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戦時の恋

イランはモロッコ系ユダヤ人のイスラエル人。今年知り合ったオジサン。50代半ばでアーティストを自称しているジュエリーデザイナーだ。

彼のアトリエでコーヒーを飲みながら話していた。

実は恋に落ちちゃってさ。
いつの話?
80年代のレバノン内戦のときさ。あのとき、僕はパラシュート部隊にいたんだよ。
ベイルートで美しい女性と出会って恋に落ちた。結婚したんだ。
え?結婚したの?
そうさ。エルサレムに戻って彼女が忘れられなくてどうしても会いたくなって会いに行った。今なら無理だけど当時はドローンもなかったし国境の警備の緩いとこを調べに調べてね。

恋は国境を越える!
恋はボーダーボリスの目をかいくぐる!

海側よりもゴラン高原からシリアに入ってそれからレバノンに。そっからがまた大変さ。ベイルートは遠いからね。しかもね、バイクで!ホンダの原付で。だから日本には感謝してる。

ホンダのカブで二人乗りデートをしたことある人なら想像出来るだろう。このウキウキを。そしてカブでの遠出の大変さを。
でもエルサレムからゴラン高原を通ってベイルートに!この緊張感を想像するのは難しいかもしれない。

とにかくがむしゃらだった。彼女に会いたい一心でね。そりゃ、きついさ。距離だけでもきついし国境越えるのだって命がけだよ。
それで何とかベイルートまで行って彼女に会えたんだ。彼女は彼女でエルサレムに憧れてたしエルサレムを見てみたいって言うから原付でエルサレムに戻ったよ。2人で。それで結婚したってわけさ。

みんな恋すればいいのに。

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