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圧倒的な30周年と正しい初期衝動とSINKINGSLOWLYの話

きのうは遠出をして渋谷まで。
COALTAR OF THE DEEPERSの30周年記念公演"Deepers're Scheming" 2021を観に行ってまいりました。ふだんほぼエビ中についてしか書いていないこのnoteですが、せっかくなのでリポート…なんて大それたものじゃなくて、今回の現場で考えたことのメモとかを残しておいてみます。

・・・そうなんですよ。DEEPERSが30周年なんですよ。
DANCE2NOISEで彼らの音と出逢った若かりし頃の自分でしたが、2021年になったらエビ中とマリーンズとDEEPERSをこよなく愛するワケのわかんない大人になっていました。でも仕事とかのストレス的なもろもろは、この3本の柱が癒してくれているのです。ありがたいことです。

そしてこの3本の柱の中でも、ずーっと長いことぼくのそばにいてくれたのが、DEEPERSの音だった。My speedy salahで感じたぼくの初期衝動は、長い時を経ても全くもって間違いはないものだった。きょうの公演も、そのぼくの思いと歴史を一段上のレイヤーから重ね書きしてなぞらえて強くしてくれるような、素晴らしいものだった。
ライブ自体は配信もあったので期間中は反芻もできるのだけれど、会場で感じたことは少しでも生の想いとして残しておきたくて。衝動的にnoteにしたためるのであります。

以下ちょっとした諸注意というかなんていうか。

もしかしたら検索などで、たまたまこのnoteまでたどりつく方がいらっしゃるかもしれません。もちろん大歓迎なんですが、ぼくはライターでもなんでもありませんし、音楽的な素養も全くございません。DEEPERSは大好きなんですが、誰かを唸らせるような知識などは持ち合わせておりません。そこらへんの三重苦で物足りなかったり片腹の痛かったり、場合によっては怒りを感じるくらいの薄っぺらい文章を目にすることになるかもです。
衝動で書き連ねるものであって決して悪気あってのものではございません。イライラ来たりした際には、できれば一笑に付していただいたり、冷静にこのページを閉じていただけましたら幸いです。

そしていつものエビ中界隈の皆様。今回はそちらの話は入っておりません。すいませーん。


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会場到着

会場は慣れ親しんだ渋谷O-EAST。
開場時刻とともに番号呼び出し開始。ある程度のソーシャルディスタンスを保ったまま入場へ。…入場列に並んでから「ドリンク券は入場時に買ってもらいますが、ドリンクは終演時に渡します。そのほか会場内でドリンクは買えません。」とのアナウンス。Oh!できればそれは並ぶ前に言ってほしかった。手持ちの水分は「即効元気」のゼリーパックだけだ。がんばれ自分。

会場フロアには1m四方に区切られたテーピングが施され、各枠の中には整理番号の書かれた紙が貼られている。運営側にとっては頭が痛い話だということは本当によくわかるのだが、落ちついて観覧するぶんにはとても快適なスペースが確保されている。ぼくの陣地は下手側のけっこうな後方。きょうはツヨシさんと高取さんの様子をしっかり見ることにしよう。
ステージにはDEEPERSの旗がバックに配され、アンプの上にケムール人の頭がいくつか置かれている。シンプルなセッティングだ。

はじめはスカスカだったフロアも、開演時刻の近づきとともにどんどん埋まってくる。男女比は5:5くらいだろうか。同年代の人や、自分よりもだいぶ上であろう人、若者。いろいろな年代の方々がいる。これはこの30年で本当に多くの人を魅了してきたことの証左なのだ。
スタッフさんからマスク着用の義務や声出しに関する注意事項が告げられ、ほどなくしていつもの登場SEが流れ始める。
さあ、いよいよだ。


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第一部

umlimber
ナラサキギターのシンプルだけど攻撃的で印象的なリフに、ケンジローさんの機械的でいながらにして生きて地を這いまわるかのようなベースフレーズが重なる。バックにはキレとパワーのあるスネアとキックの音。かっこいい。とてもかっこいい。
ぼくがマリーンズの選手であったとしたら、打席に登場する際に流すのはこの曲だと決めている。目をつぶってその風景を思い浮かべる。どれだけマリンスタジアムの観衆を沸かせることができるだろうか。惜しむらくは少年野球以降、ぼくにはほとんど野球の心得がないことだ。
ラストの一気に駆け抜けてゆくような爽快な展開。あぁ、ぼくはコレが聴きたかったのだよ。さあ、きょうの戦闘準備が整った。


