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Determiners make a difference.

ゼロから覚醒シリーズの英文法の本が出るようですね.著者の土岐田健太(ときた・けんた)さんはたくさん参考書をこれまでにも出されていますね.

ところで,『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』のStep 1ではa/theの使い分けを扱っていますが,「冠詞」という語は1回だけで,「限定詞(げんていし)」という語をP 16で定義した上で一貫して使っています.これには理由があります.

❶もちろんa/theは大事だが,その区別にno/someなどの語の用法と一緒に学習した方が良いものもあり,これらの語はどう考えても形容詞ではない(形容詞と限定詞がどこがちがうかは『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』をお読みください).

❷この本で大きく扱うことはできなかったが,英語のライティングにおいて限定詞をうまく扱うことができることは非常に大事だから.

ちなみに,この限定詞により習熟したい人にはこんな本があります.この本では限定詞ではなく決定詞(けっていし)と呼んでいます.英語ではdeterminersと呼びますが,それを「限定」とするか「決定」とするのかは好みの問題です.ぼくは限定詞を使っています.

まあ,品詞というのはやっかいですよね.指導者が学習者にわかっていない,とよく不満を述べるのを聞くことがありますが,実際,文法書や自分が無意識に行なっている説明がより学習者を混乱させている場合もあります.例えば,

His
daughter is a ballet dancer.

このhisの品詞を尋ねると「代名詞の所有格(the possessive case of a personal pronoun)」という人が結構います(実際,ネイティヴでもこのようにいう人もいます).これは誤りではありませんが,名詞の前に置かれてかかっている機能を理解させる上では「所有限定詞(posseseive determiner)」と呼ぶべきだと思います(「所有形容詞(possessive adjective)」と呼ぶ人もいますが,ぼくは限定詞は形容詞と区別するべきと思っているので,いまは使いません.「代名詞」扱いするよりはよいと思いますが…).ちなみに,「所有代名詞(posseseive pronoun)」という用語もありますが,

これは
The white car is mine. The red one is his.

のように単独でセンテンスの中で名詞の働きをしているものに使うべきでしょう.

ぼく個人は文法用語はなるべく使いたくないし,使わないようにしているのですが,文法用語をガンガン教える方向で行く人もいるでしょうし,それはそれで構わないと思います.だけれども,その文法用語を使うことがある文法機能の理解を妨げるならば用語を変えることも1つの手だと思います.ぼくは「不定詞」「動名詞」は絶対に使いません(それぞれ「to do形(noteの機能ではできないようでですが, doは出版物では必ずイタリック指定してもらいます)」,「-ing形(もちくは「doing形」と読んでdoイタリック指定でもいいと思います)」と呼びます).「過去分詞」もできれば使いたくありません(どうしても使えというならば「過去分詞」とするはずです).「-ed/en形」と読んでいます(ぼくはまだ使っていないですが「done形」と呼ぶのもいいかなと思います).これは,「品詞」からの変化であるものを「XX詞」と呼んで新たな品詞のように感じさせてしまうのは危険だと感じているからです.

「伝統的な教え方に配慮してほしい」という人もいるでしょうが,個人的にはIt's never too late to set things straight.だと思っています. 

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