ボーカロイド文化の保存(音源の保存)について

 記事を開いていただきありがとうございます。博識(はくしき)です。今回はボーカロイド文化の保存について音源・CDを保存するという観点から書いていきたいと思います。

 ボーカロイド文化が発展し続けてそろそろ十二年くらい経つそうですが、最早この文化の全貌は誰にも把握できない程に膨れ上がっています。文化の消費者であるリスナーも新陳代謝を繰り返し、既に継承されずに消えていった文脈が数多く存在するだろうことは後から入ってきた自分でも感じ取れます。そろそろ本格的にボーカロイド文化を発展させると共に様々な形で後世に残すことを考えなくてはいけないフェーズになったのではないでしょうか。

 そんな中で後世にその時々のボーカロイドシーンの盛り上がりを伝えるために#vocanoteや#vocanewなどの活動が生まれていったのだと推測します。残したいものは自分で書いて後世に伝えるという活動はとても格好良いことだと思いますし深く尊敬します。しかし、こと肝心の楽曲そのものの保存については現在数多にあるボーカロイド楽曲・動画のアーカイブとしてニコニコ動画・ピアプロ・YouTube等が当たり前に機能しているお陰かあまり問題視・議論されている印象がありません。

 例えば小説などの出版物の場合は国立国会図書館を含め全国の図書館や小中学校に収められることで圧倒的物量をもってしてその保存の絶対性を担保してるわけですが、インターネット上で生まれた文化にはそれがありません。文化の保存には著作物を資料として蒐集することが必要不可欠なのですがボーカロイド文化はいわゆるアングラな、主に同人での文化なのでなかなかそのように簡単にはいきません。というかそもそも電子データ(しかも紙に移せない音楽の)を100年単位で後世に残す方法がマジでわからないです。CDとかもっても50年くらいじゃないですかあれってきっと。記憶媒体の容量を増やす流れはさっさと終わらせて保存性能を高めてほしいところですね。

 それはさておき、調べてみると同人文化の保存というところではコミケが大きな役割を果たしているそうで、こちらの「マンガ同人誌の保存と利活用に向けて -コミックマーケットの事例から-」(http://current.ndl.go.jp/ca1672)(是非一度目を通してほしいです。)によると

同人誌即売会のうちの2つのみが、継続的かつ長期的に、サークルから見本として同人誌の回収・保存を行っているという状況である。その1つがコミケットであり、第1回以来、サークルから提出された見本誌を保存している。その長期的な目標としては、同人誌図書館の設立を目指している(後述)。もう1つは、創作同人誌に特化して開催されている同人誌即売会である「コミティア」(6)が、見本誌を集めている。コミティアの場合、イベント開催後に見本誌の読書会を別途行ったり、見本誌を元に推薦本を選び、レビューをカタログ(即売会への参加全サークルの紹介や会場での諸注意等が掲載されたパンフレット)に掲載したりと、見本誌の保存というよりは、活用に主眼が置かれている。なお、どちらの即売会も恒常的な見本誌の公開は行っていない。

 ということでコミケではあの場で頒布されたものは見本誌という形でほぼすべて蒐集されて、保存されているということですが、ボーカロイド関連の即売会(ボーマス等)のサイトをみると見本誌提出はないそうなのでそのような活動がされているわけではないそうです。(詳しくは知らないのでもし違うようなら教えてください。)この方式だと創作者側に一方的な負担がかかる・保存場所や管理の問題等色々あるので仕方ないのかもしれませんが、今からそのような形式をとるのもありなのではないかと思います。まだ遅くないから今すぐやってくれ……

イベント始まって以来すべての頒布物を手中に収めているという奇特な方がいらっしゃったら是非ボーカロイド博物館を建てていただきたいところです。というかイベント公式が開始当初から蒐集しておくべきだったんじゃ・・・

 というわけでイベントでの蒐集が難しいとなると今度は創作者本人や個人での管理・保存ということになります!!が、こういうのは死んだら心無い親類に売り飛ばされるか焼却処分されるのがオチです。こういう面倒くさいことは全部国に一任しましょう!せっかく税金を払っているのだし文化の保存くらいしっかりやってもらわないとね!!
ということでボカロPの皆さん!!国立国会図書館に同人CDを納本しましょう!!!国立国会図書館HP(http://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/qa05.html)によると 

「納本制度」とは、図書等の出版物をその国の責任ある公的機関に納入することを発行者等に義務づける制度のことです。わが国では、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)により、国内で発行されたすべての出版物を、国立国会図書館に納入することが義務づけられています。

とのことなので、同人であっても出版物(CD含む)を出した場合、創作者全員に国立国会図書館にその出版物を納入する義務があるわけですね。ボカロPの方々ちゃんと納本していますか??義務ですよ!!!

 やり方は国立国会図書館HPの方に載っているので割愛しますが、ボカロPの方が実際に国立国会図書館に自身の作品を納本する記事があったら絶対に為になるし面白いと思うので是非やってみてください。今回納本したアルバムはこちらみたいな感じで宣伝も出来るしいいと思います。

(追記)左馬さんからVOCALOID生放送の生主さんの暖簾さんによるボーカロイド文化の保存についての記事二本の情報をいただきました!
より詳細にわかりやすく国立国会図書館の納本制度やボーカロイド文化の保存について記してあるので是非読んでみてください!!同じようなことを考えている先達がいると知れてとても嬉しいです!!

「国立国会図書館を使えばボカロ図書館もボカロミュージアムもできるんじゃない?」という妄想(2011年3月8日)
https://blog.neronplex.jp/2011/03/08/miscs/94
VOCALOID文化を後世に渡り保存していくために(提言っぽい駄文)(2013年7月8日)
https://blog.neronplex.jp/2013/07/08/4ron/278

あと個人でも寄贈という形で簡単に他人の頒布物を国立国会図書館に保存させることができるということなので気に入っている作者さんの作品は今度から実用・布教用・保存用・寄贈用と四つくらい買うといいんじゃないかと思います。「推しの同人誌が国立国会図書館に納められている。私が寄贈した。」って凄くないですか??ちょっと言ってみたいですよね?!

「国立国会図書館 同人」で検索かけると面白い記事がいっぱい読めるのでおすすめです!

 ここからは蛇足なのですが、真面目な話、今回こうやって同人文化の保存について浅くですが色々調べてみて云百年後に今自分たちが楽しんでいるあれやこれがどれだけ残されているか考えるとかなり不安になりました。
 国立国会図書館も自作曲を電子データで送れば保存してくれて完全にバックアップを取ってくれるようになるべきなのですが、現状CDという媒体での音楽データの保存こそしていても純粋に電子データとして音楽を保存することに対応しているわけではないし、(書籍の電子データ化はやっている)そうなると配信のみで流通している出版物や音楽はどうするんでしょう?それは保存すべき文化ではないの?ほんとに?みたいな話になってくるし。

 一番理想なのは自治体の予算で各自治体の図書館にボカロCDが置かれるという状況だと思うんですよね。誰でもボカロCDを借りれる環境めっちゃ欲しい。各自治体の図書館に小説化したボカロ曲の本は結構な確率で置いてあるのに音源CDが一枚も置かれていない状況、不思議すぎません??どういう文化だよそれって話ですよ。多分これが一番言いたかった。

ということでここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。皆さんも今一度ボーカロイド文化の保存について考えてみませんか?いいアイデアがあったら共有しましょう。なにか活動を起こすのであれば尽力は惜しみません!よろしくお願いします。

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