FinalFantasy7「旅の途中で」

RPGゲーム「FF7」で二番目に訪れる街「カーム」。人々は親切に接してくれ、街並みもどこかやさしい雰囲気を持っています。街の情趣を一言で説明するなら「いこい」に尽きると思います。
直前に訪れた大都市は、住民の生活苦をリアルに描く、暗黒的な雰囲気をもつ空間です。そのため、二つの街の描き分けは、間違いなく対比的な効果を狙った演出だと考えられます。万が一狙っていなくとも、現実にそのような効果が発現しています。荒んでしまった街があるからこそ、穏やかな街はいよいよ以てありがたく感じられるということですね^^

「旅の途中で」は、やさしく寛容な街の雰囲気を演出するのに、大きな効果をもたらす曲です。ごくゆったりとしたテンポでリズムを刻むのはアコースティックギター。メインメロディは丸みを帯びたベルのような音で、遠くに見える街灯りのように、素朴な幸福感がにじみ出ています。
Aメロ2から入るストリングスの音価は非常に伸びやかで、とりわけ白眉と言っていいのが、3小節間トップノートを据え置きにする部分です。変わっていくコードに対して、ストリングスのトップノートはずっと同じ音が続きます。そのとき、特に注目したいのが、コードの進み方です。緊張感の高いコードから始まり、リラックスしたコードへと解氷していく構造になっているのです。同じ音が鳴っていても、バックコードの選択ひとつで趣が変わるというのは、心の持ち方ひとつで状況の捉え方も変わってくるという、処世訓のようです。読みすぎでしょうか。

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