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この世は幸せな人向けにできている、と痛感した日

2019年末の話

10月末に33歳で次女が急逝して、
次の1か月でマンションを引き上げなければならなかった。

悲しみに暮れる間もなく作業をこなし、
引き渡しが済むと12月になっていた。

一応ほっとしたものの
よく考えると愕然とした。

年末年始はクリスマスとお正月が来る。

街はイルミで輝き、華やかな歌が流れ、

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ご馳走がならび、楽し気に笑う人、
TVをつけると、そこらここらで「おめでとう」が飛び交うことだろう。

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想像するだけで、私には耐えられない光景。

どこかに隠れたいと思った。

そして、この世はつくづく幸せな人向けにできているのだと知った。

家族、健康、お金
それが揃ったものとして
それをスタンダードにして話が展開していく。

どこで過ごそうかとか、
何を食べようかとか、
何という贅沢な悩みなんだろう。

みんなが来るから
掃除をしまくらなければとか、
料理をたくさん作らなければならないとか、
何という傲慢な悩みなんだろう。

世間に恨みを覚えるとともに
今まで自分もそれを当たり前として考えていたのに気がついた。

その裏でそれが当たり前でない、
沢山の人がいることにやっと気がついた。

家族とかお金とか健康とかの様々な理由で、
世間の浮かれ具合を辛く感じながら過ごす人がいる。



その頃、孫のKANAはよくウチに遊びに来ていた。

少しでも気晴らしになればと
公園や昆虫館などに連れて行った。

けっこう楽し気に滑り台とかブランコはするのだけど、
小さな子供を連れたお母さんを見ると
硬直して突然、立ち止まる。

どうしたの?と聞くと
大きな目にいっぱい涙を溜めている。

ママがいないことを思い出しているのだ。

5歳の子にママがいるのは普通のことじゃないか。
贅沢なことではない。

なぜ私たちは
そんな小さな幸せさえ取り上げられてしまうのだろうか?


そして、さらに次の4月は辛くなるだろうと容易に予想がついた。

記念日反応(アニバーサリー反応)というらしい。

4月は本当は大好きな季節で
毎年、桜を追いかけまわし、
何よりも次女の誕生日がある。

日本中が「花見、花見」と浮かれる中、どうやってやり過ごそう。
周りが華やかになればなるほど自分とのギャップが大きくなる。

正直滅入った。
考えるだけで…


でも2020年に入るとすぐにコロナウイルス騒ぎが起こった。

1月に武漢が封鎖され、
2月にダイヤモンドプリンセスの状況をハラハラと見守った。

3月、他人事だと思っていたのがこちらに飛び火した。


4月「3密を避けて」と政府が言い出した。
花見、宴会などとんでもない。
stay homeが美徳となった。


不謹慎を承知で、敢えて言うが
正直助かった。

コロナのお陰で
私は想像していたより相当安らかに
2020年の春を過ごすことができた。


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