C/O/T/D
「きょうは楽しんでいきましょう」というNARASAKIさんの言葉を受け、イントロ3秒で血沸き肉躍る最強のコードワークが鳴り響く。フロアの客も1m四方に区切られたスペースで、器用にエネルギッシュに蠢いている。
アキラのギターソロを受けて歌うNARASAKIさん。きょうはギターボーカルのNARASAKIさんを見に来たのだ。あぁ、コレが見たかったのだよ。


CELL
空に溶けてゆくようなCOTDのアウトロの後、間髪を入れず流れ来る聞きなれた外人ナレーション。何度も味わってきたこの二曲のコンビネーション。何十年経ったって、きっとこの流れの熱い美しさは失われることなんてないだろう。
今度はNARASAKIさんが自らギターソロ。きょうはギタリストNARASAKIさんを見に来たんだ。とにかく全部見たかったんだ。


prophet proved
ここでヘヴィながらミドルテンポな一曲に。
歌詞の内容について考えてみたことがないが、ぼくは未来都市が朽ち果て崩れ落ちてゆくような壮絶な風景を、この5分間の音圧の中にいつも勝手に思い描いている。シンセが鳴っているとはいえ、なんでバンドスタイルでこんな厚い音が出せるのだろう。きょうはこの没入感に耽溺しにきたのだ。あぁ。楽しい。


Dear Future
ミドルテンポの曲をワンモア。
ライブなどの活動があまり活発でなくなった頃、急にアニメの主題歌で浮上してきたDEEPERSプロダクト・・・でしたよね。時系列的なのがぜんぜん間違っているかもしれませんが。
ぼくはこの曲でだいぶ心の隙間を埋めてもらったのだ。それは記憶違いではあるまい。今までもときどきライブでかけられることもあったけれど、この曲が演奏されるとなんだか当時の満たされた心が思い出されて、得した気分になる。きょう印象的だったのは、ステージ後ろを環るブルーやイエローのサスライト。いつもながらの不思議な浮遊感だ。


TO THE BEACH
さらにモデラートで重たい曲へ。
歌詞も「今この世界は、終わろうとしている」なんて世界観だ。マスクだらけのフロアの中にいると、まさにそんな思いに埋もれてしまう。カンノさんの力強いスネアの切れ味と肚にクるキック。6拍子のビートが波のように容赦なく次々に打ち寄せてきて、気持ちの逃げ場を失くしてゆく。
しかしなぜだろうか、それが気持ちよいのだ。これもまた音楽のチカラ。きょうはこの音の波を浴びにきたのだ。そうなんだ。


ZOEI
鬱屈した空気を吹き飛ばすかのように、軽い変拍子と激しく悪くひずんだギターリフで始まる1曲。自分的には勝手にどこかサムライじみた和テイストを感じている。使っている音階の所為なのかな。ワジーだったらどう弾きこなすだろう。
悪いひずみばかりではなく、合間にカオを出すエモくまっすぐな旋律や、バンドアンサンブルの妙を感じさせる瞬間がステージで爆裂してゆく。ああ、この曲ってこんなに楽しかったのか!
何度ライブに来ても、やっぱり気付かされることばっかりだ。


Hedorian Forever
きょう見てきた中でも1~2を争うほどに圧倒された。
中でも圧巻だったのは間奏部。ビートをしっかりキープしながらも手数を多く採り入れたドラムと、延々と続くシンプルかつどえらくカッコいいギターリフ。焦燥感を煽るかのようなシンセの音色に動じることなく、しっかり手元を見据え弦をかき鳴らす不沈空母のようなフロントメンバー。ステージ後ろのサスライトに照らされて神々しさすら感じられました。
もう、何度でも言いますよ。カッコいい。カッコよすぎですよ。


Receive Assimilation
これも聴きたかった1曲。もしかしたら、ところどころでコードを変えていたかしら。気のせいかな。
聴きどころは宇宙空間を超えるあたりから。鬱屈した何かを打ち払うかのように、ケンジローさんのベースが冴えわたる。ギターにそれが伝播して、シンセの和音が世界観をまた整えてゆく。そしてイントロのリフを最強のバンドアンサンブルで何度も繰り返す構成。これもまた圧倒されるばかり。観に来てよかった。


