放射線治療を受けてみた (7):23回目 - 28回目

2017年の秋に子宮体がんと診断され、手術の後28回の放射線治療を受けました。この記事は放射線治療23回目から28回目までの記録です。ここまでの治療の経緯については、過去の記事↓をご覧ください。

告知から入院、療養生活
治療開始の前日まで
治療1回目から5回目まで
治療6回目から10回目まで
治療11回めから15回目まで
治療16回めから22回目まで

*     *     *

治療23回目

固形物を食べるのがしんどくなっている。トマト味も受け付けなくなっている。朝食にはスープのほかパンやチーズを少し、チャイを飲むということをしているのだが、ここ数日は必ずといっていいほど食後の数時間、特に朝食後に気持ちが悪くなる。

治療直前の食事となる昼食はスープとヨーグルト。治療後は仕事。予定していなかった作業が入ってきたりして、今日の優先案件がなかなか進まない。気がつくとまた深夜になっている。

治療24回目

今日は病休を取ることにした。食事のしんどさは相変わらず。今日も特に朝食後がつらかった。トイレに行く回数が多いということよりもずっと、何を食べてもまずく感じられ、何を食べたあとも気分が悪くなることのほうがこたえると思う。病院へはタクシーで出かけた。

そういえば「あとX回で治療が終わる」ということをいつの間にか考えなくなっていた。実際の終了予定日が近いだけでなく、食事のしんどさに一日振りまわされているせいだろう。

春分の日

寒い。まるで真冬じゃないか。

朝食にはパンの代わりにお粥を食べた。パンを食べたときほどの胃のむかつきはない。当分はお粥を食べるのがよさそうだ。午後は仕事。休みのときに仕事をするべきだとは全然思わないが、締め切りに追われているとそうも言っていられない。

治療25回目

朝食のパンをお粥に変更すると摂取カロリー量が減ってしまい、さらに体重が減少しそうな感じがするが、胃への負担が少ない分楽だ。食欲がないから空腹になることもない。今日は午前中から昼過ぎにかけてミーティングの連続で、ランチの時間が取れなかったが全然平気。

お尻の皮膚がだいぶ弱くなってきているため、軟膏を処方してもらう。放射線治療は来週終わるが、状況確認のために2週間後に放射線科の診察を受けることになっている。

治療26回目

照射が始まってから2分ぐらい経ったときに技師さんと看護師さんがやってきて「お腹にガスが溜まっています。治療に差し支えるのでいったんトイレに行ってください」と言う。治療の60分前には準備として必ずトイレに行くのだが、胃腸が弱くなっているので短時間にガスが溜まってしまうのだ。

私の治療が始まったころ、私よりも前の時間帯に治療を受けていた高齢の男性が、照射をいったん中止してトイレに行っていたことを思い出す。そんなわけで今日の治療はいつもよりも10分ぐらい余計に時間がかかった。

夕方は勤務先で立食パーティー。ほんの数口、ヤムウンセンとチキンライスをいただく。飲み物は無糖の紅茶をコップに半分程度。コーヒーは全然飲めなくなっている。

土曜日

美容院に行った後、久しぶりに無印良品で買い物。ここ数ヶ月でずいぶん痩せてしまい、今持っているチノパンツやジーンズよりも1サイズ小さいものを手に入れる必要が出てきたからだ。帰宅後、しばらく昼寝。

食事後のつらさは数日前よりは和らいでいる。朝食のパンをお粥に変更したことに加えて、豆乳を控えたのが良かったのだろうか。以前は豆乳を1日に2杯は飲んでいたし、豆乳を含む食品も結構食べていた。1週間ぐらい前から身体が受け付けなくなってきていて、自然と口にしなくなった。大豆製品については特にアレルギーはないと思っていたのだが。

日曜日

数日前に都内でも雪が降ったことが信じられないような温かい日。自宅近くの公園ではソメイヨシノがほぼ満開の状態で、多くの人が花見を楽しんでいる。

体重は42キロ台に突入。放射線治療が始まったころから2キロ減ったことになる。食事をおいしく感じられない以上当然か。夜にはAmazonから届いた『健康を食い物にするメディアたち』(朽木誠一郎著)を読む。この本は広く読まれるべきだと思う。

治療27回目

食事のしんどさは相変わらず。ランチタイムは会社でのケータリングで、とてもおしゃれに盛り付けられた野菜中心のメニューだった。同僚たちは盛り付けにも味にも大喜びだが、私は少ししか食べることができないし、おいしいと感じることもできない。5口以内で完食できる量しか自分のプレートに盛ろうとしない私を見て、「どうしたの?」と言ってくる人も2人いた。「ちょっと胃の調子が悪くて」とごまかす。

治療はいつも通り。「ガスが溜まっています。いったんトイレに行ってください」と言われることもなくスムーズに終わる。

治療28回目

最終日。やっとここまできた。

照射が終わると放射線科の先生の診察。これまで経験してきた下痢などの急性期症状は来週あたりがピークで、その後は徐々に収まってくるそうだ。この前処方してもらった下痢止めや軟膏が次回の通院まで持ちそうにないため、追加の処方をお願いした。

診察の後は看護師さんから、今後の生活についてのオリエンテーションを受ける。しばらくは今の症状が続くので、食事や水分の摂取に注意する必要があるという。治療後に出てくる可能性のある症状についても説明を受けた。

明日からは仕事を抜けて毎日のように病院に行く必要はないし、下腹部にマジックでマーキングする必要もなくなる。勤務時間中に病院に行かなくて済むから、夜の残業も減らすことができる。あとは少しでも早く食欲が回復してくれれば言うことはない。

そういえば手術のために入院したのは4ヶ月前だった。そのころは今よりも多くの臓器が私の身体には備わっていたものの、体調はひどいものだった。がんにならなければ、あるいはもっと早くに病院に行っていれば臓器の数が減ることもなかったわけだが、今さらそんなことを言っても仕方がない(ちなみに、臓器の摘出ということについてのショックは年齢のせいかほとんどなかった。むしろ告知を受けた後は、体調が良くなるなら1日でも早く手術をして摘出してほしいと考えていた)。とりあえず比較的早い時期にがんであることが分かり、必要な対応を取れたのはよかったと思う。

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