陸上日本選手権長距離2020がスゴかった

昨日(2020年12月4日)行われた陸上日本選手権長距離。

スゴかったですねー!
日本新ラッシュ、PB(自己ベスト)ラッシュ、3種目でオリンピック代表内定。

家で仕事中だったけど、テレビはNHK BSだけでネット中継はなし(怪しいサイトがアカウント作成で見れるって言ってたけど怪しいので回避)。
JAAF(日本陸連)の速報ページとTwitterをチラチラ見ながらソワソワし。。(小声)
事前予想をnoteに上げとけばよかったぁー!と思っても後の祭り。
夜にYou Tube見ると動画上がってたのでそれを見つつ、このワクワク感をここに残しておくことにします。

日本選手権長距離2020の楽しみ方

陸上トラック競技はまだ五輪内定者なし。
この日本選手権で初めて内定者が決まる。
日本選手権での内定条件は
 ・日本選手権で優勝すること
 ・この日本選手権を含め、期限内に参加標準記録を上回ること。
既に参加標準記録を切った選手は勝負に徹することができるが、まだ切ってない選手はタイムを意識しながら勝負にも勝つ必要がある。
だれが参加標準記録を切っているのか、参加標準記録はいくらか、この辺りの状況を踏まえると楽しく見れるので、まだ見てない人は動画貼ってるので見てみてください。
各選手の持ちタイムはスタートリスト(PDF)から参照できます。

「日本選手権」なのに外国人がいる?と思った人、いますよね。
要項を読むと、各競技6名までがオープン参加(順位無し)で出場が可能。
今年のオーストラリア選手権で新谷選手らがオープン参加していましたね。
外国人にもメダルを用意するなんて、粋だなー。


男女3000m障害

いきなりですが、あまり詳しくないので割愛。
男子は注目の大学1年生、三浦龍司選手(順天堂大)が欠場したのが残念。
以下の記事が面白かった。

日本記録、五輪内定者は残念ながら出ず。

男子5000m

日本記録
 13分08秒40 (大迫傑 2015年)
五輪参加標準記録
 13分13秒50
事前の標準記録突破者
 なし

事前展望
遠藤日向(住友電工)の欠場により、優勝候補最右翼は坂東悠汰(富士通)。
対抗馬に、前々回優勝の松枝博輝(富士通)、服部弾馬(トーエネック)。
事前の標準記録突破者がいないため、ハイペースでの展開を予想。

レース展開と結果

外国人3人が引っ張り縦長になるも、参加標準記録ペースである2分38秒70/kmには届かない。
外国人の後ろは松枝と坂東が続く。
3000m手前で松枝が遅れだし、大学注目のルーキー吉居大和(中央大)が日本人トップへ。
外国人の間に割って入る。
強気!
しかし徐々に遅れだし、トップ集団の日本人は坂東一人に。
なかなかペースは上がらない中、ラスト1周で坂東がスパート、トップへ。
そのままゴールで自己ベスト。
ガッツポーズも、参加標準記録は破れず、五輪代表内定はならず。
2位に松枝、そして3位に吉井大和。
吉井はU20の日本記録を更新!
箱根駅伝が楽しみだ。

優勝
 坂東悠汰(富士通)  13分18秒49 PB
2位
 松枝博輝(富士通)  13分24秒78
3位
 吉居大和(中央大) 13分25秒87 U20日本新 PB

女子5000m

日本記録
 14分53秒22 (福士加代子 2005年)
五輪参加標準記録
 15分10秒00
事前の標準記録突破者
 廣中璃梨佳(JP日本郵政G)、田中希実(豊田自動織機TC)、萩谷楓(エディオン)

事前展望
廣中と田中の一騎打ち。
中学・高校・そして社会人2年間、出る駅伝はすべて区間賞というロードで無類の強さを誇る廣中と、1500m・3000mで日本記録を持ち世界陸上2019の5000m日本代表の田中。
トラックでは田中がやや有利かと予想。
終盤のキレは田中が上か。
どちらも強気で攻めるスタイルなので、既に標準記録を切っているといえど、15分を切ってくるような速い展開を予想。

レース展開と結果

序盤は田﨑優理 (ヤマダホールディングス)が引っ張り、廣中、田中が続く。

ペースは3分/km前半。互いに牽制か。
2500m付近で廣中が先頭に出ると田中が後ろにつく。
先頭集団は4人に絞られるが、先頭の体制は変わらず。
田中の今年のトラックレースは、最初から先頭にたって後続を置き去りにするレースばかりだったが、やはり実力拮抗し勝負に徹するとこのような展開になるのか。

ラスト1周でふたりともペースを上げるが、バックストレートで田中がついにトップへ。
廣中はキツくなり首が揺れてくるが、田中は体が全然ブレない。
強靭な体幹。
トップでゴールし、五輪代表内定。
半分以上引っ張った廣中よりも後ろについた田中に余裕があったか。

このラストのキレで、世界相手にメダルを掴んでほしい。
そしてこの2人の対決はこれからも楽しみだ。

優勝
 田中希実(豊田自動織機TC) 15分05秒65
2位
 廣中璃梨佳(JP日本郵政G)   15分07秒11
3位
 萩谷楓(エディオン)      15分19秒41

女子10000m

日本記録
 30分48秒89(渋井陽子 2002年)
五輪参加標準記録
 31分25秒00
事前の標準記録突破者
 新谷仁美(積水化学)、一山麻緒(ワコール)

