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How to make example sentences 6

「受験英語」というとリーディングに重点を置かれた学習方法/指導法を指したり,実際に出題された試験問題を意味することもありますが,この後は同時に特定の質感(texure)を持った英語を指すことがあります.よくTOEICが好きで何回も受験したり,教材の研究を通常の学習者からは考えられないレヴェルで行なっている人が感じる表現や展開・場面・文体から判断して,「これはTOEICっぽい/っぽくない」と発言するのと同じです.

この意味での「受験英語」というのはAcademic Englishともちょっと違うようです.必ずしも書き言葉に偏るわけでもないし,場面が学校や学術的/科学的なものにも偏るわけでもないようです.でも,質感そのものはなんとなくある.

個人的には,あまりこの意味での「受験英語」をぼくは肯定的にはとらえていません.それどころか,自分が書いた教材は,その質感のないものを目指してつくっています.『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』は大学入試用のテキストですが,おそらくこの本を読んだ受験英語の専門家はなんとなくそれを感じ取るでしょう.

Hiroyuki is not who he used to be anymore.

『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』P.177

という例文があるでしょうが,ちょっとこれは最近見つけてびっくりしたのですが,結構若い人が書いたいま風の受験参考書に上のwhoをwhatにした用例が入っていました.もちろん,間違いではないですけど.これでwhat he/she used to beを「以前の彼(女)」で強調しすぎてwhoではいけないのか,と考えさせてしまうのはちょっと考えものです.

あと,さんざん他の記事でもぼくは書いた点であり,ベストセラー『どうして英語が使えない?』(ちくま学芸文庫)でずーっと前から指摘されていることでもありますが,関係代名詞を使う必然を感じないのに使っているなあと感じる例文がありました.

Yumiko is the girl who works at a hospital.

もちろん,文法的には間違いではないし,「ユミコはああ,あの病院で働いているあの子ね」的な文脈ではあり得るけれども,

Yumiko works at a hospital.

のほうが自然ならそういう例文を学習用に使ってしまうのはあまりよくない気がします.で,難しいのはこういうことはまずネイティヴチェックでは引っかかりませんし,結局自分自身を含めて例文を作る人がさまざまな意識できる人が増えていけなければいけないということで,個々の人の実力をあげつらってもしょうがないんですよね.この記事も,ぼくのほうが例文書きの実力があると云っているわけではないし.ぼくも不自然な例文を腐るほど書いて,何度も読み返してやっと少し減らすことができるけど,まだ残っている状態なんで.



楽天では書影が掲載されるようになったようです.


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