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How to Develop a Writing Mindset

ぼくの本に限らず,どの学習参考書や語学書でもそうなのですが,著者が自分で書いた限りにおいては「はじめに(まえがき)」や「この本の使い方」はかなり学習者のことを考えてこうすればできるようになるはずだ,ということが書いてあります.『ゼロから覚醒はじめよう英作文』の「はじめに Preface」や「この本の使い方 How to Use This Book」は出版社に任せずに自分で書きました.わかってもらうために,レイアウトを工夫する必要があり,それは担当の編集者にお願いしました.そういうわけで,この本を使おうと決めた学習者の人,あるいはこの本を購入しようか迷っている人はぜひ「はじめに Preface」と「この本の使い方 How to Use This Book」をまず読んでください(この部分はAmazonの商品ページから「試し読み」をクリックすれば見ることができます).もちろん,著者の思い通りに学習者が本を利用する必要はなく,状況に応じて自分に合った使い方をしていけばよいと思います.ただ,その前に著者の意図を大きく勘違いしていると,そういうアレンジもできないと思います.

とはいえ,実際のところは,ほとんどの学習者は「はじめに Preface」と「この本の使い方 How to Use This Book」を読んではくれないと思います.あるいは,せっかく読んでいただいてもこちらの意図を勘違いされることもあると思います.そこで,ここには「はじめに Preface」や「この本の使い方 How to Use This Book」には書かなかった/書けなかった著者側の意図をざっと書いておきます.

読者対象について
カヴァーの「目標レベル」および「はじめに Preface」に明示されていることですが,相当英語が苦手な人のために書いています.だから,基本的にあなたが高校生/大学受験生であれば,まずこの本の前に何かをやっておくということを考える必要はないはずです.大学受験をしない一般的な英語学習者(実はこちらの方が多いかも,とこの本の企画が立ち上がったころは版元も考えていたようでしたが,実際のところはどうなのかはわかりません)でもよほどのことがない限り,「その前に中学英語の復習を」などとは考える必要はなく,いきなりこの本に取り組んでいただけるように作っています.

前半部=「基本知識の確認」+「アウトプットに対する意識づけ」
逆に,「英検準1級/1級のライティングを目指している」というような人にはStage 1-Stage 3にはこんなことを知っているよ,と思うことばかりが書いています.実は,Stage 1-Stage 3はこういう上級者が文法や単語を学習したり,長文を読んだり,スピーキングやライティングの練習をしたり,という挫折と成功を繰り返していく中でなんとなく身につけていくアウトプットに対する意識を基本的な知識の中でライティングについて必須と思われるものをざっと復習しながら育てていくことを意図して書かれています.
少なくとも学習参考書では,項目別の文法を組み立てた上で,使える表現を覚えることをライティング対策の最初に行なうのが一般的なようです.しかし,『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』では,英語が苦手かつ嫌いな学習者を想定して,手持ちの単語や文法の知識を自分が表現したいことに結びつけるためのマインドセットづくりを優先させています.

後半部=「つなげる基本スキル」→「展開パターン」→「型」
和文英訳でないお題を与えられてのライティングのことを「自由英作文」と大学受験業界では呼ぶようですが,一般的にこの自由英作文対策は「定型表現」と「型」の暗記で乗り切るようです.ぼくも,「型」の習得は否定しませんが,それより前に,『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』ではシンプルに与えられた1センテンスにもう1センテンスつなげる基本スキルを学び,その後,展開の基本パターンを学ぶステップを取り入れています.でないと,「型」に自分の考えを当てはめようとするけれども,無理が生じている答案を書いてしまう学習者が増えるような気がするからです.

こういうスキルはcohesion(つながり)とcoherence(まとまり)と呼ばれ,ライティング指導では大事なものとされています.ただ,英語を苦手としている学習者がThe New York TimesやThe Atlantic (Monthly)などのネイティヴの一流紙/誌で見られる意識高い系の超上級者/指導者を唸(うな)らせるような「つながりを出す高等技術」をマスターできるはずはないので,前著『英文を編む技術』よりもさらに基本的なスキルの習得に限定しています.イヤな云い方をすれば,「基本的な単語と文構造でなんとか意味が伝わる英語を書けるようになる」ことを目指しています.上級者から見れば「幼稚(稚拙)な英語」に思えるかもしれませんが,洗練された英語が書けるまでにはそういう英語を生み出すステップは避けては通れないだろう,というのがぼくの考えです.それに,Plain Englishという言葉がある通り,平易だからといって幼稚(稚拙)と捉(とら)えられるとは限りませんし.

付録について
付録には,基本動詞100のもっとも普通かつ基本の使い方がまとめてあります.基本動詞が大事であることは,関連本がたくさん出ていることからも明らかだと思います(最近ではこんな本も出たようです).ただし,これらの本の多くは句動詞(phrasal verb)や口語表現・コロケーションを扱うものです.「受験勉強でやるような硬い単語ではなくネイティヴは日常は基本単語をうまく使っていますよ」というような.このことは事実だとは思いますが,こと初級者に限って言えば,初級者がライティング力を高める上で必要なのは「受験でのリーディングを読めるようになるためのやや難しい動詞」でもなければ「それらの代替表現となる基本動詞を使った句動詞をはじめとする口語表現」や「押さえておきたい基本動詞の意外な用法」でもありません.まず,初級者が覚えるべきは,書き言葉か話し言葉かの区別をする必要もないぐらいに大事な100個前後の基本動詞の最も基本的な使い方です.しかし,これは簡単すぎるという理由で本にならないので(実はこの基本動詞の基本用法で1冊本を出そうとして複数の出版社に企画を持ち込みましたが通りませんでした),そういう知識をまとめた本がないのです.そこで,『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』では最後にリストをつけました.これをうまく使っていただけると光栄です.

著者からのお願い
ゼロから覚醒 はじめよう英作文』は残念ながら,そこまで初版発行部数が多くないので都市部の大型書店以外はなかなか見つからないと思います.そういう場合は,書店にご注文いただくか,Amazonなどのネット書店でご購入ください.もう少し,この本が市場に出回るよう認知度を上げたいので,書店でこの本を見つけた際は,了解を得た上で写真を撮影していただいた上「『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』を見つけました」ような形で各種SNSにアップしていただけると光栄です.ネット書店でご注文した方は商品が手元に届いたときに「ゼロから覚醒 はじめよう英作文』が届きました(これから読みます)」などという形でSNSにアップしていただけるとうれしいです.著者や出版社が本をいくら中身をがんばって紹介してもとりあえず手にとってもらう数が少ないところでは大きな動きを生み出すことは難しいし,内容を評価してもらうまでにも行きません.とりあえず,こういう本があるということを広めたいのでご協力いただけると大変助かります.




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