事前展望
新谷仁美(積水化学)の一強。
実力も今季の調子も頭一つ二つ抜き出ている。
先月のクイーンズ駅伝エース区間3区(10.9km)で驚異的な区間新を出したのは衝撃的であった。

新谷が見据えるのは国内ではなく、世界でメダルをとること。
そのために勝負だけでなく日本記録の更新を目指すことも公言
あえて対抗馬を出すなら、日本選手権の資格記録2番手で五輪マラソン代表の一山麻緒(ワコール)、日本選手権5000mで優勝経験のある鍋島莉奈(JP日本郵政グループ)か。

レース展開と結果

2000m手前まではチームメイトの佐藤早也伽(積水化学)が先頭を引っ張る。
これは新屋のペースメーカーか?と思ったがそのとおり、レース後のインタビューから2000mまで佐藤が引っ張るプランだったとのこと。(その佐藤も3位で銅メダル。)
2000m手前で新屋がスッと先頭に出るとそのままペースを上げていく。
後ろについていったのは一山のみ。
その一山も3000mあたりで遅れだすと、あとは新屋の一人旅。

5000mの通過が15分07秒。
先程の5000mの優勝タイムが15分04秒なのに。。
3分02〜03秒/kmのペースで刻んでいく。
半分で既に周回遅れの選手も。
ラスト1周の鐘が鳴ると、ついに3位集団も周回遅れに。
見事、日本記録を28秒更新して五輪内定を勝ち取った。
驚異的とか異次元とかの言葉しか思い浮かばない、まさに新屋劇場。
五輪でメダルを勝ち取る新谷選手が見たい。

優勝
 新谷仁美(積水化学)  30分20秒44 日本記録
2位
 一山麻緒(ワコール)  31分11秒56 PB
3位
 佐藤早也伽(積水化学) 31分30秒19 PB

男子10000m

日本記録
 27分29秒69(村山紘太 2015年)
五輪参加標準記録
 27分28秒00
事前の標準記録突破者
 なし

事前展望
今回のレースで最も予想しにくかったのがこのレース。
注目は、資格記録では最速の鈴木健吾(富士通)、前々回優勝の田村和希(住友電工)、日本記録保持者の村山紘太(旭化成)、今年の箱根駅伝エース区間2区であのモグス(山梨学院大)の区間記録を11年ぶりに更新した相澤晃(旭化成)、その相澤にライバル心を燃やす伊藤達彦(Honda)、あたりか。
これに今や学生No.1の田澤廉(駒沢大)がどこまで存在感を出せるか。
マラソン代表の3人もいるが、トラックだと厳しいと予想。
個人的には、西山和弥(東洋大)に復活のきっかけを掴んでほしいところ。

五輪参加標準記録が日本記録を上回るため、ハイペースのレース展開が予想された。

ちなみに人数が多かったのでタイムレース方式、2組に分けてタイム順に順位をつけるが、持ちタイムを元に有力選手を最終組に集めるので実質決勝は最終組。

レース展開と結果

スタートから外国人2人が先頭を引っ張り、日本人選手がついていく。
上位に大迫傑(Nike)、田村和希、佐藤悠基(SGHグループ)、西山雄介(トヨタ自動車)ら。
五輪参加標準記録を意識したペース、少しずつ縦長になっていく。

5600mの通過で2番手で引っ張っていたクレオファス・カンディエ(三菱重工)がペースダウン。これにつられたのか一人分スペースが空いたところになかなかついていけず、少しずつ脱落していく。
大迫、田村が落ちていって食らいついたのが伊藤と相澤。
今年の箱根駅伝を彷彿とさせるランデブー。

先にキツくなったのは伊藤。
アゴが上がって体もブレだす。
8000mで相澤が伊藤を抜いて先頭コエチ(九電工)の後ろにつくと、すぐに伊藤が抜き返す。
しかし既に苦しい、3位に落ちて差が開く。
しかし必死に前を追う。
これは伊藤を応援したくなる!
このレースの見どころポイントであった。

相澤はバネの効いたストライドでコエチにしっかり付き、ラスト1周でコエチの前へ。
残り200mでコエチもペースを上げたが、最後は相澤に花を持たせる感じでゴール。
派遣標準記録を上回り、日本記録を10秒以上更新する日本記録更新!
五輪代表内定を獲得。
そして2位の伊藤、3位の田村までが日本記録を更新する素晴らしいレースであった。
終始レースを引っ張ったコエチの功績を忘れてはならない。

優勝
 相澤晃(旭化成)   27分18秒75 日本記録
2位
  伊藤達彦(Honda)  27分25秒73 日本記録
3位
 田村和希(住友電工) 27分28秒92 日本記録

まとめ

2種目で日本新記録樹立、3種目でオリンピック代表内定、終盤までの競り合いもあれば独走の驚異的な展開もあり、熱い日本選手権であった。
さらに各レース結果を見ると、PB(自己ベスト)がズラリ。
これも胸アツ!
トラックでは日本はなかなかメダルをとるのが難しいけど、新谷と田中は期待してしまう。
コロナでどうなるかわからないけど、世界と勝負する舞台には立ってほしい。

そして、トラックレースがもっと人気になって、大会が休日開催で地上波中継されるようになるといいな。

最後にちょっとだけシューズの話

マラソンで使える厚底シューズがトラックでは規制されることになった。
メーカーの都合だろうな。。
ナイキの赤いシューズが男女共に多かった気がする。
ドラゴンフライかな?


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