6/7──1日の流れ

流れは前日6日の午後9時に遡る。

インスタグラムに投稿された27枚の写真にプレイヤーたちは激しく悩まされていたぜ!

勇者こと学生プレイヤーの連中は午後2時ぐらいにはインスタグラムへ辿り着いていたんだが──ヒントが公開される午後9時まで結局画像群の真実に辿り着くことができなかったぜ!

そもそもノーヒントで辿り着くことができない前提の作りだったんじゃないかってぐらいだな。聞くところによるとある学生プレイヤーは9時になる直前にこの画像群が京阪電車の駅名じゃないのかってことに気づいていたらしい! 正気かよ……?!


かくして午後9時になり、インスタグラムのストーリーにひとつの映像が投稿された!

流石の学生プレイヤー、頻繁に利用していることもあってすぐにこの謎の真実に気がついたな! お見事だ!


どうやら背景に書かれた番号は京阪電車の駅番号を表していたらしい!

ナンバリングに対応した駅名から伏せ字の「?」にあたるひらがなを抜き出すと……

   きんち
   よによ
   ういく
   しちし
   つばん
   はんか
   どちん
   こかの
   ?いて

という文字列が浮かび上がったぜ! これを3行の縦読み文として読むと

「ちょくしんかんのてんにいちばんちかいきょうしつはどこ?」

「直心館の天に一番近い教室はどこ?」──になったんだ!

その問いに当てはまる場所がJ41という教室であることを割り出したプレイヤーだが、あいにくその時間には大学は既にCLOSE! 敢え無く、インスタグラムに残されたメッセージ通りに日が昇る頃を待つ他になくなった!

これは翌日も学生プレイヤーに期待がかかるぜ!



そうして迎えた6月7日! 京都を含む関西は生憎の大雨だ! オレも足元を濡らしながら大学へと向かい学生プレイヤーと合流! そして問題によって示されたJ 41へと向かった!

教室の黒板には「交差する言葉を完成させろ」という文字とともにオレたち《トマソン》のトレードマークが刻まれていたぜ! しっかし雑できったねぇマークだ! いったい誰がこんなものを書きやがったんだ?!

メッセージは残されているが、いったいクロスワードってなんのことだ?! オレが一人で頭を抱えていたところ、教室の最後方の椅子にカタカナが刻まれていることをプレイヤーが発見してくれた!

そうするとインスタグラムにまた更新があった! どうやらこの教室の左側に4つの謎が隠れているらしいが……?!

プレイヤーの懸命な捜索によって写真に収められた場所の中から4通の封筒が発見された!

片面にはメッセージが、もう片面にはQRコードともにアルファベットが刻まれていたぜ!

QRコードには、行方不明になったトミーの日記らしい文章が……いったいこれはどういうことなんだ……?

メッセージはどうやら……クロスワードに当てはまる単語が暗示されているらしい! これでまた真実に一歩近づいた! と思ったらここまで頑張ってくれていた学生プレイヤーが授業によって退出! 教室にはオレ一人が残されちまった! そういえば今日は平日だったな……大事な時間を割いて謎へ立ち向かってくれる学生プレイヤーには感謝しかないぜ!

オレはプレイヤーの指示によって椅子に刻まれたクロスワードを図に起こすことにしたんだ! 思った以上にこれが骨が折れる作業だった! なんて言ったって教室には傾斜があって文字が刻まれていたのは最後列だ! オレは息を切らしながら、朝ごはんだかお昼ご飯だかわからないおにぎりを頬張りながら何度もその傾斜を行ったり来たりして図を書き起こしたぜ!

あとはインスタグラムに示された場所で隠されたクロスワードの単語を見つけ出し、クロスワードを完成させるだけだ!

どうやらインスタグラムは謎を全て発見し次第新たに公開されるようになっているみたいだ! オレは新たに参戦してくれた学生プレイヤーとともに、隠された封筒を探すために大学の中を駆け回った!

ツイッターで参戦してくれているプレイヤー達もクロスワードの解読に取り掛かってくれた! 見事な連携プレーだったぜ!

オレもクロスワードの解読のために進捗を記していったぜ!

独自に記録をしてくれているプレイヤーもいたぜ! サンキューだ!

封筒の左上に書いてあるナンバーによると、隠された封筒は全部で39通。プレイヤーは苦労の末その全て? を見つけ出したが、それだけではクロスワードが完成しない! どういうことだ!?

同じ問題が2枚発見されたり、プレイヤー以外の誰かに持ち出されてしまったのかそもそも見つからない封筒があったり、とにかくプレイヤーはてんてこ舞いになった!

だがプレイヤーはそんなことじゃへこたれなかった! 様々な推理の末にプレイヤーはついにクロスワードを完成させたんだ!


