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How different is the new edition than the previous one?

この前書いた通り,2023年1月にDHCから刊行された拙著『英文を編む技術』は,JMAMからタイトルを改め『15の論理展開パターンで攻略する英文ライティング』として改訂版が発行されます.担当の編集者さんによると配本日はいほんび(書籍が書店へと発送される日)は23日とのことです.

DHC版の刊行から1年ちょっと,DHC社の出版事業撤退の知らせを聞いてから約半年というのは,かなり早いスピードであることと考えたほうがいいでしょう.幸いにも,嶋津幸樹さんがアルクからIELTSのスピーキング本とライティング本を復刊されたのを皮切りに,来月にはぼくの『15の論理展開パターンで攻略する英文ライティング』だけでなく,複数の著者の本がそれぞれ別の出版社から復刊されるようです.

上に書いた通り,これらはかなり早いスピードでの復刊であり,おそらく内容的にはDHC版とほぼ同じでしょう.もし,あなたがごくごく普通の人で,かつ絶版になる知らせを聞いてあわててDHC版を購入したのであれば,別の出版社から出た改訂版は買わなくてよいと思います.ただし,あなたが書籍(文化)を愛し,DHCの出版事業撤退に怒りを感じ,かつ英語本が出るたびにSNSでコメントをすることを習慣としている「モノ言う英語学習者」で,絶版に際して「これは学習者にとって大きな損失だ.この本を残さなければ!」などと云っていた人なら,話は別です.文句を云わず喜んで今度の改訂版を購入して,SNSには「この本が生き返ってよかったです!」とコメントをすることを強くお勧めします.復刊を強く希望しておいて「ほとんど変わっていないじゃん,チッ!」などというコメントをする人は著者か受け入れ先の編集者を刺しに行っているとしか思えません.

もう1度書きますが,半年で別の出版社から復刊できるのはかなりのハイスピードです.この間,出版社の編集者が著者に連絡を取り,刊行に合意してもらった上で,出版社内部で決済を通すステップがあったはずですが,これだけで数ヶ月かかると思います.この間,著者(受け入れ先の出版社がやってくれることもあります)は,元の版元であるDHCに連絡して印刷所に入稿する直前の版を譲ってもらう交渉などがあり,とても改訂版に向けて内容をどう改善するかなんて考えていられません.決済が通った後も,おそらく受け入れ先の出版社からのゲラを確認するのが精いっぱいです.せいぜい数ページぐらいおまけ的な原稿を追加するのがやっとでしょう.すぐに出版社が印刷所にデータを入稿する日は来てしまいます.

あなたが書籍(文化)を愛している人であれば,このステップは理解しておくべきことだと考えます.そうすると,大幅改訂なんて無理ということがわかります.ぼくの予想では,大幅な改訂がなされているDHC復刊本はおそらく2024年中は刊行されません.受け入れ先の出版社さえ見つかっていない場合は,2026年,2027年ぐらいになってもおかしくありません.微修正をしたものは今年から来年にかけてかなり出そうな気はしますが.

というのが一般的な話ですが,『15の論理展開パターンで攻略する英文ライティング』ではDHC版とどれぐらい変わっているかを以下に書きます.

まずは,英語部分について書きます.Chapter 2にExerciseという練習問題があって,そこは条件にしたがって書くタスクが入っていますが,もちろんどのように書くのが望ましいのかという例をSample Answersとして載せていますが,DHC版では1つだった解答例に今回のJMAM改訂版では別解を加えました.ほとんどのものが2つ解答例がついています.2つがそっくりなのもありますが,それはそれでいいかと思っています.別解の追加以外はほぼDHC版そのままです.

次に日本語の部分ですが,訳文の間違いや読みにくかった部分を直したりしただけでなく,結構修正しました(実は昨日まで再校のゲラに赤を入れていました).学習内容の部分よりも,「はじめに」という前書き(Preface)やChapterの最初などでは,学習方法を説明するときにいくつか語学書を紹介しているのですが,絶版になっているものなどは別の本に置き換えました.

というわけでまったくDHC版そのままというわけではないです.しかし,デザインを変更することで,紙面が崩れてしまうリスクを避けるために,編集者さんの方でDHC版のデザイナーさんに連絡して,継続起用した形をとっているので,見た目は表紙以外はほとんど変わったようには見えないはずです.DHC版では2色刷のカラーは緑でしたが,今回は青に変わりますが.カヴァーも青になります.スウェーデンぽいタッチのものになるはずです.

だから,DHC版をすでにお持ちの人には,学習内容という観点からはJMAM版の購入を強くお勧めするつもりはありません.でも,DHC絶版でさんざん「著者や学習者の被害」を訴えた人なら,1冊ぐらいならば(ぼくら語学本著者はアイドルではないので,アイドルファンの方々がしアイドルのCDを購入するように複数冊の購入をしていただくことなど毛頭期待していませんし,勧める気もありません)著者を助けると思ってJMAM版をご購入してくれてもいいのではと思います.ぼくの本に興味がなければ嶋津さんなど他の著者が書かれたDHC復刊本をご購入ください.強制はもちろんできませんが.


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