっ・・・」
緊張した面持ちの行成が、可笑しかったのか伊周は笑う。
伊周「ふふ・・・。ここは政務の場ではございません。もっとお楽に」
行成「『古今和歌集』の写しにございます」
束帯姿の行成から『古今和歌集』の写しを受け取った一条天皇〔塩野瑛久〕。
一条天皇「ああ・・・。そなたが写したのか?」
行成「さようにございます」
一条天皇は定子にも写しを見せる。
定子「まあ、麗しき文字」
一条天皇「うん。見事である。大切にしよう」
行成「ありがたき幸せにございます」
帝に見とれる行成。
伊周「斉信〔金田哲〕殿は、中宮様に献上したきものがあると」
定子の前に進んだ斉信は木箱をあける。
斉信「越前からの鏡にございます」
定子「うれしいこと!」
伊周「斉信《ただのぶ》殿は女子への贈り物に慣れておられるのやも・・・」
斉信「(笑みを浮かべて)そのようなことはございませぬ」
定子「皆、お上のよき友として、末永くおつきあいくださいませね」
公任・斉信・行成は頭を下げる。
定子「さて、お上。今日は何をして遊びましょう」
一条天皇「ん~、定子に任せる」
定子、ききょう〔ファーストサマーウイカ〕を見る。
定子「少納言。香炉峰の雪はいかがであろうか」
一瞬思案顔になったききょうは、すぐに笑顔を見せて立ち上がる。
ききょう「御簾を」
女房達が御簾を巻き上げる。定子に向き直るききょう。
ききょう「どうぞ。お近くで」
雪化粧の庭。縁に立つ一同。
伊周「さすが中宮様。見事な問いかけでした」
意味が分からずにきょとんとする隆家。
隆家「何のこと?(女房に問いかけるが首をかしげられる)」
公任「白楽天の詩でございますな。『香炉峰の雪は簾をかかげてみる』。」
定子「少納言、見事であった」
ききょう「中宮様のお問いかけにお答えでき、ホッといたしました。いつもこのように参るかどうかは分かりませぬが」
定子「(笑い声)そうだわ。お上。今日は雪遊びにいたしません?」
一条天皇「雪遊びか」
伊周「では、雪の山をつくりましょう」
定子「幼い頃、一緒に作りましたね、兄上」
伊周「ええ。さあ、どうぞ。お上も」
定子が庭に出る。
伊周「お履き物を」
一条天皇「要らぬ」
伊周「さあさあ。公任殿もご一緒に」
雪の山を作る一条天皇、定子、伊周ら。
伊周「これはまた、随分と大きくなりましたね」
一条天皇「まだまだだ!」
定子「まだまだですわ」
斉信「まだまだです!この斉信、更にこの雪山を大き・・・(公任に、顔に雪の玉を押し付けられる)ヒャッ!あっ!公任、何を!(行成に後ろから雪の玉をぶつけられる)ああっ!行成まで!」
伊周「お上も中宮様も・・・」
一条天皇「フフフ・・・。雪玉を当てよう!」
斉信「中宮様までおやめください!(一条天皇から雪玉を当てられ)ああ、うれしゅうございます!中宮様!」
廊下を渡って道長〔柄本佑〕が来て、庭ではしゃぐ皆を見る。
道長「今日はやめておこう(引き返していく)」
庭におりずにいた隆家に、ききょうが話しかける。
ききょう「隆家様は、お庭にお下りになりませんの?」
隆家「フッ・・・。何が面白いのか分からぬ」
その夜、四条宮ー。
行成「帝のお美しさが、今も目に浮かびます」。
斉信「お前、道長じゃなかったのか?」
行成「道長様は道長様。今日は帝に魅せられました」
公任「しかし、帝の御前で伊周殿のあの直衣は許し難い」
斉信「帝がお許しになってるのだから、どうにもならぬが」
公任「関白家は皆、自信満々で鼻につく」
斉信「俺にも娘がいたらな~。道長はいいよ。その気になれば、娘を入内させられる」
公任「今からでも間に合うかもしれぬぞ」
斉信「そうか・・・。頑張るか」
その頃、土御門殿では、道長が倫子〔黒木華〕から、娘の彰子の入内をお考えにならないでくださいと釘を刺されていた。
道長「案ずるな。この子に、帝の后は務まらぬ」
倫子の傍らで、すやすやと眠っている彰子。
倫子「それは分かりませんわ。今はぼんやりとしてますけど、そのうち化けるかもしれませぬ」
道長「うん・・・。ぼんやりしているのは俺に似たのだな。このままでよい。このまま苦労なく育ってほしい」
倫子「殿のように、心の優しい人に育ちますように」
ということで、長くなりましたので、『第16回 「華の影」の振り返り』その1は、その2へ続かせていただきます(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?