プレイヤーは余った文字──本来ならばクロスワードで黒マスとなる位置の椅子、文字が刻まれたガムテープに共通点があることを見出した! どうやら黒マスにあたる場所のテープだけ二重で貼られていたんだ! どうして今までそんなことに気がつかなかったんだ?!

そのガムテープを恐る恐る剥がして見ると……裏側にまた文字の刻まれたカードが貼られていることが判明した!

割り振られた番号の通りにひらがなを並べると……

「ひづけがきすうのにっきをじゅんばんにさかのぼりよめ」となった! そういえば日記にはQRコードとともにアルファベットが書かれていた! ここでこの謎が絡んでくるんだな!

そのメッセージの通りに日記に対応したアルファベットを日付を遡り読むと……

TommyThomassonという文字列が浮かびあがった! 一体どうしてここで行方不明になったトミーの名が出てくるんだ……?

クロスワードの最後の問題の裏に刻まれた「探し人はきっと幸せの青い鳥あ運んでくるぜ」というメッセージによると、どうやらTwitterのことを示しているようだった! 

だがTommyThomassonで調べてみても、そこに引っかかるのは全く関係のない人物ばかり……プレイヤーは再び行き詰まることになってしまったんだ!

最後のクロスワード問題に刻まれた他の文言「もしかしたらアルファベットじゃないかもしれないぜ?」「この一連の事件の犯人は誰だ?」「そして共犯者は誰だ?」これは一体なにを表しているっていうんだ……?

するとあるプレイヤーは「もしかすればアルファベットじゃないかもしれないぜ?」というメッセージに目をつけた! どうやらアルファベットに混じって浮き出てきた「TommyThomasson」には数字が紛れ込んでるかもしれないと推理したんだ!

大変な推理の末、あるプレイヤーがひとつのアカウントを発見するに至った! TommyThomassonの「O(オー)」を「0(ゼロ)」に読み替えたんだ!

そのIDに結び付けられていたのはトミーと銘打たれたアカウント。そのアカウントはこんな記事を投稿した。


……そこからのことは、改めて語るのは止しておこう。親切にも、その時のことをまとめてくれているプレイヤーがいたぜ。リンク先ページからが、この物語の「解決編」だ。






かくしてオレたちは、行方知れずだった──そしてこの一連の出来事の犯人だったトミーを見つけ出したんだ。

最後の問いに残されたメッセージへの返答はこうだ。

「この一連の事件の犯人は誰だ?」──それはトミー自身だ。

「そして、共犯者は誰だ?」──それはオレ、ジェイリーだ。


全ては、オレが提案した《トマソン》の拡大に反感を覚えたトミーの一世一代の抵抗だったんだ。トミーにとって、トマソンは何よりの居場所だったんだ。しかしトミーは自分に自信が持てずにいた。トミーはメンバーに対して激しい劣等感を抱いていたんだな。自分をグズやノロマや、ポンコツだなんて何度も形容するぐらいにはな。(オレは、そんなことないと思ってるぜ)

トミーはトマソンの拡大によって、いよいよ自分の大切な居場所が奪われるんじゃないかと危惧したんだ。トミーはトマソンに対して自分の有用性を示さなければという強迫観念に駆られた。そしてオレたちが計画していた6月6のゲームを丸ごと乗っ取るつもりでARGの計画を立てた。……そんなことは、オレにはお見通しだったんだぜ。

一連の出来事がトミーが仕掛けたゲームであることに気が付いたオレは、計画していたゲームの開始を放り出してトミーのゲームに乗っかってやることにした。オレたちトマソンにとって大切なゲームをやるっていう日に、もっと大切な仲間が正々堂々喧嘩をふっかけたんだ。そんなもの、無視できるわけがないだろう?

かくしてオレはゲームの進行役としてトミーのゲームに便乗することにした。プレイヤーのみんな、騙していてすまなかった!

ただ、初めてゲームを作り上げたトミーの計画は案の定ボロボロだった。同じ問題が2枚あったり、足りない単語があったり……いたるところにミスやエラーが発見されたな! オレはトミーのミスをプレイヤーに勘付かれることなくフォローするので精一杯だった! あれは本当にヒヤヒヤしたもんだ!

かくしてオレたちはトミーの謎を全て解決させた。初めてにしてはよくやったぜトミー。そしてなにより、トミーの初めてのゲームに参加してくれた記念すべきプレイヤー達! 本当にサンキューだ!


ゲーム終了後もプレイヤーたちから暖かな言葉をいただいたぜ!


晴れてトマソンの『製作者』となったトミーへ、オレからも賛辞を送るぜ! お疲れ様だ! そしておめでとう、トミー!


最後に、オレたち《トマソン》が計画していたゲームは今年の夏に改めて開催する予定だ! もちろんトミーも、オレたちトマソンの製作者側としてプレイヤーを楽しませてくれるはずだ! 乞うご期待!


以上、トミーのARG──《ARGトマソン》の終幕だ! また会おうぜ!