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Choose the right way

ライティングにおいては,きちんとしたセンテンス(註・ぼくは「文」ということばを使いません.理由は『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』に書いています)を1つ1つ書くことはもちろんものすごく重要です.でも,「センテンスをきちんと書くこと」を超拡大解釈して文法がなにより重要としたり,それも英語のしくみとして学習者が学ぶべきことの総体のごく1部でしかないものの考え方の1つとして扱われるべき「品詞と文型の関係」を文法の基礎としてしまうのはちょっと問題だとぼくは考えています.少なくともライティング(もっと云えばスピーキングを含めて)において英語を生み出す作業をする上で何が必要かを見極める上では.

まず,「品詞と文型の関係」についてですが,指導者はこういう云い方をよくするとおいうことを知ってはいますが,ぼくは正直,このことばが明確に何を意味するのかわかりません.「品詞」の概念をある程度身につける必要はあると思っています.「文型」についてもぼくは「5文型」を使わないので「文型」とか「構文」という用語は使いませんが,ある程度「文構造」の理解は必要と思っています.でも,「…の関係」と云われるとなんのことかわからないわけです.だって,実際のところ,センテンスの文構造を考えると,「意味順ボックス」の「だれ Who」「する(です) Does/Is」「だれ・なに Whom/What」「どこ Where」「いつ When」にしろ,「5文型」のS (Subject) / V (Verb) / IO (Indirect Object) / DO (Direct Object) / C (Complement)にしろ,この各構成要素には少なからず複数の語が入るし,1つの品詞と決めつけられるわけではないですよね.それどころか,to doとか-ingとか-ed/enとか純粋な動詞からの変化形なんかもあるわけです.少なくとも,考え方としては品詞と文構造の間には,それを「構成要素」とよぶのか「句」とよんでも「カタマリ」でも「チャンク」でもなんでも構いませんが,もうワンステップあるわけです.『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』ではカタマリとわざとカタカナにして書いてありますが,多くの人はここでつまずきます.だから,こういうところは文法の本ではありませんが,丁寧に扱っています.

『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』 P.13

そして,センテンスの文構造のアウトプット視点からの考え方に触れた部分もあります.

『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』 P.41

でも,これだけでは足りないこともはっきり書いています.

『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』 P.43

実はここはものすごく大事な部分です.そして,どうするかも書いてあります.学習参考書(業界の人は「学参がくさん」とよぶ)なのでお値段も手頃になっているので,巻末の動詞リストのためだけにでも購入の価値はあると思っています.もちろん,AI全盛のいま自作することもできると考えるかもしれませんが,失礼ながら,全体的にまとまったユーザーフレンドリーなリストはたぶん初級者には作れないはずです.

この本がそれほど売れていない(Amazonで2度ほど急にランキングが跳ね上がることがありましたが,全体としては「英作文」や「ライティング」の売れすじ本の1/100も売れていないと思います.数日跳ね上がっても数十部がせいぜいなので全体としては微々たるものです.まだ当分増刷がかかる気配がありません)のでこういうことを云うのはどうかとも思いますが,基本的に受験生だけでなく,子供も大人もライティングの本で初級者のつまずきそうな部分/視点として完全に抜け落ちている部分を拾った本は他にないと思います(もちろん他の本には他の本の良い部分や目的があります).今後またライティングの本を出すかもしれませんが,それまではぼくが過去に書いた他の本を含めても,初学者・初級者にはとりあえず最初の1冊は『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』 以外はないです.英語ではMacMillanとかOxfordとかが,超初級者向けに良い本を出しているので,そういう本を使ってネイティヴなりものすごくできる人に個人指導(one-on-one tutoring)を受けるのでもない限りは.

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