歴史を単純化するうえで大切なこと

物事を単純化して考えるーこれは決して悪いことではなく、むしろボクは問題解決に有効な手段ではないかと思います(⦿_⦿)。

ただ一方で、その単純化は適切なのか、重要な要素を切り捨てていないかと思う気持ちを持つことも同時に大切なのではとも思うのです。

たとえば、最近読んだネットニュースのごく一部の切り取りです。

 デフレの中で岸田政権が、財政と金融の同時引き締めに出たんですね。
 
これは1929 年に、浜口雄幸っていう総理大臣が同じことやって昭和恐慌を起こしたわけですよ。
 
4人に 1人が失業者になって、就職先がまったくなくなる。
 
大学は出たけれど、っていうのが流行語になる

ステージ4がん告知の森永卓郎66歳が緊急提言「発展途上国・日本」で生き抜く経済学「土地30坪」と「電気代ゼロ」(双葉社 THE CHANGE) - Yahoo!ニュース

エコノミスト森永卓郎氏のインタビューをもとに書かれたネットニュースです。
森永卓郎氏の経済観はボクも頷くことが多いのですが、それについては今回は関係がないので省かせていただきます。

ボクが気にしたのは、歴史(昭和史)を語っている上記の太字にした部分です(⦿_⦿)。

順番に見ていきましょう。

1929 年に、浜口雄幸っていう総理大臣が同じことやって昭和恐慌を起こした』

『同じこと』というのは、文脈でみると『財政と金融の同時引き締め』を指していると思います。

そもそも昭和恐慌とはなんでしょうか。
広義の意味では、昭和の初めから日本に起きた一連の恐慌全体を指す場合もあるようですが、狭義では昭和5年(1930年)から始まる恐慌のことを指します。

ネットニュースでは、読む側へのわかりやすさを第一にするため、内容を簡略にして、断定形で語ることを求められるような気がします。
(その点に関して、語り尽くせない制約のある森永卓郎氏に同情をするのですが)

太字の一文をシンプルに読めば、『1929 年に、浜口雄幸っていう総理大臣が同じことやって昭和恐慌を起こした』は、以下の様に分解できると思います。

〇いつ:1929 年に、
〇だれが:総理大臣の浜口雄幸が、
〇なにをした:昭和恐慌を起こした。
〇どうやって:財政と金融の同時引き締めをして。

すみません。揚げ足取りみたいになりますので最初に謝っておきます。

昭和恐慌は昭和5年(1930年)から始まったとするのであれば、1929年という発言は誤りとなります。
たぶん森永さんが言いたかったのは、『1929年に就任した浜口雄幸っていう総理大臣が』だったか、もしくは、アメリカのウォール街の株式暴落から始まったと言われる世界恐慌がおきた年(1929年)に思考が引っ張られたのか、それとも、『1929年に浜口内閣が出した経済政策に基づいて』だと思います。
 
まあ本質とは違うのですが、歴史のテストだとシンプルに書き過ぎて正解を貰えないこともありますので^^;。

また、ここで語られていないことがボクは気になるのです。

総理大臣・浜口雄幸が、財政と金融の同時引き締めをして昭和恐慌を起こした

上の一文では語られていない、浜口雄幸が財政と金融の同時引き締めをした理由です。
いやしくも一国の総理(というか日本の総理ですね)が断行する経済政策です。決して個人の趣味レベルや私利私欲ではないと思いたいのです。

まだまだボクも勉強中なのですが、浜口雄幸は金解禁を行おうとしていました。
金解禁の理由は、国家財政および民間経済の立て直しのためとしていますが、なぜ金解禁がそれにつながるか、まだ理解できてません💦。

そして、金解禁のために必要なことの中に『中央地方の財政に対して一大整理緊縮を断行し、よりもってことごとく財界の整理と国民の消費節約とを促進せんとす』としています。
これが財政と金融の同時引き締めにもつながったと思います。

ただ、昭和恐慌は、世界恐慌が起きていた時期に財政と金融の同時引き締めを行なったことから起きたという見方もあるのではないでしょうか。

まぜるな危険のふたつの要素がまざってしまったために起きたといいましょうか🤔。

だとしたら、昭和恐慌が起きた理由についてはもう少し別の表現もあったかも知れません。
(岸田政権の政策に対して恐慌が起きるかもしれないことの警句として言ってるのは理解できますが)

ボクもよくわかってないので、昭和恐慌についての歴史をもっと勉強したいですね。まあ高卒に経済は難しいですが^^;。

『4人に 1人が失業者になって、就職先がまったくなくなる。 
大学は出たけれど、っていうのが流行語になる。』

あとこの文についてですが、4人に 1人が失業者というと、ボクは凄く単純に考えてしまい、失業率25%!😮って思ってしまいます。

ところが、野村正実氏の『雇用不安』という本によると、『日本では昭和恐慌時でさえそれは7%なのに対し、アメリカは25%にも上がっていた』という一文があります。
この記述が事実ならば、昭和恐慌時のアメリカの失業率ならわかりますが、(支払われる給与が経済的に満足できない状態であったにせよ)日本の失業率は7%なので、『4人に 1人が失業者になって』の一文の意味するところが何なのかか悩むところです🤔。

ちなみに大学を出た人たちの全体の就職率を言っているであれば、昭和恐慌時はの昭和5年で42%、昭和6年で36%でしたので、これもちょっと違うかなと思います。
ただし、昭和恐慌時、大学を卒業した人の就職率が悪化しているのは事実です。当時、「大学を出たけれど」は流行語になりましたね。

ネットニュースでは細かいところが語り尽くせないので、専門家の方はストレスがたまりそうですよね🤔。

ひとりだと見方が偏るかもしれないので、森永卓郎氏はじめ多くのエコノミストの方に、昭和史を経済状況を交えて、詳しいけれど、とてもわかりやすく語って欲しいところですね🙂。

歴史を単純化してわかりやすくしてくれるのは本当にありがたいのですが、同時に単純化することで取り除かれたことが、本当は重要ではなかったのかと考えることも同時に大切だなと思います🤔。


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