HYPER VEROCITY
NARASAKIさんから「このチームでの最後の曲になります」とアナウンス。「えー!!!」のリアクションを返せないのがつらい。名残惜しさを感じようとしたその刹那に、やはり聞きなれたスペイシーなシンセサウンド。これが聴こえた瞬間に振り上げる拳の準備は完了。カウントアップと共に一本ずつ指を広げ、あとはスピーディな音の波に身を任せるだけ。
曲名の通り、あっという間に音の波は過ぎ去っていった。第一部の終了だ。アキラさんとケンジローさんのふたりに贈られる惜別の拍手。きょうもかっこよかった。お疲れさまでした。


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第二部

Queens Park all u change
暗転とセッティング作業ののち、これまた聴きなれた素朴でアコースティックな7thコード曲がSEで流れくる。ジャケ写のあの女の子のカオがなんだか頭をよぎる。VISITORS TEAMがステージに現れる。今度は期待と歓迎の拍手が送られる。
高取さんがサイレンにも似たフレーズを高らかに響かせる。呼応するようにドレッド根岸さんがソロギターをかき鳴らす。高まるギター合戦。高まる観客。高まり続けるO-EAST。


thrash up disturbace #4
手ぶらで出てくるNARASAKIさん。
今度はギターメンによる雄叫びとデスヴォイスの呼応に力が滾る一曲。激しく繰り返されるデスチックなフレーズ。空間系のエフェクトを排した潔いノイズが体の中に流れ込んでくる。
音源を初めて聴いた時と、なんもかわっていない。何かが始まることを予感させる熱さ、そしてワケわかんなさ。それらがぐるぐるとミックスされて熱くなってゆく。


Salah's living4moment
唐突に終わる前曲から一瞬の間も開けず、ダイレクトに聴く者の鼓動を掴み取りにかかってくるベースフレーズ。アルバムと同じで息もつく暇のない流れ。暴れるドレッド。踊る茶髪ロン毛。唸る坊主。黙々とドラムを打つイケメン。そしてマイクを握る金髪グラサン。鉄壁だ。鉄壁としか言いようがない。鉄壁のフォーメーションが生み出す音は、初めてCDを聴いた時の衝撃を未だに拡大再生産させ続けてくれている。これだ。これを観に来たんだ。
曲中、高取さんに後ろから抱き着くNARASAKIさん。どうした。


charming sister kiss me dead!!
打って変わってゆったり目のテンポ、きっちり刻まれるビート。しかしところどころでかくれんぼするデスボイス、ファズ全開の爆音でかき鳴らされるギター。一筋縄ではいかない一曲。
ミニアルバム一枚やり切った。


MUMMY LOVER
ここでフライングVに持ち替えたNARASAKIさんから「30年前の曲しばりでやります」と宣言。一方で高取さんはアコギ風味のエレキにチェンジ。すいません機材のことよくわかってません。
高取さんから「初めての曲だよね」と一言。NARASAKIさんから「ノイズギターバンドだったころの曲です」と紹介。曲目はwhite.epのMUMMY LOVER。この曲が初めてのオリジナルソングだったのね。


Dreamman
デモテープシリーズ第二弾とのことで、Dreamman。これはNo thank you収録曲だけれど、作曲されたのはだいぶ前だったのね。そんな話も聞いたことがあったかもしれないけれど、全然おぼえていなかった。根岸さんのソロがかっこいい。


HEAVY THING
彼らの活動期間の9割以上はリスナーとしてカバーしてきたつもりだったのだけれど、悔しいことに初めて聴いた曲でしたよ。なにこれ…。
激しいのだけれどどこか行進曲のような堂々とした気風があって、中途には印象的に響く高取さんのアコギソロがあって。なにか音源が出ているのでしょか。はぁかっこいい。今になってこういう出逢いがあるというのこともまた尊いものです。


SINKINGSLOWLY
デモテープシリーズ4曲目。言わずと知れた長尺曲。DEEPERSの世界観が凝縮された、物凄い存在感を誇る至高の逸品だ。
きょうはヴォーカルにヴォコーダーをかましていたのかな。そこに重なってくるのがゆったりと力強く刻まれるドラミングと追随するベースの低音、そしてアコースティックギターとディストーションギターのアンサンブル。音の圧の向こうに、何かの記事で目にした、コールタールの海の奥底にゆっくり沈んでゆく二人という絵面が見えてくる。素晴らしい。素晴らしい。この曲だけでお金とっても良いくらいですよ。フジファブリックと一緒に音楽の教科書に載せるべきなんですよ。


THE LIGHTBED
沈んでいったCOALTARの海から引き揚げられ、重く固まった身体を中和するような優しく幻想的な響き。根岸さんの弾くイントロのフレーズと高取さんの弾くソロフレーズがとても大好きだ。
ステージ下も一気にダンスフロアと化している。5月のライブに続いて不思議なダンスを見せる高取さん。下手客席にアピールを試みるも足元のシールドが抜けてしまう?高取さん。


WHEN YOU WERE MINE
「ということで、最後の曲となりました」と告げるNARASAKIさん。早い、まだ早いよ!いまきたばっかりだよ!ぼくらのかわりに「えー!!!」と言ってくれるステージ上の誰か。「みんなの心の声が聴こえているから」と言う高取さん。謎のポーズをキメる根岸さん。
曲名のコールが入ったのちに、いつもどおりのカッコいいギターリフから賑やかな演奏へ。I KNOW!Don't care!に応え叫ぶツヨシさん。彼らにに負けず拳を振り上げるフロア。盛り上がりを引きずるかのように何度も繰り返されるアウトロ。ラストナンバーとして素晴らしい説得力だ。はあ、楽しかった。楽しかったよ。
高らかな拍手と共にステージを去ってゆくメンバー。お疲れさまでした。


DEEPERS ARE SCHEMING
いそいそと戻ってくるメンバー。このご時世の公演は時間的にいろいろあるのね。NARASAKIさんからもこの状況の中でライブをやることについて、とにかくやっていくしかないと手短な一言が伝えられる。
Deepersは次の機会をまた企んでいるからとのうこと。で、登場の待たれたDeepers are schemingが始まる。一発目の音から全開のギター、ドラム、ベース。今まで何度聴いてきたかわからないほど聴いてきた一曲だ。そしてやっぱり何度聴いてもカッコいいものはカッコいいのだ。
高取さん、ツヨシさん、根岸さんとそれぞれ向き合ってギターを弾きならすNARASAKIさん。カッコいい。サビで力強いキックの音のなか、直立不動で高速にコードを刻むフロントの4人。滅茶苦茶カッコいい。ラスサビでツヨシさんのベースヘッドと高取さんの髪が絡まってしまうハプニングもあったが、スタッフさんに髪をほどいてもらいながらあの高速ビートを余裕で弾きこなす二人。キャリアから生まれる余裕。これもまたカッコいい。

30年間保たれ続けてきたこの揺るぎないステージングを見ていたら、さっきのNARASAKIさんの言葉通り、また近いうちにきっとこの空間が現れるような気がしました。誰もがダメージを受けざるを得ない腐った時代になってしまったけれど、きょうはとても楽しかった。滅茶苦茶楽しかった。
メンバーの皆様、そして今回参加のできなかったイチマキさんWATCHMANさんも、会場や配信で一緒に盛り上がった皆様も含めて、皆様お疲れさまでした。


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まとめ

冒頭で書いたことをもう一度繰り返して、まとめの言葉としておくことにしましょうか。

ずーっとぼくのそばにいたDEEPERSのサウンド。DANCE2NOISEで受け止めたぼくの初期衝動は、長い時を経ても、自分なりにいろいろな人生経験を経た上でも、全くもって間違いはなかったことがわかった。きょうの公演も、その思いと歴史を上からぶっといサインペンで重ね書きをしてなぞらえて強くしてくれるような、素晴らしいものだった。

あの頃にフとしたことからこのバンドと出会う道に入り込んだ自分に、誰か教えてやってほしい。
お前がなけなしのお年玉と引き換えに、ドキドキしながら手に取ったアルバム。Queens Park All You ChangeとSINKINGSLOWLY、あとTHE VISITORS FROM DEEPSPACEは、数十年経った後でも楽しめる名盤だぞ、と。
だからすり減るほどに聴きまくれ。楽曲はすり減るどころか、時とともにまた新しい味を得てどんどん楽しくなっていくんだぞ、と。
D2Nのちっちゃな写真でしか姿を伺い知れなかったバンドメンバーの彼らは、数十年経ったあとでもずっとそのプロダクトを成長&醸造させて、ずっとパワーアップさせて弾き続けているんだぞ、と。
そして数十年経ったあとには、日本中のたくさんの人たちがその曲を愛し続けて、日本中で一緒にライブを楽しんでいるんだぞ、と。

あ、数十年後にワケわかんない大人になった自分自身のことは見て見ぬフリをするんだ。そこは謝るから強い気持ちでスッパリ諦めてくれ。

だけれどぼくにとってもこの時間っていうのは、かけがえのない素晴らしいものだったんだ。それはきっと間違っていない。きっとそうなんだ。


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さて、10年後の自分はどんなことを考えているかな。
また次のライブに出会えることを信じて。

それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。

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